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アメリカでハードロックやメタルはまだ売れているのか? 2020-2024
Lorna Shoreの来日公演が話題ですね。Linkin Parkも復活したし、来週はSpritboxの待望の新譜も出るし、新世代のエクストリームミュージックが盛り上がることを期待しています。
ふと、「最近(2020年代)、アメリカで売れているハードロック、メタル系のアーティストって誰なんだろう」と思ったので調べてみました。具体的には「ハードロック/メタル系アーティストに分類されるアルバムでビルボードメインチャート10位以内に入ったアルバム」を調べています。ハードロック/メタル系アーティストはけっこう幅広めに選んでいます。オルタナティブロック、や、クラシックロックに分類されるアーティストもいますが、「オーソドックスなバンドサウンド」で、Burrn!誌が取り上げそうなもの。網羅したつもりですが抜け漏れがあれば教えてください。追記します。
最初に全体の感想を書いておきます。
全体の感想
・それほどメディア批評やユーザーレビューなどが高いアルバムは少ないが、トップ10に入るだけあり聴きやすさと中身の充実の両立がなされたアルバムが揃っている、改めて聞いたらどのアルバムも聴いた後の満足感が高い
・冒頭の問いに答えると、「売れてはいるが2020年代に売れているのはベテランばかり」。次回は比較のために2010年代のリストを調べよう思うが、2020年代の特異な点は「新しいアーティストがいない」ということ。全員、2010年代(あるいはその前)からいるバンド。20位まで広げると新しいバンドも出ているのだが、トップ10に入ってこない。
・これはコロナの影響もあるのかも。やはりハードなロック、メタルはライブを通じて話題になっていくバンドが多いのだろう。SNSから出てくるバンドも増えてきたがビルボードトップ10には届かず。2020年代後半(2025-)がどうなるか楽しみ。
・ただ、トップ10に入っても1週とか2週でランク外に落ちてしまうアルバムが大半。ストリーミングではなくフィジカルを買うファンが多いからだろう、草の根のバズというより固定ファンが発売日に買う、という形。かつて、80年代のメタルはトップ10に入らなくても50位以下にずっと入り続けてミリオンになったりしていた。新しいバンドはそういう売れ方をするはず。そう言うバンドは出てきているのだろうか。
アーティスト名 / アルバム名 (リリース日) 最高順位
2020年
Ozzy Osbourne / Ordinary Man (2020/02/21) 3
Five Finger Death Punch / F8 (2020/02/28) 8
Pearl Jam / Gigaton (2020/03/27) 5
Metallica / S&M2 (2020/08/28) 4
Marilyn Manson / We Are Chaos (2020/09/11) 8
Deftones / Ohms (2020/09/25) 5
AC/DC / Power Up (2020/11/13) 1
メタリカはライブ盤がランクイン、ライブ盤がトップ10に入るのは近年では非常に稀ですね。オーケストラとの共演で、リメイクの色合いが強いからでしょう。
帝王オジーも復活作。流石の貫禄。タイトルや内容的に過去の自分を振り返る名盤。ラストアルバムかと思いました。
パールジャムはビルボードの分類だとハードロックというよりオルタナティブロックですが、もともとグラムメタル、ハードロックシーンから出てきたバンドだし入れました。
若手で強いのがファイブフィンガーデスパンチ。USだと人気が衰えないですね。
あとはデフトーンズ。けっこう分かりづらいバンドだと思っていたけれど、こうしてチャートアクションを見ると幅広い人気。
AC/DCは復活作が1位を獲得。1位と言うのは驚きです。固定ファン層がかなり分厚い。
2021年
Foo Fighters / Medicine at Midnight (2021/02/05) 3
Chevelle / NIRATIS (2021/03/05) 9
Rob Zombie / The Lunar Injection Kool Aid Eclipse Conspiracy (2021/03/12) 9
Greta Van Fleet / The Battle at Garden’s Gate (2021/04/16) 7
Iron Maiden / Senjutsu (2021/09/03) 3
フーファイターズもハードロックかと言われると多少「?」ですが、もともとハードロック的な音像だし(グランジはシアトルのハードロックの流れの中にある)、デイブグロールはメタラーなので。
意外なのはロブゾンビ。まだ10位以内に入るんですね。凄い。
グレタヴァンフリートはデビューアルバム一発屋かと思ったらしっかりセカンドもトップ10に入れています。USでの人気はしっかりしている。
Chevelle、シェベルまたはシボレー。このバンドは初めて知りました。USで人気のオルタナティブメタルバンド。けっこうヘヴィ。
メイデンはチャートアクションだけなら過去最高に調子がいいですね。
2022年
Red Hot Chili Peppers / Unlimited Love (2022/04/01) 1
Ghost / Impera (2022/03/11) 2
Def Leppard / Diamond Star Halos (2022/05/27) 10
Shinedown / Planet Zero (2022/07/01) 5 
Five Finger Death Punch / AfterLife (2022/08/19) 10
Megadeth / The Sick, the Dying… and the Dead! (2022/09/02) 3
Ozzy Osbourne / Patient Number 9 (2022/09/09) 3
Slipknot / The End, So Far (2022/09/30) 2
Red Hot Chili Peppers / Return of the Dream Canteen (2022/10/14) 3 
2022はレッチリのプルシアンテ復活作。こちらも現在はハードロックとは言い難いですがもともとラップメタル、ミクスチャーメタルと呼ばれていたので。まぁ間違いなくロックではあるし。
オジーは前作から2年のブランクでまさかのニューアルバム。驚き。普通、このクラスのベテランってこんなに作品出さないですからね。終わりを意識したら創作意欲が高まったのか。前作に比べると「いつものオジー 」的な作品。チャートアクションはさすが。オジー 、メイデン 、メタリカはセールス的には頭ひとつ抜けています。
他はスウェーデンのゴーストが2位まで浮上。過去作もトップ10に送り込んでおり、一時的バズを超えてヘッドライナークラスに成長しています。
デフレパードも10位はキープ。90年代に一度人気が下がりましたが持ち直しています。固定ファン強し。でも今やメイデンの方がUSでの順位が高いんですね。80年代から考えると少し驚き。
シャインダウンは常連、ただ、2010年代のチャート常連組が2020年代に入って軒並み順位を落とす中、シャインダウンとファイブフィンガーデスパンチは人気を維持しています。
スリップノットの2位は凄い。そもそも他のヒット作に比べて激烈で聞く人を選びそうなのに、このアルバムは実験的な作品で既存のファンからも賛否両論でしたからね。これでも2位を維持。
メガデスの3位も凄いですね。ただ、この立役者であるキコルーレイロが抜けてしまいやや最近は失速か。メガデスってメンバーチェンジがなければ堂々のヘッドライナークラスだと思うんですけどねぇ。チャートアクションはいいのに、今ひとつ大型フェスのヘッドライナーまでは上がれない。サブステージのヘッドライナーが多い。
2023年
Metallica / 72 Seasons (2023/04/14) 2
Foo Fighters / But Here We Are (2023/06/02) 8
Queens of the Stone Age / In Times New Roman… (2023/06/16) 9
Greta Van Fleet / Starcatcher (2023/07/21) 8
The Rolling Stones / Hackney Diamonds (2023/10/20) 3
2023はメタリカの新譜。こちらは逆にメタリカですら初登場1位を取れなかったのが少し衝撃。
他はストーナーメタルのKyussの流れを汲むクイーンズオブストーンエイジが9位。このバンド人気ありますよねぇ。いいバンドだと思うけれど、頭ひとつ抜けて人気が維持されているのは少し不思議。
グレタヴァンフリートは3作目もしっかりチャートイン。だいたい、5年ぐらいで失速する若手アーティストが多い中しっかり人気を維持しています。凄い。
ローリングストーンズの新譜も一応カウント。まぁ、今やハードロックですよね。ハードロック以前からいるバンドなので、「彼らの表現の中にハードロック的なものも組み込まれている」というか。
2024年
Bon Jovi / Forever (2024/06/07) 5
Linkin Park / from zero (2024/11/05) 2
2024はかなり減ります。あまりハードさはないけれど、前作よりはロックに回帰したボンジョビ。
そして復活したリンキン・パーク。なお、リンキン・パークはメテオラの20周年盤も2023年に8位まで上がっていますね。再発盤やベスト盤は今回は省きました。
以上。結構面白いデータです。次回は2010年代を見てみようと思います。
それではよいミュージックライフを。