MR.BIG / The BIG Finish @日本武道館 2023.7.26
MR.BIGの最終公演を観てきました。MR.BIGを観るのは初。90年代、リアルタイムでMR.BIGに触れていたのだけれどその時は観れず、幾星霜かしてついに初ライブ体験。
そういえば今年はよく武道館に来ています。ノラジョーンズ、メガデス、クラプトン、ドリームシアターについで1年以内に5回目。9月にはハロウィンもあるし。コロナ中は来日公演がなかったからライブハウスばかり行っていましたが、昨年末から大規模公演が増えてきましたね。アリーナロックの復権。
さて、MR.BIG東京追加公演、この日はソールドアウトではなかったはずだけれど物販も長蛇の列だし会場に入ったらほぼ満員。25日の公演はソールドアウトで今日も平日なのにほぼ完売ってすごい人気ですね。
19時開演の定刻を5分ほど過ぎて、控室からステージに向かうメンバーがスクリーンに映し出される。歓声があがる場内。そして1曲目はAddicted To The Rushでスタート。観客も声を上げて答えます。
ライブを観ていて、予想以上にMR.BIGって僕にとって「特別なバンド」だったんだなと再発見。正直、そんなに好きなバンドという印象もなかったんですよ。Lean Into Itはめちゃくちゃ聞いたし、Bump Aheadもそこそこ好きだったけれど、Hey Manはけっこう退屈な曲が多かったし、リッチー・コッツェン時代は「コレジャナイ感」があった。復活してからの作品もそれほど熱心に追っていなかったし、今回のライブも当初とる予定がなかったんですよね。だから(あとから発売された)追加公演を取ったぐらいで。
ただ、今回MR.BIGのステージを観ていると想像以上にいろいろなことを思いました。確かに、90年代はめちゃくちゃ聞いてたもんなぁ。Lean Into It完全再現というのも響いた。全曲なんだかんだ記憶に残っている。
MR.BIGを聞いていたころ地方都市に住んでいて、滅多にメタルバンドのライブなんかなかった。ただ、MR.BIGは近くまで来たんですよね。東名阪(+福札)だけでなく、文字通りの全国ツアーをやった。その時観に行きたかったけれど当時学生だったので行けず(平日だった気がする)、その頃参加したミュージックコンテストの決勝に勝ち残り、決勝がMR.BIGのライブ会場と同じホールだったんですよ。ポールギルバードと同じステージに立てたことに当時はすごく感動したなぁ、とふと思い出したり。
ドリルソングの間奏をまねたくてドリルが欲しかったのも思い出しました。
当時手に入れていたら多分ピックを割りまくり、弦を切りまくっていたでしょう。手に入れていたらそれはそれでよい思い出だっただろうけれど。
今回のセットリスト。
1.Addicted to That Rush
2.Take Cover
3.Undertow
ーLean Into It
4.Daddy, Brother, Lover, Little Boy (The Electric Drill Song)
5.Alive and Kickin'
6.Green-Tinted Sixties Mind
7.CDFF-Lucky This Time(Jeff Paris cover)
8.Voodoo Kiss
9.Never Say Never
10.Just Take My Heart
11.My Kinda Woman
12.A Little Too Loose
13.Road to Ruin
14.To Be With You
ーAcoustic 15~19
15.Big Love
16.The Chain
17.Promise Her The Moon
18.Where Do I Fit In?
19.Wild World(Cat Stevens cover)
20.Guitar Solo(including snippet of "Nothing but Love")
21.Colorado Bulldog
22.Bass Solo
23.Shy Boy(Talas cover)
Encore:
24.30 Days in the Hole(Humble Pie cover)
25.Good Lovin'(The Rascals cover) (楽器入れ替え )
26.Baba O'Riley(The Who cover)
ギターとベースソロあり、長尺のアコースティックセットあり、バンドメンバーが楽器を入れ替えてのセッションあり、盛沢山な内容。そういえば「楽器入れ替え」はお家芸でしたね。
個人的にいくつか思ったこと。
・なんだかポールギルバードがエリッククラプトン(髪が長かったころ)に似ていた。
・ベースソロが凄い、ビリーシーンってやっぱり凄いなぁと再確認。これだけ長尺のベースソロは初めて見た。延々と弾きまくって技を惜しみなく披露する、サービス精神旺盛。個人的にはザックワイルドのギターソロに通じる過剰感を感じた。
・エリックの声が出ていないという感想もあったけれど、個人的には「そうかなぁ」という印象。そんなに声が出ていない感じはせず。僕が「声が出なくなったボーカリスト」と言って思い浮かべるのはヴィンスニールやアクセルローズやイアンギランなので心のハードルが低いのかもしれない。あと、ベテランの味って別に高音のパワーだけじゃなくて、数十年にわたるステージングとか存在感だと思うし。
最後、メンバーだけでなくメンバーの家族まで出てきて大団円。これはなかなか感動的。考えてみれば、これがおそらく日本での最終公演なんだよね。ツアーはまだ続くけれど、彼らにとって日本は思い入れが強いのでしょう。MR.BIG IN JAPANと揶揄されたりもしたけれど、実際のところMR.BIGは海外でも人気があった。本当の意味のBIG IN JAPANであるFair Warning(ほぼ日本でしか活動していない)とかとは違う。全米No.1ヒットもあるし、海外のフェスにも呼ばれてそこそこいい位置にいるし。だけれど、日本は彼らにとって特に大きな市場であったのは事実。だからこそ思い入れが深いのでしょう。なんだか本当の解散最終公演みたいな雰囲気。
でも、各メンバーの家族が出てくるときにエリックマーティンだけ一人なのがちょっとしんみり来ました。しかも他の家族が全員そろった後、エリックが一人で微妙な表情をしているところがモニターで抜かれたんだよね。個人的には一番そこに「人生の歴史の重み」を感じたり。他のメンバーはみんな家族連れなのに一人だけソロってなかなか嫌ですよね。
そんな感想を最後に抱いたけれど、MR.BIGを通じて30年ぐらいの歴史と自分の人生を振り返ったのは事実。人生のある時期、記憶の中に根付いている音楽とバンドだったんだなぁと再認識しました。これが本当に最後になるか分からないけれど、今回観れてよかった。
なお、個人的に今回のライブで感情のクライマックスだったのはこの曲。なぜか知らないが2曲目にしてウルッと来た。
今日はライブレポというより雑感になってしまいましたが、この辺りで筆をおきます。それでは良いミュージックライフを。