28.70年代の空気を感じる新世代デスメタル = BLOOD INCANTATION
米国、コロリダ州デンバー発のデスメタルバンド。まだ若い。2ndアルバムは「Hidden History Of The Human Race」で、人間の進化や種の起源というSF好きにはたまらないテーマ。しかも4曲36分。プログレ的な構成。70年代のYESとかそういう感じ。で、曲はこんな正統派ブラスト。アルバム通してもyoutubeに上がっているのでぜひ聞いて欲しい。後半はスペーシーで、いわゆるLP的なA面、B面でキャラが違う。HAWKWINDとか、なんかまだロックが未開拓の荒野でロックが明日も知れぬ若者たちの叫び(今でも結局現場でやってるミュージシャンの生活パターンはどうもそんなに変わっていないようだけど)だった時代。商業化されて、50になっても60になってもロックで食うなんて誰も考えていなかった時代。だから好き放題、模索していた時代の空気を感じる。
ジャケットに惹かれてLPも買ってみたのだが、ジャケットが凝ってる。内ジャケットとかおまけとか、学研の「ムー」好きならたまらん感じ。メンバーはまだ20代だった気がするんだけど、一周回ってこういうのがクールなのだろうか。ハイスクールでは浮いた集団だったんだろうなと予想。上等だぜ。好きなことを好きなようにやっているすがすがしさがある。もっと知名度が出てきたり、キャリアを積むとだんだん重荷が増えてくるのだろうけれどね。
最近、ヘヴィ・トリップという北欧映画が一部界隈で話題になっているが、バンドマンあるあるを描きつつ、それがデスメタルバンドという。商業的には成功する可能性が低いジャンル(ゆえに愛が濃い)を描いていて胸熱だった。バンドの生活がどうかは分からないけど、音楽的にあそこで描かれた「新しいデスメタル」感があるね。