連載:メタル史 1981年⑦Tygers Of Pan Tang / Spellbound
Tygers Of Pang Tang(パンタンの虎)という印象的な名前を持つこのバンドは1978年、ギタリストのロブ・ウィアーらによって結成。ロブ・ウィアーは1958年生まれなので結成時20歳。N.W.O.B.H.M.の中ではDef Leppardと並んで若手のバンドです。若手ながら早くから頭角を現し、早々にN.W.O.B.H.M.の隆興に大きな役割を果たした(Venomらが在籍した)インディーズレーベル、Neat Recordと契約を獲得。そしてシングルをリリースしたあとメジャーレーベルであるMCAと契約を獲得し、「Wild Cat(1980)」でデビューします。
メジャーデビュー後にメンバーチェンジがあり、ボーカルとギターが変わっての新体制でのセカンドアルバムが本作。後にThin Lizzy~Whitesnakeで成功を収めるジョンサイクスのプロデビュー作でもあります。
名前の由来は英国のファンタジー作家、マイケル・ムアコックのエルリック・サーガシリーズの中に出てくる魔術師の島「パンタン諸島」に由来。こうした「ファンタジックな世界観」を取り入れるのはメタルバンドの一つの伝統。
Tygers Of Pang Tangはそれほどの商業的成功は収められず(本作はUK最高位18位)1987年に解散しますが、1999年に再結成。現在までコンスタントに活動を続けています。
本作のプロデューサーはクリス・タンガリーティス。様々な名盤を手掛けた名プロデューサーです。彼のプロデューサーとしてのデビュー作はGary Mooreの「Back On The Street(1978)」。この作品を手掛けたころはまだ若手プロデューサーですね。この後Judas Priest、Thin Lizzyなどさまざまな作品を手掛けていきます。クリス・タンガリーティスはバッテリースタジオ(元の名前はモーガンスタジオ)の社内プロデューサーであり、同僚としてマーティン・バーチ、マット・ラング、トニー・プラット、ナイジェル・グリーンといったHR/HM界でよく名前を見かける面々がいます。
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メタル史 1980-2009年
1980年から2009年までの30年間のメタル史を時系列で追っていきます。各年10枚のアルバムを選び、計300枚でメタル史を俯瞰することを…
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