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90年代リバイバル:90年代プログレッシブロック10選

1990年代の音楽を振り返ってみましょう。プログレッシブロックは1970年代に盛り上がり全米全英チャートにガンガンチャートインしましたが、一部の大物アーティストを除けば1980年代にはすっかり息をひそめたジャンルです。しかし、そのジャンルは脈々と受け継がれ、1990年代には70年代プログレッシブロックを再解釈しさらに先に進めようとする新しいバンドによる名盤が多く生み出されました。そんなわけで90年代に生み出されたプログレ名盤10選を個人的嗜好で選んでみます。「プログレッシブロック」といっても広いので、より狭義にはクラシック音楽、交響曲など「長尺で展開の多い曲」をロックと融合させようとした「シンフォ系」と呼ばれるものが中心です。70年代の代表的なバンドはYesGenesisですね。前衛性より叙情性重視。

なお、これらはだいたい1時間から長いと2時間ぐらいのアルバムです。ジャンル特性としてアルバムを通して聴くように作られています。映画みたいなものだと思って単曲ではなく、通して聴いてみることをおススメします。

あと、選んでみて気づきましたが10枚中4枚が北欧でした。最多はスウェーデン3枚。90年代は北欧プログレの時代だったとも言えるかもしれない。僕の中で、だけかもしれませんが。以下、並んでいるのはリリース年順です。

Änglagård / Hybris (1992)  Sweden

スウェーデンのプログレッシブ・ロックの名盤。ヴィンテージ楽器を駆使し、70年代のプログレ黄金期を現代に蘇らせたサウンドが特徴。複雑な構成と叙情的メロディで、北欧の自然美と静寂を映し出す傑作。


Kingstone Wall / II (1993)  Finland

フィンランド産サイケデリックロックの名作。東洋的要素を取り入れたミスティックなサウンドと、ギタリストPetri Walliの圧巻のプレイが光る。壮大かつ多層的な楽曲構成で、独自の音世界を構築し、リスナーを深遠な音楽旅へと誘う一枚。


Anekdoten / Vemod (1993)  Sweden

スウェーデン産プログレッシブロックの傑作。重厚なメロトロンと歪んだギターが織りなす暗く情感豊かなサウンドが特徴。King Crimsonから影響を受けつつも独自の叙情性を持ち、静寂と激しさが交錯するダイナミックな音楽世界を描き出している。


IQ / Ever (1993)  UK

ネオプログレッシブロックの名盤。Peter Nichollsがボーカルに復帰し、感情豊かな歌唱と物語性が復活。壮大なメロディ、緻密な楽曲構成、そしてシンセサイザーを駆使した幻想的なサウンドが融合し、バンドの新たな黄金期を象徴する作品となっている。


Marillion / Brave (1994)  UK

コンセプトアルバムで、ドラマチックな物語性が特徴。失踪事件をテーマに、人間の孤独や葛藤を描いた暗く感情的な作品。Steve Hogarthの深い歌声と美しい楽曲構成が光り、プログレッシブロックと叙情性を融合させた傑作として高く評価されている。


Spock's Beard / The Light (1995)  US

デビューアルバムにしてモダンプログレの代表作。Neal Morseの卓越した作曲と力強いボーカルが光り、複雑な構成、美しいメロディ、ダイナミックな展開が満載。伝統的なプログレと新しいエネルギーを融合させた、革新的かつ魅力的な一枚。


Nuova Era / Il passo del soldato (1995)  Italy

イタリア産プログレッシブロックの傑作。戦争をテーマにしたドラマチックなコンセプトアルバムで、荘厳なオルガン、哀愁漂うメロディ、叙情的な歌詞が特徴。70年代イタリアンプログレの伝統を受け継ぎつつ、独自の緊張感と深みを加えた一枚。


Porcupine Tree / The Sky Moves Sideways (1995)  UK

サイケデリック&プログレッシブロックの名作。広大で夢幻的なサウンドスケープと、Pink Floydを彷彿とさせる叙情的なメロディが特徴。壮大なタイトルトラックを中心に、浮遊感と深い感情が織り成す音楽の旅へと誘うアルバム。


Pendragon / The Masquerade Overture (1996)  UK

ネオプログレッシブロックの名盤。華麗で荘厳な序曲に始まり、Nick Barrettの感情豊かなボーカルとギターが織りなすメロディアスな楽曲が続く。叙情性とポジティブな雰囲気が融合したドラマチックな音世界が特徴で、バンドの代表作とされる一枚。


Devil Doll / Dies Irae (1996)  Slovenia

ゴシック&シンフォニックなプログレッシブロックの傑作。重厚なオーケストレーション、劇的な構成、Mr. Doctorの独特なボーカルが織りなす退廃的かつ壮麗な音世界が特徴。クラシック音楽とダークな美学を融合させた、唯一無二のコンセプトアルバム。


Flower Kings / Stardust We Are (1997)  Sweden

2枚組プログレッシブロックの大作。Roine Stolt率いるバンドが生み出す壮大なサウンドスケープには、多彩なメロディとポジティブなテーマが溢れる。タイトル曲は25分超えの圧巻のエピックで、70年代プログレの伝統を継承しつつも独自の魅力を放つ傑作。


Ayreon / Into the Electric Castle: A Space Opera (1998)  Netherland

壮大なコンセプトアルバム。時空を超えた旅を描く物語に、多彩なボーカリストとジャンルを融合させた音楽が展開。プログレ、メタル、フォーク、クラシックが交錯するサウンドスケープと、Arjen Lucassenの緻密な作曲が光る傑作。



以上、10枚でした。この記事、実はずいぶん前に書きかけていたのだけれどストリーミングにないアルバムがけっこうあっていったんストップした記憶があります。今回調べたら10枚中8枚がありました。プログレ系って意外とストリーミングにないんですよね。メタルよりさらにアンダーグラウンドなバンドが多いのか、権利関係が面倒なのか。いずれにせよ今回は多くのアルバムをApple Musicで聞くことができるようになっていて良かったです。

それでは良いミュージックライフを。

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