ラジオ・アプリ TUNEINで聴ける海外のメタル系ラジオ局のおすすめ10+2
柳樂光隆 Mitsutaka Nagiraさんのこんな記事がありまして。
これのメタル版をやってみよう、というのが本記事。
なお、TUNEIN、アプリをダウンロードするといきなり「7日間無料トライアル(月1200円)」みたいな画面が出ますが、これは有料版への巨大バナー。×ボタンで普通に消せます。有料版にすれば広告が消えるようですが別に広告が入っていてもよければ無料でOK。ラジオですからね。
なお、TUNEINで有料版になると聞ける番組が増える(NFL系とか、スポーツ系が目玉らしい。そもそもUSで有料のスポーツ中継がパッケージになってますよ、というのがお得感なのかな)のと、画面に出るバナー広告、そしてときどき差し込まれる音声広告が消えるようですが、バナーはどうせ再生してるときは見ないし(ラジオだし)、音声広告もほとんど入らない。あと、あくまで流れてくるのは各国のラジオなのでそのラジオ局の番組自体に入っている広告は消えません。「メタル系のラジオ局を聞きたい」というモチベーションだと有料版にするモチベーション・利点は今のところないかな。
とりま、スマホがあれば無料で世界各地のメタルラジオ局が聞き放題、ということで。いい時代ですねぇ。昔は地方にいたらHMシンジゲートしかなかったというのに。パワーロックトゥデイのBAY FMが入る地域が羨ましかった時代ははるか過去。今やウクライナのメタルラジオ局だって聞けるんだぜ!
あ、「ラジオとプレイリスト何が違うの、プレイリストの方が音いいじゃん」という方。ラジオだと曲のバランスが調整されているんですよ。90年代の曲と2020年代の曲が並んで流されても音質がある程度均一に調整されている。だから時空を超えてシームレスに聞けるわけ。プロが作ったプレイリストはそういうことをしっかりやられていますけれど、普通のプレイリストはそこまでされていないですからね。ネットラジオだと音質調整までやっていない局もありますが、ここで選んだ局は基本的に音量調整、ラウドネス調整をしています(一部限界はあるようですが。マニアックな音源になるとラウドネス調整だけではどうしようもない音質の悪さはあるので)。最近のストリーミングサービスはアプリ側でラウドネスノーマライズ(音量均一化)をやってくれますが、やはりラジオの方が統一感を感じます。え? そんなこと考えてないって? …ま、まあ、多様性に触れるのがwebじゃないですか。
というわけで、メタルラジオ局を紹介していきましょう。Are You Ready?
”今”の欧州メタルを聞きたい方向け① : ドイツ ー RPR1 Heavy Metal
鋼鉄大国、ドイツ。硬いのは自動車だけじゃないんだ。RPR1は1986年に放送開始したドイツで最初の全国的な民間ラジオ局の1つ。そこのメタルチャンネルです。大手ラジオ局だけあってクオリティが高い選曲と音質。別にメインストリームに寄っているというわけでもなく、「そこそこ聞き心地が良い」けれど「モダンでヘヴィなメタル」をしっかりと流しています。これ、流れている曲が表示される局とされない局がありますね。この局は表示されず。イントロクイズ…と行きたいところですがさすがに幅広過ぎてわからず。それなりにメジャーなアーティストがかかっているように思いますが分からないアーティストの方が多い。まだ知らぬメタルの広大な地平を感じます。とりあえず聴いてみてください。(追記:今なんの曲が流れているか、自社サイトには表示されていますね。ほかのラジオ局もだいたい自社サイトに行けば「流れている曲」は調べられる様子。TUNEINに情報を連携している局とそうでない局がある様子。)
”今”の欧州メタルを聞きたい方向け② : ドイツ ー RauteMusik METAL(Wacken Radio)
RauteMusik(ラウトミュージック)は2003年に開局した欧州最大規模のインターネットラジオ局。そこのメタルチャンネル。こちらも大手が運営しているだけありバランスの取れた選曲と整った音質。自社サイトでオンエア曲も見れます。激烈なエクストリームメタルからメロディアスなパワーメタルまでバランスよく流している印象。欧州最大規模のメタルフェス「Wacken(ヴァッケン)」とコラボしてRauteMusikが手掛けている「Wacken Radio」というものもありますが、流れているのは同じ曲なので別名の同一チャンネル。Wackenの公式ラジオは二つあり、一つはRauteMusik、もう一つはRadio BOB!が手掛けています。Radio BOB!の方はボブさん(と思われる)の語りも入ってきますね。ドイツ語の語りを聞きながらメタルを聞きたい方(いるのか?)はRadio BOB!もおススメ。この二つは流れている曲も違います。
”今”の欧州メタルを聞きたい方向け③ : フランス ー Radio Metal
けっこうゴリゴリなメタルを流しているのがフランスのRadio Metal。GojiraとかAlcestとか今のフランスはけっこうエクストリームな表現をするバンドが多いですからね。このラジオのwebサイトを見てもらうとより雰囲気がわかるかと思います。自社サイトの方では「今オンエアしている曲」も表示されますね。紙の媒体(雑誌)とかも出しているようで、メタル関係の複合メディアの様子。硬派でモダンなメタルが流れていますが、エクストリームメタルに特化しているというよりは今のフランスのメインストリームのメタルがこんな感じなのでしょう。ドイツのRPR1に比べるとちょっと耽美な感じの曲が多い印象。欧州のメタル市場がドイツ、フランスの局を聞くとつかめてきますね。楽しい。
幅広く欧州パワーメタルを聞きたい方向け : スイス ー Bear Metal Radio
こちらもHM愛を感じるラジオ。正統派メタルが中心で、流れているアーティスト、曲も表示される親切設計。欧州メタルが中心ですね。自社サイトでも見れます。クマがかわいい。
パワーメタラーにはおススメの局。90年代欧州メタラーにとっては一番とっつきやすい局かも。僕は好き。
”今”のUKラウドロックを聞きたい方向け : UK ー Kerrang Radio
UK老舗のハードロック/メタル系雑誌、Kerrang(ケラング)の運営するラジオ。Kerrangは1981年創刊で、日本のBurrn!は最初はKerrangを意識していたというか「Kerrangみたいな雑誌を日本でも作ろう!」というコンセプトでスタートしています(初期はロゴも類似していた)。日本だと「UK版Burrn!」といった方がイメージしやすいか。Kerrangは今のUKのDownload Festivalにも深くかかわっていますね。メタル専門紙というよりはパンクとかコア、エモも取り入れて「エクストリームなロック音楽全般」を取り上げる雑誌。だからDownload Festivalのラインナップも別にメタル系だけじゃないですしね。日本のメタラーからは「え?」となった2020年Download Japanの「マイケミカルロマンスがヘッドライナー」にしたって「Kerrangで表紙を飾るアーティスト」という括りでいえば納得のチョイス。そんなわけで今のUKの(日本風に言えば)ラウドロック全般が流れるラジオ局。なお、一番商売っ気があって自社サイトを見るとKerrang Radioだけでサブスクもやっているみたいです。今のUKメタルシーンの「メインストリーム(なるものがあるとすれば、ですが)」を知るにはいい局。TUNEINで聞いているだけなら無料です。老舗だけあって選曲はさすがセンスがいい。ただ、「今流れているのが誰のなんという曲か」はわかりづらいですね。自社サイトに小さく「On Air Now」と書いてあるんですがサブスク誘導のポップアップバナーがうざったくてたどりつけないのが難点。
プログメタル好きな方向け : US ー Prog Rock & Metal(PRM)
こちらはその名前の通りプログメタル中心のUSの局。再生されている曲情報はこちら。なかなかマニアックなチョイスだと思いますが(僕は半分ぐらい知らないアーティスト)聞いてみるとどの曲もレベルが高い。これはいい局。こういう「知らないバンドとの出会い」があるのはいいですね。ちなみに記事執筆時に流れていたのは「Pagan's Mind - God's Equation - 1」、ペイガンズマインドはノルウェーのプログバンドのようですね。これ、組曲は組曲の単位でしっかり流しているようでこの曲(CDではいくつかのトラックに分かれている)は36分7秒あります。こういう「組曲単位」で流してくれるのはプログメタルファンにとってはたまりませんね。丁寧。これは個人というか、webサイトの手作り感を見るにかなり小規模にやっている局のように思いますが愛情を感じます。
幅広くUSメタルを聞きたい方向け : US ー MetalRock.FM
USからもう一つ。こちらはいわゆるメタルヒット曲集みたいな、ToolとかSystem Of A Downとかもかかるのでいわゆるヘアメタル(LAメタル)専門局というわけではありませんが、「USで(ある程度)ヒットしたメタルアーティスト」が流れる曲。今流れている局は自社サイトで見れます。二つ番組を持っているようで、上記のリンクは右側の「MetalRock.FM」の方。どうもちょっとTUNEINとは時差があるよう(サイトの曲表示の方が1分?ぐらい早い)ですが、まぁ見ていればなんとなくわかるかと。さきほどのRPMは「USメタルのトレンド」を追うような局ではなく「プログメタル専門局」なので、この局の方がいわゆる「今の」USメタル好きにはおススメ。
80年代へ戻りたい方向け : US ー METAL SHOP
80年代のメタルが聞きたいんじゃ! というあなた。ちゃんとそういう局もありますよ、もちろん。ということで説明文にもある通り「80年代のメタル」つまり、第一次メタルブーム(80年代)の曲ばかり流している局。イントロクイズとか楽しそうですね。自社サイトはこちら。メタル黄金期へGo!! タイムマシンはラジオ式。
USメタルと欧州メタルを織り交ぜて聞きたい方向け : US ー Heavy Metal Radio
まぁ、今までの局も欧州メタルもUSメタルも織り交ぜて流しているわけですが、こちらはUS版のパワーメタルというか80年代のメタルを正統進化させた、言い方を変えれば「NuMetalの影響をあまり受けていないバンド群」を流しているUSの局。USにあるのでUSのバンドも幅広く流れます。Diabloのゲーム画面みたいな自社サイトから漂ってくるファンタジック感が素敵。
USデスメタル好きな方向け : US ー The Metal Plague
エクストリームメタルに特化した局も紹介しておきましょう。デスメタル、デスコアばかり流している局がこちら。自社サイトはないようですが流れている曲がTUNEIN上できちんと表示されるので親切設計。USの局なのでUSのバンドが多めと思われます。というか、デスメタルって基本的にUSの文化ですからね。欧州はブラックメタルでちょっと音像が違う。今はまじりあっていますけれど、やっぱり聞き比べるとUSの方がカラッとしている感じはします。あと、こういうジャンルは世界中にバンドがいて、インドネシアとか南アフリカにもいたりします。世界に広がるデスコアの輪。むしろUSの次いでアジア圏に多いんじゃないかな。英語の発音が気にならない(言語がネイティブでないことがハンデになりづらい)から、というのもあるのかもしれません。日本にも一定数います。
おまけ メタリカとメイデンをひたすら聞きたい方向け : デンマーク ー Metallica & Iron Maiden ONLY
これはその名の通りのラジオ局。メタリカとメイデンしか流しません。イントロクイズとかに良いかも。「今何を流しているか」の情報はなし。自社サイトがないようですが、潔くてわかりやすいコンセプト。ひたすらメタリカ、メイデンを聞きたいときはここを聞くといいですね。メタリカとメイデンが交互にかかるというよりはメタリカが流れていたらずっとメタリカ、メイデンになったらずっとメイデンの様子。今日はずっとメタリカ。なお、デンマークはラーズウルリッヒの出身国。母国の英雄に対する愛か。
おまけ2 ウクライナ初のメタルラジオ局 : ウクライナ ー Radio Metal
ウクライナですよ。ジャンル的には欧州エクストリームメタルが中心の局。自社サイトで再生リストを確認できます。東欧のメタルシーンを知ることができる貴重な局であると同時に、今世界から注目されているウクライナ。もしウクライナ有事があった時にはこの局が途切れていないかを一つの目印にすることができる、かも。世界各地の出来事は「ニュースの中の遠い出来事」ですが、こうして何かしら接点を持つと少し身近に感じることができます。シリアのこともメタルで知ったし、メタルがつなぐ世界。
以上、おススメメタルラジオ局でした。知らない世界が広がる感覚がありますね。ラジオいいかも。それでは良いミュージックライフを。
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