アメリカ音楽好き女性が選んだメタル10曲
「非メタラーに選んでもらったメタル10曲」2回目です。1回目は小5女子に選んでもらいましたが、今度は大人の女性。下記の手順で選んでもらっています。
1.最初に10曲ほどメタル曲を聴いてもらって「これなら聴ける、好き!」という曲を選んでもらう。
2.「好き」と言った曲に雰囲気が近い曲を10~20曲ほど選んで聞いてもらい、「好き!」といってくれる曲を集める。
3.前ステップを10曲以上集まるまで繰り返し、集まった曲の中から10曲に絞る。
今回のゲストはアメリカ音楽好きの女性です。下記のようなプロフィールに近い方にメタル入門として聞いていただき、好みを探るプレイリストとして活用していただければ幸いです。
ゲストプロフィール:アラフォー、女性
・日頃メタルは聴かない、むしろ嫌い。
・好きな音楽はアメリカ音楽、NYのジャズとかウェストコーストロックとか。ビルボードライブやブルーノートに出るようなアーティストが好き。
・とはいえハードロックやメロコアは嫌いではない。エアロスミスとかAC/DCとかGreen Dayは好き。
今回も選曲に苦戦しました。小5女子も苦戦しましたが、そもそもメタルが好きではないので恐る恐る曲を聴いてもらうわけですね。ただ、ハードロックはOKということなのでアメリカンハードロック的な曲やメタルバラードから入っていきなんとなく耳を慣らしてもらい、そのあたりからだんだんハード度合いを上げていきました。一番最初に聞かせたのがOzzy OsbourneのOrdinary Man。「あれ? これエルトンジョンじゃない? メタルなの?」。作戦成功です。一聴してエルトンジョンと分かるのはさすがですね。
いろいろ聞かせて、一番気に入ってくれたのがRevolution SaintsのWhen The Heartache Has Gone。聞いてみたらJourneyも好きだったとのことでなるほどこの路線かと納得。メロディアス・ハード(メロハー)系をいろいろ聞いてもらったら好きな系統が見えてきました。やや意外だったのはDragonForceのHeart Demolitionを気に入ってくれたこと。メロディックスピードメタル(メロスピ)のバンドかと思っていましたが、曲展開はメタルだしトレードマークの超絶ツインリードも出てきますが、音圧としては軽めで聞いた感じはハードロックですよね。ああ、DragonForceはハードロックなら聴けるという層にもアピールするバンドなんだなぁと実感しました。
それでは、プレイリストをどうぞ。
以下はメタラー向けの曲解説です。
1.Revolution Saints / When The Heartache Has Gone
元JourneyのDrディーン・カストロノヴァがDr兼Voを務めるスーパーバンド。アメリカン・メロハー王道の系譜を継いだバンドです。この曲はフックがあって素晴らしいですね。歌メロとアレンジが練りこまれています。「この曲は好き!」のご感想を最初にいただきました。ちなみにGtはダグ・アルドリッチ、Baはジャック・ブレイズという夢のような編成。ドラムの手数は多いしベースもブイブイ。ギターソロはメロディー主体ながらそれなりに弾きまくっています。
2.Ghost / Dance Macabre
ポップながらダークでホラーな世界観を持つGhost。以前書いた記事がこちら。この曲はスクール水着で武富士ダンスみたいなコメディ要素もあるのが良かったのでしょうか。こういうメジャー感あるサウンドがお好みの様子。最初の小芝居はいらない気もしますが歌メロが耳に残る魅力的な曲です。ハードロック然としたリフとベースとの絡みがねちっこく、なめらかに流れていくようでどこかしらいびつな引っ掛かりのあるメロディー。世界観はしっかりとサタニックなので北欧メタルの清冽ながら荒涼とした世界観への入り口にもなりうる曲です。
3.Ozzy Osbourne / Ordinary Man
エルトン・ジョンとオジーのデュエット。以前オジーについて書いた通り、オジーの歴史=メタルの歴史とも言える偉大なアイコンです。この曲は映像でオジーの歴史を振り返る内容になっており、メタルの蘊蓄を語るのに適しています。ランディ・ローズについてとか、オズボーンズとか、話の引き出しが多いのも魅力。どこかの話題で興味を持ってくれればオジーを入り口にメタルに興味を持ってもらえます。バラードながらやはりメタルのアイコンとしてのダークさ、存在感が感じられます。
4.Lionville / Nothing Without You
2011年デビューのイタリアのメロハーバンドLionville。素晴らしい完成度の楽曲です。歌も演奏もアレンジも高レベル。こうしたメロハーってなかなか他のジャンルでは得られない高揚感がありますね。メタルとは言えない音像ですが、基本的な構成はメロスピに近い。ギターサウンドとボーカルの絡み合いの醍醐味を感じることができるジャンルです。メロハーはメタルの入り口としていいですね。
5.DragonForce / Heart Demolition
この流れで違和感なく聞けてしまうDragonForce。アルバムを経るごとに音が軽くなっていっている気がしていましたが、メロハーとメロスピの中間ぐらいのプロダクションを狙っていたのかもしれません。曲構成としてはゴリゴリのメロスピとも言えるのですが、ミックスが爽やか。あまり低音を強調せず、透明感あるキーボードとコーラスが耳に残る。曲全体としてはポップな印象を受けるものの、途中からはけっこうヘヴィなパートやシャウトも出てくるので、耳が自然と”メタルっぽさ”に慣れます。
6.SIXX:A.M. / Maybe It's Time
Nikki SixxのSIXX:A.M.の新曲。以前発表した曲をゲストを迎えてレコーディングしなおした曲です。薬物使用者の社会復帰活動支援のための慈善シングル。シリアスなテーマにふさわしいエモーショナルな曲です。Slipknotのコリィ・テイラーはじめ豪華ゲストが参加。メタル・ボーカリストの歌唱力を堪能できる曲です。やはりポップスの人とは歌い方がちょっと違いますね。シャウトはしていませんが伸びる高音、押し寄せるコーラスと低音の聞いたミドルテンポのバッキングでメタル・バラードの傑作です。
7.Tokyo Motor Fist / Youngblood
前曲のシリアスさから少し晴れ間が見える爽やかな曲。こちらも最初のRevolution Saintsと同じくアメリカン・ハードロックのスーパーバンドTokyo Motor Fistの曲。メロハーというよりは80年代ヘアメタルですね。とはいえ今年の曲なので2020年のプロダクション、ミキシングで迫力があります。きちんと楽器隊の聴きどころもアリ。いろいろ聞いてもらいましたが、アメリカ音楽好きにはやはりアメリカのバンドの曲が気に入るようです。
8.Harem Scarem / The Death Of Me
カナダの誇るグランジ・オルタナティブ以降のメロハーバンドHarem Scarem。ちょっとダークな歌いだしでそこそこヘヴィなギターサウンドながら楽曲構成の巧みさで気に入ってもらえました。ボーカルもそこそこシャウトしています。2020年リリースの15thアルバム「チェンジ・ザ・ワールド」からのトラック。感想部は転拍子も駆使した曲構成ながら複雑さを感じさせず一気に押し切ります。
9.Amaranthe / Endlessly
スウェーデンのAmaranthe。ハイトーンの女性ボーカルとグロール・コアな男性ボーカルが絡み合う、メロディはポップながらザクザクした本格派のメタルサウンドを奏でるバンドですが、激しめの曲はNG。彼らのキーボーディストが結婚した時の映像を使ったバラードがあったので聴かせてみたらOK。こういう歌い上げる曲は好きだそうです。実際の結婚の映像、というエピソードも心を動かされた様子。一曲好きになってもらえれば他の曲もいつか気に入ってくれるかもしれません。この曲も間奏~最終コーラスあたりはけっこう音圧が高くドラムもヘヴィですしね。
10.Nanowar Of Steel / Norwegian Reggaeton
ユーモアは偉大です。メタル入門バンドとして意外と人気なNanowar Of Steel。王道メタルに対するメタ的なパロディなどは通じないわけですが、彼らの持っている「なんとなく楽し気な感じ」はメタラー以外にも通じるようです。ギターサウンドはゴリゴリでザクザクながらパーティでイケてる雰囲気と、レゲトンのリズムというわけの分からなさで気に入ってもらえました。非メタラーもメタラーも、子供から大人まで楽しめるいいバンドです。
以上、今回の10曲でした。世にメタラーの増えんことを。
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