71.レバノンのロックシーンを掘ってみる = Turbulence
Turbulence(タービュランス)は2013年結成、2015年デビューのレバノンのバンドです。何度もご紹介しているイタリアはメロハーの殿堂、フロンティアレコードからのリリース。2021年3月に新譜リリース予定です。最近のフロンティアレコードは凄いですね、世界中からいろいろなバンドを発掘するし、プロデュース力も凄い。ナパーム、ニュークリアブラストなどと並んで面白いレーベルです。このバンドも先日紹介したDGMのように高度なテクニックとポップさを兼ね備えたリードトラックをリリースしてきました。レバノンらしさも音階的に多少は感じますね。アルバムだともっとレバノン色が出てきそうで楽しみ。このバンドを見て「レバノンも面白いバンドがいるんだな」と思って少し掘り下げてみました。
BLAAKYUMは1995年結成のベイルートのバンドで、アルバムデビューは遅く2012年デビュー。レバノンのフォークミュージックとスラッシュメタルを組み合わせた独自の音像を作り上げています。聴いてみると独特で完成度が高いですね。2015年にはレバノン代表としてWacken Open Airに出演。激烈性もありつつ正統派メタルファンにも訴求する完成度です。
より潜っていきましょう。
Ayatは2000年結成、2001年デビューのブラックメタルバンドです。伝統音楽を取り入れたフォークメタル的な要素もあり、独自性がありますね。これは強烈です。7分の長尺の曲ですが、7分間しっかりと展開するドラマティックな佳曲。
少し表通りに上がりましょう。
Meenは2006年結成、デビューのバンド。ロックバンドですね。独特の魅力があるいいバンドです。けっこう国内ではメジャーなバンドの様子。確かにメインストリームの説得力も感じます。
民族・伝統音楽色を強めて、プログレを聴いてみましょう。
Amadeus Awadは2010年活動開始、2013年に1stアルバムをリリースしたミュージシャンで、もともとはDeep Purpleなどをカバーするハードロックバンドでキャリアを積んだそうです。この曲は2015年の3rdアルバムからの曲でオランダのThe Gatheringの元ボーカルであるAnneke Van Giersbergenがゲスト参加。ゲストが多く参加し、人脈を感じる1枚です。
レバノンは中東に位置する、アジア大陸でもっとも小さな主権国家です。もともとフランスの統治下にあり、現在もフランスとの関係性が深い。いろいろと話題になったカルロス・ゴーン氏もレバノン出身ながらフランスのルノーのトップに上り詰めました。もともとは文明の交差点とも言える多様な文化を持っており、アラブ諸国の中では比較的裕福な都市で首都ベイルートは「中東のパリ」と言われるほど栄えた都市でしたが、度重なる内戦によりディアスポラ(離散した民)として世界中にレバノン人は離散してしまいました。その影響でブラジルへの移民は特に多く本国レバノンより多いブラジル系レバノン人がいます。とはいえ、復興途上とも言える現在でも産油国を除けばアラブ世界でも裕福な国であり、先進的な国。音楽性も伝統音楽にとどまらずフランスからの影響も感じます。
今日最後はMika。UKで活躍中ですが実はレバノン出身。2020年9月に慈善コンサート『I Love Beirut』を開催しました。今日最後の曲はMikaがレバノンの4人組ロックバンドMashrou Leilaとコラボした曲です。
それでは良いミュージックライフを。