29.歴史+伝統+DIYなフォーク・メタル = Diabol Boruta
B!誌で確か91点だったかな、異常な高得点をたたき出したDiabol Borutaの2nd「Czary」からタイトルトラック。「CRAZY」じゃなく「Czary」ね。ポルトガル語で「魔術」という意味らしい。得体のしれないPVがたまりません。でもなんか安っぽさ(手作り=DIY感)やちょっとしたオマヌケさの中に本物感というか、歴史と伝統を感じる。センスがいいんだろう。歌もうまいんだか下手なんだか、プロダクションも決していいとは言えないが、臨場感がある。引き込まれる魅力のある良盤。これにきちんと91点つけるってのはB!誌もなかなかやるな。この衝撃でしばらくB!誌を読み直している。
ブラック・メタルとか、ペイガン・メタル、フォーク・メタルというジャンルは他にもいろいろあるが、北欧ブラックメタルにおけるキリスト教会焼き討ちとかは、悪魔崇拝というよりキリスト教への反感だったりも背景にあるようだ。北欧の神々は悪魔にされたりしたし、滅ぼされたりしてるしね。民族間の文化戦争。余談だがトロイア戦争で滅びたトロイアの末裔がブリテン王国で、最後の王がアーサー・ペンドラゴン(円卓)という。あのあたりの王朝とか文化とか、ヨーロッパは多重的な構造になっていてそれぞれの文明を掘り下げていくと面白い。
音楽的にはポルトガルなのかな。なんとなくハンガリーとかあっちの民族音楽の影響も感じるけれど、そんなに個別地域、どんな文化・民族がヨーロッパのどの地域に分布しているのか詳しくはない。ただ、こうした歴史と伝統を感じさせる新しいバンドが出てくるのは面白いよなぁと思う。
個人的にはここで出てくる兎耳の妙なキャラクターを見て、イースタンユースの紙袋キャラを連想しましたよ、と。見た目だけじゃん(笑)。まぁでも、手作り感がありながら独自の世界観を作るみたいなところは似てる。こういう工夫一発みたいなのは好き。The Wildheartsの「RED LIGHT GREEN LIGHT」はさすがにやりすぎだと思ったけれど(これ以上ないぐらい低予算で作られたPVを見たい方はぜひ見てみてください)。