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52.外国から見た日本、侍メタル = WHISPERED

WHISPEREDは2001年結成、バンド名を変え最初のデモリリースしたのが2004年。フィンランド出身のバンドです。見ての通り日本文化に強い影響を結成当初から受けており、日本の伝統文化や世界観とメタル音楽の融合を試み続けています。こちらは2016年リリースの3rdアルバム「Metsutan(滅譚)-Songs of the Void」からのトラック。フィンランドから見た日本というか、ディフォルメされた日本のイメージが新鮮です。日本文化は古くはパリ万博で浮世絵や薩摩焼が衝撃をヨーロッパ文化に与え、絵画の世界では印象派を産んだ一因となりました。サムライ・ハラキリ・スシ・ゲイシャ・フジヤマといったアイコン的なキーワード、イメージに加えて、昨今はアニメ・マンガの分野でも日本文化は世界に広がっています。今日はそんな、「日本文化が好きな海外アーティストによる日本文化リスペクトなメタル曲」をいくつかご紹介しましょう。

続いては新世代USメタルの旗手の一つ、Triviumの2008年のアルバム「Shogun(将軍)」よりKirisute Gomen(斬捨て御免)。Triviumは1999年結成、2005年デビューで、ビルボードトップ100にアルバムをコンスタントに送り込んでいる人気バンドです。中心人物が山口県生まれの日系アメリカ人(ドイツ・アイルランド系アメリカ人の父と、日本人の母の間に誕生)マシュー・キイチ・ヒーフィーで、ギターボーカルを担当。特に音楽的に日本を感じる要素は薄いですが、このアルバムではコンセプトとして日本文化、日本の歴史を取り上げています。

続いてSABATONです。サバトンは1999年結成、2004年デビューのスウェーデンのバンド。こちらは2016年リリースの8thアルバム「The Last Stand」からの「SHIROYAMA(城山)」です。城山は西南戦争で西郷隆盛率いる士族軍が明治政府軍と決戦を行った場所。この曲は西南戦争について歌っています。こちらも音楽的には日本要素は薄いですが、単純にかっこいい曲ですね。歌詞は江戸時代の武士たちの最後の抵抗である西南戦争をよく理解しています。

メタル界の吉本興業(褒めてます)、NAPALM RECORDSからの刺客。VICTORIUSは2004年に結成されたドイツのバンドで、2019年リリースの5thアルバム「Space Ninjas From Hell」からのトラック。いわゆる王道的なジャーマン・メロスピ(といっても、実はここまでベタベタなバンドってあまりいない気もしますが)ですが、歌詞がおかしい。まぁ、サムライハラキリスシゲイシャのイメージの日本です。明るく楽しいメタルですね。このアルバムのリリース文はこちら

「ピュア・メロディック・パワー、シンフォニック・メタルバンドVICTORIUSの最新作!! 独自のニンジャ・ファンタジーに乗せたドラマティック・パワー・メタルで、忍者、サムライ、ドラゴン、そして古代日本の歴史の真実を描く!! 邪悪な忍者の一族『サンブラーダー』とドラゴンの神『リングロング』が手を組み、世界を征服した。さあ、手裏剣を手に取り、アストラルレーザーシャークに飛び乗れ!!」

古代日本の歴史の真実はここにはないと思います。

RISE THE NORTHSTARは以前も取り上げたフランスのバンド。こちらは2014年の1stアルバム「Welcame」からのトラック。彼らは本気で日本文化、特にマンガに強い影響を受けており、「すごく強い」の表現を「サイヤ人」と言ったり、衣装が学ランだったりと日本文化へのリスペクトが強いバンドです。フランスは日本のマンガが広く読まれており、より深いマンガ文化への理解と憧憬を感じます。

世界から見た日本。いかがだったでしょうか。最後にいくつか「日本国内でサムライを感じさせるメタル」をご紹介しましょう。まずは和楽器バンド。

2013年結成、2014年デビュー。日本の伝統音楽の実力ある奏者たちによる日本版フォークメタルを奏でています。

人間椅子。1987年結成、1990年デビュー。イカ天出身。日本を強く感じさせるメタルバンドの代表格です。サムライをテーマにした曲はそれほど多くありませんが、こちらは1996年リリースの「無限の住人」より。

GYZE(ギゼ)は2009年結成、2014年デビュー。こちらは2019年リリースの4thアルバム「ASIAN CHAOS」からのタイトル・トラック。

最後はZENITHRASH。2015年リリースの2ndアルバム「Genuine Prestige ~誠たる誉れ~」から抜刀隊。西南戦争をテーマとした軍歌です。2011年の1stアルバム「Restoration of the Samurai World」ではサムライをコンセプトにした日本の伝統音楽の影響を受けたブラックメタルを奏でていましたが、2ndで軍歌メタルに方向転換。軍歌メタルは凱旋MARCHというバンドも昔存在しました。軍歌って節回しが独特ですね。ひたすら歌が続くというか。

今回は和洋のサムライメタルを取り上げてみました。それではまた次回。


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