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LINKIN PARK from zero world tour 2025 @ さいたまスーパーアリーナ 2025/2/11

復活リンキン・パークの来日公演に行ってきました。場所はさいたまスーパーアリーナ。今日は風が冷たい。

物販列

物販列がかなり長かったですね。今回のプロモーター、H.I.P.は以前のknotfestだと物販がかなりスムーズだったのだけれど…今回はそれだけ人々のグッズへの熱量が高かったのか。

遠い道のり

並んでいたら開場時間に間に合いそうになかったので今回は物販は諦めて場内へ。

今回のツアーTシャツ

ステージは360度タイプ。後ろにも客席があり、ステージの周りをぐるりと回れるようになっています。このタイプのステージは格闘技みたいでテンションが上がりますね。さいたまスーパーアリーナで360度ステージを見るのは初。

客層は30代が中心か。20代、40代がそれに次ぐ感じ。彼らがデビューしたのが2000年だからその頃中学生だと今30代半ば。その頃の人たちがコア層なイメージです。メタルライブあるあるのバンドTシャツはあまりおらず。リンキンのグッズを着てる人は多少見かけましたが、やはりメタルライブとは客層が違う印象。同じような年代層だったNex_Fesやknotfestともまた違いますね。どちらかといえばレッチリに近い、かも。メインストリームのロックバンドファン、洋楽ファンというイメージ。

18時過ぎ、ほぼオンスケでライブがスタートします。一曲目からSomewhere I Belong。

ライブ全体の印象として、良いライブでした。発展途上のバンド。まだ粗削りな部分がありつつ(主にボーカル)、それがフレッシュさも感じさせました。これだけベテランで、アリーナクラスなのに新人感があるのもなかなかない体験。いくつか感想を箇条書きで。

・冒頭こそヒット曲で盛り上げたものの、やはりチェスター時代の曲はちょっとテンションが下がる。音域の問題で、チェスターなら絶唱する音域でもエミリーだと落ち着いて歌える。これによってゴシック的な雰囲気が出て面白くはあるのだが、ライブにおける熱狂感は減衰。中盤ぐらいまでは「ヒット曲はみんな知ってるから盛り上がるけどなぁ」という印象。

・エミリーはやはり存在感が薄目。歌はうまい。歌はうまいのだけれどステージングが地味で、どこにいるのかわからなくなる。なんだかんだアリーナクラスのフロントマンは存在感があるが、これだけ大物バンドでフロントマンがそれほど目立たないのは初、ブレイズベイリーがいたメイデンもこんな感じだったのだろうか。ただ、繰り返すが歌はうまい。

・最初のうちはマイクシノダも基本キーボードの前が多かったし、他のメンバーもあまり動かない。広いのに地味なステージ。

・エミリーは自分の参加したアルバム(from zero)からの曲だと存在感が増す。当たり前だが音域が自分にあっているからだろう。

・中盤を超えたあたりからシノダがラップパートでどんどん前に出てくるように。エミリーも自分の絶叫系のボーカルを繰り出すようになる。10曲目のTwo Facedあたりが転機だったように思う。ここでエミリーがある程度会場を支配する。エミリーのスクリームは見事。

・けっこうSEでつなぐ場面が多かった。今回は5回(Act1-4、アンコール)の中断があり、この間はエミリーの休憩だったのだろうか。かなり緊張している様子は見られた。

・なぜかポケモンネタ多し。オープニングもポケモンだったし、途中で「ピカチュウ! 君に決めた(を英語で)」とエミリーが唐突にMC。そして「私の見た目はピカチュウみたい(黄色い服を着てるから)」と続ける。自分が選ばれた、ということをサラっと言ったのか。面白いMC。ただ、基本的にMCはシノダ。エミリーはときどきちょっとしたことをつぶやくだけ。このスタイルは良かったと思う。

・この日のセットリストは下記。

曲名,収録アルバム
Act1
  (SE)Pokémon Theme(Jason Paige song)
  (SE)Inception Intro A(With elements of "Castle of Glass")
1,Somewhere I Belong,Meteora (2003)
2,Crawling,Hybrid Theory (2000)
3,New Divide,Transformers: Revenge of the Fallen (2009) (シングル曲)
4,The Emptiness Machine,From Zero (2024)

Act II
  (SE)Creation Intro A(With elements of "Castle of Glass")
5,The Catalyst,A Thousand Suns (2010)
6,BURN IT DOWN,Living Things (2012)
7,Over Each Other,From Zero (2024)
8,Waiting for the End,A Thousand Suns (2010)
9,CASTLE OF GLASS,Living Things (2012)
10,Two Faced,From Zero (2024)
11,Joe Hahn Solo,(インスト演奏 / ソロパート)
  Empty Spaces
12,When They Come for Me ~ Remember the Name,A Thousand Suns (2010) / The Rising Tied (2005) (Fort Minor)
13,Casualty,From Zero (2024)
14,One Step Closer,Hybrid Theory (2000)

Act III
  (SE)Break/Collapse
15,Lost,Meteora 20th Anniversary Edition (2023) (未発表曲として収録)
16,Good Things Go,From Zero (2024)
17,What I’ve Done,Minutes to Midnight (2007)

Act IV
  (SE)Kintsugi
18,Overflow,From Zero (2024)
19,Numb,Meteora (2003)
20,In the End,Hybrid Theory (2000)
21,Faint,Meteora (2003)

Encore:
  (SE)Resolution Intro A(With elements of "Castle of Glass")
22,Papercut,Hybrid Theory (2000)
23,A Place for My Head,Hybrid Theory (2000)
24,Heavy Is the Crown,From Zero (2024)
25,Bleed It Out,Minutes to Midnight (2007)

各収録曲で言うと下記。

From Zero (2024) : 7曲
• Hybrid Theory (2000) : 5曲
• Meteora (2003) : 4曲(うち1曲は20th Anniversary Edition追加曲)
• A Thousand Suns (2010) : 2曲
• Living Things (2012) : 2曲
• Minutes to Midnight (2007) : 2曲
• Transformers: Revenge of the Fallen (2009) (シングル曲) : 1曲
• A Thousand Suns / The Rising Tied (2005) (Fort Minor含むメドレー) : 1曲
• (インスト演奏 / Drum Solo) : 1曲

最新作からの曲が一番多い。今回のツアーは今発表されているものだと77本。東京2.11は19本目。エミリーが参加して19回目のライブとなる。スタートしたとき(2024.9.5)はfrom zeroリリース前なので先行シングルのみ演奏していた(→ツアー初日のセットリスト)。だんだんと新作からの曲が増えていて、今回のライブでも純粋に完成度が高かったのはやはり新作(=エミリーの声域に合った曲)だった。個人的な話だが、実のところそれほどLinkin Parkを熱心に聞いてきたわけではなく、Meteoraぐらいしか思い入れはない。なので、ヒット曲だろうがほかの曲だろうがフラットに聞けたのだが、新作からの曲が一番完成度が高かったと感じた。ツアーを通じてエミリーも成長し、バンドも変化し、新曲を増やしているのだと思う。まさに試行錯誤、成長の途上。貴重な瞬間。

・エミリーのステージングは課題だと思ったけれど、考えてみたらもともとライブハウスでやっていた人で、下記のような感じ。

歌自体はうまいけれど、パフォーマンスはやはりライブハウスのステージからアリーナのステージに変化している途中という感じがした。19回目だものね。このツアーが終わるころにはどうなっているか、変化が楽しみではある。多大なプレッシャーはあると思うけれど、何気にデビューしてから10年以上やっているベテランなので「熱望していたチャンスをつかんだ」状態なのだろう。ピカチュウのように長年の相棒として長寿バンドになっていってほしい。

・音楽的な話。先述したように熱心なLinkin Parkリスナーというわけではなかったので、正直どんなバンドなのか曖昧。メタルコアとかNu Metalの人、だけどそもそもメタルバンドというのも違和感があるような、、、。という評価だったのだけれど、今回ライブを観て「ああ、Nirvanaを継承しているな」と感じた。一番直接のリファレンスはNirvana。あとはレッチリやメロコア(エピタフなど)とかか。90年代の音楽から連続している。メタル的なリフは多少出てくるけれど、全体としては希薄。激しい表現がある曲についてもエクストリームな部分はメタルよりハードコア由来を感じた。あと、なんか序盤はUnderworldとか最近のColdplayみたいなデジタルっぽい曲もあり、「USの王道のメインストリームロック」を模索していた印象。むしろ、新作はかなりハードコアに回帰した感じ。エミリーも、実は昔のバンド(Dead Sara)ではそんなにスクリームしていない。Linkin Parkでめちゃくちゃスクリームタイプに変わっている。でも、昨今の「ラウドロック」の源流はLinkin Parkなんだろうなと再確認。考えてみたら「ラウドロック」って、そもそも「メタル」って入ってないし。言い得て妙。Linkin Park自身も自分たちのことは「ロックバンド」だと認識していると思う。

大団円

全体としては大御所バンドなのにいわゆる横綱相撲感はなく、新ボーカリストのお披露目と成長・変化途上のバンドをアリーナで見る、というある意味貴重な経験。大観衆を圧倒するよりは、その中で可能性を見せて共感を呼ぶようなライブでした。だけれどマイクシノダを中心に昔からのメンバーはもちろんこなれているし、ベテランと新人が混じっているなかなかないシチュエーション。あとから振り返ると記憶に残るライブだったと思います。このラインナップでの新作が楽しみ。どうフロントマンとして成長していくのか。バンドの物語が気になります。

それでは良いミュージックライフを。

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