悲願の優勝へ!立浪ドラゴンズが歩む道
2022年シーズン、中日ドラゴンズはミスタードラゴンズ・立浪和義新監督を迎え、新たなスタートをきりました。しかし、長年低迷しているチームを再建することは簡単ではありません。7月1日時点で借金10のセ・リーグ最下位。ケガ人も続出し、開幕当初の計算は完全に狂っています。それでも、若い選手を積極的に起用し、新しい姿を魅せているドラゴンズ。悲願の優勝へ、立浪監督が勝利と育成という難しいミッションに立ち向かっています。
若竜を抜擢!
近年、竜の課題と言われている野手陣では、3年目の石川昂弥選手を三塁、岡林勇希選手を右翼に抜擢し、2022年シーズンをスタートしました。昨季まで三塁のレギュラーだった高橋周平選手を二塁にコンバートさせ、新しい布陣を披露した立浪ドラゴンズ。
しかし、交流戦で石川昂選手が負傷し、今季絶望という厳しい現実を突きつけられます。それまで37試合に出場し、打率こそ2割2分台ですが本塁打5本、19打点を挙げ、期待の打撃力を存分に発揮していた石川昂選手。未来の竜打線を引っ張る存在になるであろう石川昂選手の長期離脱に、当初の育成プランが崩壊します。
一方、岡林選手はオープン戦で負傷し、万全の状態で開幕を迎えられませんでした。それでもシャープな打球を広角に打ち分け、7月1日時点で打率2割5分9厘、盗塁も9個記録し、持ち味を発揮しています。大島洋平選手が離脱した際には中堅手も務め、竜の上位打線を担っています。
また、ドラフト2位ルーキー・鵜飼航丞選手も我慢強く起用しています。変化球に対応できず、三振数は増えていますが、自慢のパワーを見せつけ、常に期待感を抱かせてくれています。
若竜を抜擢し、新しい土台を作ろうとしている立浪監督。連日続く試合の中で、上手くいかないことも多いと感じます。それでも、我慢強く若竜を起用し、常勝軍団を作りあげるための土台作りを進める立浪監督。そこには強い覚悟と勝利に対する執念を感じます。
根尾選手を投手に
投手陣では2年目の高橋宏斗投手を先発投手として抜擢し、中継ぎには5年目の山本拓実投手、清水達也投手を抜擢しました。高橋宏投手は登板間隔を空けながら起用し、ここまで9試合に先発して2勝3敗、防御率3.55とまずまずの成績を残しています。
先発を務めることもあった山本投手、清水投手は中継ぎ投手として春先から好調を維持し、ここまで山本投手は28試合、清水投手は30試合に登板しています。また、ロドリゲス投手も中継ぎに転向させると、勝利の方程式の一角を担うまでに成長し、大活躍しています。
そして、根尾昂選手を投手として育成していく方針を打ち出した時には、大きな話題となりました。野手として、鋭いライナー性の打球が増え始め、高校時代の良さが戻ってきた印象の根尾選手。それでも、立浪監督は投手として育成していく道を選びました。
そんな根尾選手は中継ぎとして150㌔を超える直球とキレ味鋭いスライダーを軸に打者を打ち取っていきます。イニング跨ぎ、連投能力、そして先発適性。様々な課題や不明点が多い中で、懸命に腕を振っている根尾選手。今後の起用法に注目が集まります。
誤算
誤算もあります。投手陣では期待の4年目右腕・梅津晃大投手がトミージョン手術で長期離脱、同じく4年目の勝野昌慶投手も早々に離脱するなど、将来有望な若手先発投手陣が次々と離脱しました。
また、人的補償で加入した岩嵜翔投手は記念すべき竜初登板、1人目の打者に四球を与えたところで負傷降板。打者1人のみの登板となり、開幕当初から勝利の方程式が崩れた瞬間でした。
そして、与田剛前監督時代にリリーフ陣を支えた祖父江大輔投手、福敬登投手がまさかの不調。共に2軍調整を経験し、中々本調子とはいっていません。
野手陣では主力の京田陽太選手、高橋周平選手が波に乗れず、苦しんでいます。また、不動の主砲・ビシエド選手も本来の打撃とは程遠く、さらに故障離脱するなど、打線を牽引できない試合が続いています。
育成と勝利の両立へ
様々な誤算や試練が襲ってくる中で、若竜を我慢強く起用し、土台作りを進めている立浪ドラゴンズ。そこに、三ツ俣大樹選手や溝脇隼人選手、松葉貴大投手など1軍経験を重ねた選手達が躍動し、土台の脇をがっちりと固めています。A・マルティネス選手も台頭し、新たな打線の姿を魅せています。
後は主力選手が本来の調子を取り戻せば、一気に上位を狙えるチームへと変貌します。ただ、離脱している選手も多く、チームを再建することは容易ではありません。それでもミスタードラゴンズと呼ばれる立浪監督の手腕に期待を抱くファンは多いでしょう。
まだ就任1年目。いきなり育成と勝利の両立を達成するのは困難かもしれません。それでも、将来有望な若竜を我慢強く起用し、土台が固まれば優勝を狙えるチームに変貌します。今は耐える時。育成と勝利の両立、難しい舵取りを迫られている立浪監督の今後に注目です。
【出典】