「から」そして「器」
少女、家、山、人形…
様々なモチーフが描かれる大槻香奈の作品ですが、ご本人は一貫して「から」を描いていると言います。
それは「殻」であり「空」でもある。
外型を持つ対象でありながら、同時にからっぽでもある。
言い換えるならばそれは、「器」的な存在です。
https://twitter.com/kanaohtsuki/status/1071617875524243456?s=21
大槻香奈「お人形を置いて」
2018年/ケント紙、アクリル
『器』という対象、古語では「ウツハモノ」。
分解すると「ウツ(現、虚、空)+ハ(端)+モノ(物)」。
「ウツ」は「現(うつつ)」「虚(うつろ)」「移ろい(うつろい)」のウツです。ここには概念として実在と空虚と変容の概念が含まれています。
いわゆる色即是空で諸行無常です。
つまるところ『器』は「現」と「虚」が「移ろう」「端」の「物」ですね。
このアンビバレンツな概念こそが鈴木大拙の言う「日本的霊性」や西田幾多郎の「絶対矛盾的自己同一」に根ざす感覚であり、日本文化の根底に脈々と受け継がれている本質だと僕は睨んでいます。
もう少し話を具体的にしましょう。
御飯茶碗を思い浮かべてください。
その本質はどこか?
物体としての茶碗であるのか。
それとも御飯を盛り付ける空間であるのか。
その解は両方であり、「現」と「空」の両義的存在です。
その「器」の見方についてはまた別の記事にします。
(とは言え、日常言語の論理の中では矛盾を孕む概念ですので語れば語るほど本質から遠ざかる危険が大きいのですが…)
大槻香奈「ひなあそび」
2018年/ケント紙、アクリル
大槻香奈の描く「から」の概念は『器』と隣り合わせです。
時代性を捉えながらも、その根底は歴史を超越する価値観が漂い、活動のボーダレスさも相まって真に「日本的」なハイブリッド感覚を想起させます。
「から」そして「器」という概念と接続することも、鑑賞の一手段として。
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〜いつでも何度でも、ささやかな祝福を。〜
白白庵 企画
大槻 香奈 個展「祝福、ふたたび」
Minami-aoyama PAKUPAKUAN presents :
OHTSUKI Kana solo exhibition “Blessing, once again”
日程 2018年12月8日(土)~16日(日)
*会期中無休
時間 11:00~19:00
会場 白白庵(ぱくぱくあん)
〒106-0072 東京都港区南青山二丁目 17-14
TEL&FAX 03-3402-3021
www.pakupakuan.jp
info@pakupakuan.jp
時代の中で変化する社会と人間。
「少女」から「蛹」、「家」と主題は移り、今まさに大槻が描くのは「日本人形」。
現代生活の中で失われる存在に「祝福」と「再生」の祈りを込めて。
いつでも何度でも、ささやかな祝福を。
【企画詳細・作家プロフィール】
http://www.pakupakuan.jp/event/blessingonceagain.html
【イベントページ】
https://www.facebook.com/events/258646134801797/
【出展作家】(敬称略)
大槻 香奈 OHTSUKI Kana
1984年生まれ。
京都出身、東京在住の美術作家。 2007年より活動をスタートし、国内外問わず様々な展覧会に参加。
現代日本を「蛹」的に捉え、そこで生まれゆくものと死にゆくもの、またそれらを内包する世界の姿を客観的視点で描く事を試みている。
代表的シリーズであるアクリルで描かれた少女のポートレートをはじめ、抽象表現、立体、イラストレーションなど、年々表現の幅を広げている。
http://ohtsuki.rillfu.com/
【企画・ディレクション】
石橋 圭吾 ISHIBASHI Keigo(白白庵|有限会社ニュートロン)
★会期中の作家による在廊、イベントなどの予定は、白白庵SNSでも随時配信
《Facebook》 www.facebook.com/pakupakuan/
《Twitter》 @pakupakuan_
《Instagram》 #白白庵
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