まぼろしの街
川の向こうはまぼろしの街
憧れだけが暮らす街
行手を遮る流れの先で
陽炎のように揺らめいた
試すようにそびえている
川の向こうに建つマンションと
睨めっこをしていたら
音を立てて急行列車が橋を渡った
空っぽの列車にも
空っぽの僕は乗れなくて
空だけがやけに鮮やかで
昼間の月が笑う
溜息で編んだ翼で飛ぶには
今の体は重過ぎて
座り込んだままで
どこへも飛べはしない
知らん顔して流れる川の
冷たい風に揺すられて
夢から零れて目が覚めた
川の向こうはまぼろしの街
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