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中学受験で偏差値50台が安田学園中学校を選んだ理由。【私立中学受験】【偏差値50】【総武線】【説明会】【ブログ】【評判】
更新履歴
2024.11.26 一部修正。『おわりに』を追加。
2024.11.19 加筆・修正。図表画像追加。
ひとまず完成。
2024.11.18 タイトル変更。記事を1つに統合。
はじめに
安田学園中学校受験について説明します。この記事の対象は安田学園について知りたい人です。
安田学園のことを最近知った。
安田学園を塾や知人に勧められた。
安田学園が受験校として気になっている。
時間をかけずに安田学園のことを知りたい。
といった方々です。
小学生も読む可能性があるので、なるべく簡単に書きたいと思います。記事では最初に結論、すなわち「安田学園に向いている人」を述べます。安田学園中学校の受験を検討するには、この結論部分だけを読めばよいです。
次に、どうしてその人たちに向いているのか、その裏付けとなる理由(考え方や実情)を説明します。実は入学したいというモチベーションを維持して勉強を継続することが、受験生・保護者とも最も難しかったりします。この理由編は自身の志望校選択を信じる(迷いをなくす)支えとなる理屈を身につけるためにあります。
中高大どれでも学校選びというのは「靴」選びと似ています。いくらインフルエンサーが勧めていても、写真を見たり、サイズの説明やレビューを読んでも、試着してみないと自分の足の形に合うものか、好みの色かはわかりません。
上級学校(特に大学)になるにつれて受験校数は多くなり、実際に行く・見るということがおろそかになりがちです。説明会に参加し、学校や在校生、教員の様子や雰囲気を直接肌で感じることを強くお勧めします。
今後もこの記事の内容は必要に応じてアップデートする予定です。質問やコメントがあった場合は、適宜この記事に追加します。
最後にお約束ですが「学校選びは自己責任」です。この記事はあくまで筆者の考え方をまとめたメモと考えていただければ幸いです。
結論編
結論だけ最初に教えてください。どんな人が安田学園に向いているのでしょうか?
共学校がいい。
総武線、京成線、東西線、都営新宿線、都営浅草線、大江戸線沿線に住んでいる。
4科目型で受験する(or 適性検査型で受検する)
勉強がめちゃくちゃできるわけではないが、普通~普通よりできる。
80偏差値で50~60程度。
大学進学実績を重視する。
海外大進学はしない(経済的にできない)。
派手な子が少な目、朗らかで穏やかな生徒が多い学校がいい。
中学受験後も塾・予備校に通うのは面倒だし、経済的にも厳しい。
学費はなるべく抑えたい。
制服がある方がいい。
安田学園を併願校にするケースの第一志望校群
【都立】両国、白鴎、小石川、九段、桜修館
【私立】渋幕、市川、開智日本橋、芝浦工大付属、攻玉社、高輪
理由編
次に理由編です。先程の結論で示した志望理由はどこでも当てはまりそうですが、意外とそういう中学校は少ない。いろいろ調べてみると残ったのが安田学園だった、ということです。また、各学校の説明などで「夢のようなこと」を語る(騙る)場合も多くあり、本当にそれが実現できるのか、あるいはプログラムが本当に実践されているのかには注意が必要です。
・海外大進学も夢ではありません!【ただし、裕福な家庭に限る】
・本校の指導で、進学実績が伸びています!【実は通塾率が高い】
・文武両道!みんな楽しく学校生活を送っています!【陽キャに限る】
・アクセスも良く、周りの環境も安全です!【通学路に繁華街あり】
などですね。「普通の人」は普通の耐性しか備えていないので、これらの雑音や誘惑に対抗できずに、多少のデメリットには目を瞑る、あるいは子供に良い情報のみを話して操作し、学校側の語る夢のような説明を鵜吞みにして、半ば妄信・盲信して受験してしまいます。
入学後に、学校側の説明と実態とのギャップを感じて腹を立てるのも嫌ですし、何よりこどもが私と学校とのいざこざに巻き込まれたり、デメリットを受けとめねばならないのはかわいそうです。できるだけ学校側の説明や実践と、こちらの期待や考えとのギャップを少なくしたい。簡単に言うと「口八丁の学校は避けたい」「現実的で、実現可能な教育の実践をしている学校を選びたい」ということです。
考え方や理由を説明する重要性はここにあります。人間の感情を巧みについてくるこれらの情報への対抗力を身につけるために、知識武装というか、学校を探す観点や理由、理屈を整理したいのです。
基本となる考え方
偏差値50台の「普通の子」は「私立の」 「大学附属ではない」 「中堅校」を狙う。
私立中学を選ぶ理由はいくつかありますが、ここでは要点だけ述べます。
すべてのサービスには費用がかかり、さらに良いサービスや良い材料には相応の手間がかかります。つまり、費用設定にはきちんとした理由があり、良いサービスには費用がかかるのが当たり前です。適正な費用を払って、それに見合うサービスを受けられればそれで良いと考えています。
言い換えれば、妙に安い、妙にお得、または妙に高いケースを避けたい、ということです。これらは普段の生活、例えばスーパーでの買い物を考えればわかることです。
値引きがされているのは消費期限が近いから。妙にお得なのは国産ではないから。惣菜が高いのは作る手間がないから。コンビニが高いのは24時間営業だから。その財布が妙に高いのはブランドロゴが入っているから。中身は東芝製と同じなのに、そのノートパソコンが高いのはVAIOと書いてあるから等々、例を挙げればきりがありません。
妙に安いものを探したり、安いからと飛びついたり、ブランド的価値や親の見栄のために高い費用を払う必要はないのです。
サービスが悪い上に費用が高い場合はどうしようもありません。騙されたのかもしれません。サービスが悪くても安い場合は「まあ安いからなぁ…」と考えてしまいがちです。一方で、きちんと費用を払っていれば、こちらもサービスに対してある程度の要求ができます。「お金払ってるのに、このサービスはおかしくないですか?」「メニューに記載されていたものと内容が違いますよ」等ですね。
具体的には、ここでいう「安い」とは、公立一貫校のことです。「高い」というのは名門校、ブランド校、大学付属校などや、寄付金や学債が必要になる私立学校のことです。
つまり、最も人数の多い偏差値50前後の受験生の場合は、「大学付属ではない、私立の中堅校」を狙うのが良いということになります。
「私立」 「大学附属でない」 「中堅校」 「4科目型」のメリット
以上で述べた事項の裏返しになりますが、ここでまとめておきます。
「私立」
適切な費用を払えば、良いサービスが受けられる。
費用の安さを売りにしていない。
施設、設備、人材が充実している。
授業時間(時数、日数)が多い。
使用教材に「検定教科書縛り」がない。
大学入試科目に直結する4科目で受験できる。
塾や予備校に行かなくてもよい。
時間的、経済的な無駄がない。
「大学附属でない」「中堅校」
偏差値や倍率がそこまで高くない。つまり、合格を狙いやすい。
見栄やブランド・寄付や学債など、無駄な費用がかからない。
附属大学がない分、緊張感があり、6年間中だるみせずに済む。
実力がついていれば、合格した大学へ安心して進学できる。
「4科目型受験」
受験校の選択肢が多い。併願可能。受験機会を多くできる。都立一貫校受検と異なり、多くの私立中学校から第1志望に加えて併願校を設定できます。例えば『第1志望は挑戦校の開智日本橋で、実力相応校は安田学園、滑り止めには~』などということもできますし、あるいは『安田学園を5回受験する』ということも可能です。受験校数を増やすか、受験回数を増やすか、どちらにせよチャンスを広げることができます。
従来の算国理社の4科目型は、中学受験であっても内容は中学範囲まで踏み込んでいます。国語はずっと続きますし、算数で得られた計算能力は数学の強固な土台になります。特に日本史については、好きな子は大学受験レベルまで仕上がる可能性もあります。
中学受験で得た知識は受験だけでなく、中高の間はもちろん大学受験でも使える(無駄にならない)のです。中学受験で頑張った分は中学校生活のゆとりを生み、中学校生活のゆとりは高校範囲習得の時間を生み、高校で得た時間的猶予は大学受験のための時間に充てることができます。
これが4科目型の大きなアドバンテージです。この時間が先取りや時間効率化、発展学習へとつながり、私立一貫校が良い大学進学実績を生むカラクリの基盤であると言えるでしょう。
一方、適性検査型はそのあたりがあいまいです。先に繋がる具体的な成果が得られにくいと感じます。『考える力』『生きる力』『利活用する力』『教科横断型』など、誰もが必要だと感じそうなことを並べてきますが、『それって具体的に何?』と問われると、これまた曖昧な回答しか返ってこなさそうなもの。
文科省の好きそうな(常套手段?)、耳触りの良い実に表層的な目標・目的・お題目だと感じます。政治家が選挙のときだけ言う『みんなが安心して暮らせる社会を創ります!』『高齢者を大切にします!』『子供たちは国の宝!教育に力を入れます!』といったセリフにも似ています。
最近は適性検査型入試をやめる私立中学が増えた印象があります。理由は様々でしょうが、想像するところでは…
第1志望が都立である受検生がほとんどであるので、不本意入学者が当然多くなる。つまり、真に『教育方針への賛同者・学校のファン』ではない。
適性検査型で入学した生徒の成績がいまいち伸びない。
実施コストが高い割に、受検者/入学者が少ない。
作問・採点が大変である。
ちなみに、安田学園では適性検査型入試は生きています。近隣で適性検査型で受験できるところはほぼないかもしれません。
余談ですが、帰国生入試や英語入試をやるところは増えている印象です。やはり大学受験では英語が得意であることは大きなアドバンテージになるので、例えば小6時点で英検準2級以上の力を持っているような生徒を早くから確保して、進学実績の上乗せが見込める集団を作ってしまおう、という狙いがあるのでしょう。帰国生は海外大学進学も視野に入れてくれるかもしれません。まあどちらにせよ、いわゆる「純ジャパ」の普通の子には関係のない話です。
各論
中堅校って地味な感じがするんですけど。公立一貫校はダメなんですか?
はい。
公立一貫校を避ける最も大きな理由に「公立不信」があります。その1つ目の大きな理由は知り合いの公立教員夫婦が、自身のこどもを私立中学に通わせていたことです。これはマクドナルドの店員が「マクドナルドは絶対に食べない方がいい」と言っているのと同じで、強いて言えば『背信行為』です。個人の自由とは言え、これは非常に白けます。
第2に合格しづらいこと、受検をするとなると塾、つまりほぼ1人勝ち状態の ena に入ることになるのでしょうが、準備をしても合格できなければおもしろくありません。すべてが無駄とは言いませんが、繰り返し述べているように適性検査に向けた学習が本当に役に立つのか私は懐疑的です。
共通テストもそうですが、問題を文章化して無駄に複雑にしているような。これって本当に『読み取る力』になるんでしょうか。
我々大人でも日常生活で複雑な文章を短時間で読み解くことってあまりないように思います。保険の約款だとか説明書の類をきちんと読んで理解している人がどれだけいるのでしょう。普通であれば、ニュースと小説と新書を読むぐらいのものでしょう。ネット記事の誤字脱字の多さには辟易しますが、電車内を眺めてみれば、スマホでTikTokやアマプラ等で動画やアニメを見たり、ゲームをしている人ばかりです。最終的には人間そんなものでしょう。
受検校の選択肢が少ない、受検機会が少ないことも合格しづらい、または受検勉強が無駄になりかねない大きな要因になります。基本的にはどこか1校の受検を選ぶことになりますから、併願校という考え方がしづらい。変な言い方になりますが、せっかく塾に通った(金を費やした)のに、不合格になって近隣の公立中学校に通うことになった、ではもったいない感じがします。
週30時間(土曜日なし)も私立と比較すると見劣りします。週4時間×年間30週×6年間だと、私立よりも720時間も授業時間が少なくなります。これは1日2時間の勉強を約1年やることに相当します。高3時の1~2科目分の学習量と言ってもいいでしょう。それだけの時間的な差がつきます。
余談ですが、例えば英語だと使用教材は私立とあまり変わりません。小石川はZ会のNewTresureを使っていますし、都立両国はBasic Grammar in Use(Cambridge)を使っています。でもこれってどうなんでしょうか。
普通の公立中学校では検定教科書を使っている(使わさせられる?)のに、一貫校では副教材を中心に据えている。国公立大学は「検定教科書を使って『深く』理解できれば合格できますよ」というのが前提にあるはずです。そんな中、都立一貫校が副教材中心の指導を行っていることは「検定教科書では難関国立は受からない」と暗に伝えているように聞こえるのですが…。お上(本社=文科省)が採択した検定教科書で進学実績を出しなさいよ、と思ってしまうんですけどね。こういった本社理念と現場に齟齬がある点も、個人的には気になります。
適性検査での受検にも難点があります。
1つ目は対策がしづらいこと。
適性検査型は何をどう改善すればいいのかがわかりづらいのです。「この科目は苦手/得意」「〇〇算は苦手/得意」など、そういう特性がわかれば努力や練習のしがいもありますが、慣れだ・練習だといってひたすら適性検査型の問題を解く・文章を読む・書く、それなのに成果はでないとなると、子供も親もつらい状況になりかねません。
別の見方をすると、解答がどう判断・採点されるかもわかりづらいため、検査結果(合否)も読みづらくなる可能性があります。ということは、模試の判定も頭1つ抜けているぐらいでなければ当てにならないと言えるかもしれません。努力した分、できることが増え、点数が上がり、合格が出る。そういう勉強をさせたいと思うのです。
加えて、効果があるのかよくわからないのに、塾の対策講座の費用を出し続けるのも避けたいところです。これは怪しげなサプリメントや健康食品に金を払い続けるのと同じようなものだと私は感じます。手ごたえもなく、金だけが出ていく。これでは疲弊します。
もう1つは大学受験につながっていないことです。
国公立大学『も』適性検査のような入試や出題を行っているのであれば良いのですが、実際の入試は『英数国理社の6教科8科目』受験です。(『情報』が増えたため5教科7科目ではなくなった)。公立一貫校入試での対策が、時間的にも経済的にも無駄になりかねません。
また、大学受験に向けてこれまで述べてきたような様々な遅れを補填するために塾や予備校に通うとなると、公立一貫校の圧倒的なアドバンテージである学費の安さも吹き飛ぶ可能性が出てきます。塾や予備校は普段の授業に加えて、春・夏・冬の講習などがあるので出費も多くなります。
さらに、学校に加えて塾・予備校に通うとなると、移動のための時間、交通費、食費がさらに必要になる上、塾のテキストを持ち歩く労力も増えます。予習復習も2倍3倍となると、経済的、時間的にオーバーワークとなり、親子共にパンクしかねません。実際に通うのは子供自身なのです。なるべく負担は減らしてやりたいところです。
学費の概算表 《参考》
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上の表をまとめたものがこちら。
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税金が投入されているので、私立学校にとっては「民業圧迫」と感じられるかもしれませんが…… 塾・予備校に行かなければ、都立両国(都立一貫校)には学費の安さについては圧倒的なアドバンテージがあります。
ただ、6年間塾・予備校に通ったとして、かつ、その費用を概算した場合、「学校完結型(塾・予備校不要)」を謳っている安田学園との差はあまりありません。ただし、この表中の塾費用は簡略化するために雑に見積もっていますのでご注意ください。(個別指導塾ぐらいの価格設定です。塾費用は青天井なので、お子さんの希望と家庭の経済状況次第でもあります)。
加えて、安田学園の特待「40万円の給付」を受けられた場合は、月あたり約3万円の差が縮まります。これはなかなか大きいです。そのためには入試で上位合格を勝ち取る必要が出てきますが、これは当日の相手次第で狙ってできるものでもないので、ラッキーオプションぐらいに考えていた方が良いでしょう。「偏差値50の普通の受験生」に要求するのは厳しいでしょう。とはいえ、高偏差値帯にいる受験生からすれば、基礎・標準問題の出題が主である安田学園の入試では、特待を狙いやすいかもしれませんが。
むしろ、塾・予備校にいくことは経済的な問題もさることながら、時間的な問題の方が大きいような気がします。『都立両国から合格が出ているにも関わらず安田学園に入学した、という受検生もいる』との説明がありましたので、そのあたりを含めて考えて出した結論かもしれません。
都立両国でも当然塾通いは必須ではないのですが、学校での学習時間、つまり、授業が受験対策に直結しておらず、無駄に(感じる状態)なっていた場合、あるいは土曜授業がない分など、それらを補填するために塾・予備校にいくことになったとしたら、そのための労力も必要になります。
中学受験、高校受験で塾通いを経験した人ならばわかると思いますが、塾の準備や移動はかなり面倒です。1度帰宅して、着替えたり、食事をしたり、色々と準備をして塾に行く。保護者は食事を準備する手間や費用も必要になるでしょう。この時間は1回1回はそうでもなくても、6年間のスパンでみたらかなり大きくなると思います。
仮に週3回、準備や移動に1時間かかるとすると、月に12時間、年間で144時間、6年間で864時間です。土曜日授業の有無と同様に、これも1日2時間の勉強を約1年分やることに相当します。高3時の1~2科目分の学習量です。
名門ってかっこいいじゃないですか。それに大学附属校は合格してしまえば、楽で安心できませんか?
できません。
まず第1に(無駄に)人気があるため、どちらも自然と競争率が高くなる、つまり、偏差値が高く合格しづらいのが難点です。偏差値50台が『挑戦する』にはいいかもしれませんが、欲を出すとそれによって、実力相応校の受験機会が減ります。後に行けば行くほど倍率は上がるので、受験校増は慎重にやる必要があります。
志望校としては「普通の子でも努力をすれば(塾に行けば)なんとか勝負になる」ところを探す必要があります。子供の能力にもよりますが、努力次第といっても伸びしろには限界があります。いいなと思っていたけど入れない(不合格)ではおもしろくありません。本当にできる子は5年生から塾に入っても上位にいくようですし、偏差値60を超える偏差値のお子さんは、中学受験に向けて努力している子たちの中でも、上位16%に入るという本当に「選ばれし者」なのです。
一方で、3年生から塾通いを始め、時間的努力を重ねていたのに、途中で成績の伸びが頭打ちになってしまった場合、名門私立や大学附属校の合格に夢をはせていると、時間的・経済的投資に成果が見合わず、親も子もつらくなります。その結果、親子ともお互いに傷つけあうだけの受験(期間)になったとしたら、それは非常に不幸な結果と言わざるをえません。
塾・予備校も商売ですから、名門私立や大学付属校の実績を出したがりますし、少しでも可能性がある子には積極的に勧めるでしょうが、その「夢の学校」が子供に合っているかはわかりません。塾の都合でノセられていたり、親も無意識のうちに親の都合で子供に対して、情報を制限したり(この学校の中から選びなさいね等)、操作している(この学校が1番あなたに合うのよ、あなたのために言っているのよ等と誘導する)可能性もあります。
たしかに、大学附属校の場合は、高校受験も大学受験もなく、楽なように見えます。ですが、どこの大学も内部進学した生徒は一般受験組と比較して学力的に劣ることが多いのです。一般受験のためにいくつもの問題集にあたってきたグループと、範囲の決まった中高の定期テストでそれなりの成績を収めてきただけのグループ、どちらの実力が上かは明らかです。
ひどい言い方をすれば、中学受験時をピークに高倍率を突破し『高い費用と多くの時間をかけて、ゆっくりとバカになっていく』ということです。
《参考リンク》
勉強しないし、忍耐力もない? 「付属校出身者は就活で不利」は本当なのか
大学附属校に入れば安心?内部進学だと就職に不利? 附属校のメリット・デメリット
つまり、結局『どこかの時点で「自力で」頑張らねばならない』のです。私個人としては、最終的に中高6年の集大成として、体力・気力・精神的にも成長してきたところで、大学受験にはしっかり取り組んでもらいたいと考えています。
中高で苦労が少ない代わりに、大学以降で苦労するのでは結局意味がありませんし、遅れを取り戻す時間ももうその頃にはありません。残るのは学歴だけ。就職のときに実力がないことが露呈したらどうなるのでしょうか。やるべきときにしっかりやる。そのときとは間違いなく大学受験です。保護者主導の中学受験とは違い、これが自立の第一歩になります。
最近では採用試験時に企業も大学受験の入試形態まで見る場合があります。総合型選抜(いわゆるAO入試のようなもの)や学校推薦型選抜(公募推薦)、指定校推薦、附属校からの内部進学だったのか、それとも実力勝負の一般受験だったのか、それによって本当に実力があるかどうかを問われる可能性もあるのです。
指定校推薦は附属校と同じ
安心、安全な進学方法として各高校にある指定校推薦枠を使いたいと考える人も多くいると思いますが、これは附属校経由で大学に進学するのに似ています。結局、高校在学中に定期テストで良い点を取ることに専心することになるからです。
長距離走者の一般受験組と比較して、決められた範囲でコンスタントに高得点を出す短距離走者である指定校推薦組は、結局のところ附属校内部進学生とやっていることは同じです。大学に入ってから苦労する学生が多いのはそのためでしょう。結局は大学側の「楽に」「確実に」「早い段階で」学生を確保したい、という思惑に乗ることになります。まあ学費さえ納めてくれれば大学としては文句はないでしょうが、私としてはそれはおもしろくありません。
定期テストで良い点を取り続けることも簡単なことではありません。それはそれで素晴らしいことです。ですが、頑張った結果として指定校推薦を狙うにしても、校内に自分よりもできる生徒がいて、その生徒と同枠を争うことになった場合は選考に負けてしまうことになります。
また、附属校でも成績によっては、志望する『学部学科』に上がれない場合もあります。上流の大学の人気が傾いてしまっては、傘下の附属校の人気も低下し、集客のシステムが崩壊しかねません。大学も質の維持には気を使うので、人気学部や医歯薬系は成績上位でないと選べません。
某マンモス大学が統治の仕組みと運動部の件で揺れてから、大学の志願者数は同偏差値帯の中では1人負け状態で減り続けています。その影響は当然附属校にも響いているでしょう。『楽で安心だけど、最終学歴が不祥事続きのあの大学じゃなあ』と小中の受験生に思われるようになると、この集客システムは根腐れを起こしてしまうことを、この例は教えてくれます。
ですから大学も学生の質を維持しようとします。そうなると、附属校内で下位の者はどこにいくかと言えば、適当な学部や不人気学部で養分にされるか、放り出されるかのどちらかになります。
何が言いたいかというと、自分の進路を自分の力だけで切り開けない可能性がある、ということです。この枠は自分のものだと思っていたのに、仮に誰かが急に進路変更を申し出て、校内選抜で負けてしまった場合はどうするのでしょうか。一般受験に切り替える、またはそれができる実力があれば良いですが、途中まで短距離走者だった者が、急に長距離走者へと転向できるものなのでしょうか。それは学力もそうですが、マインドの問題もあります。
マインド(心)が折れてしまって、他の指定校推薦枠を探すことにした場合はどうなるでしょう。これはもちろん大学のランクを下げることになります。その中に気に入るものがあればまだよいですが、残念ながらその時点ですでに「不本意入学」に近い状態になってしまうのです。自分の努力だけで、運命を切り開けない。こんなに悲しいことはありません。
というと、一般受験も同じだろう、という声が聞こえてきそうですが、少なくとも一般受験は平等です。上から何人という枠はもちろんあるでしょうが、大学受験はぴったりの募集人数と同数の合格者を出すわけではありません。合格最低点を超えさえすれば、どんな顔をしている者でも、仮に高校在学中に何らかの処分を受けたことがある者でも合格が出るのです。
附属校の養分にはなりたくない
養分:主にネットゲームやギャンブルなどのコンテンツで、大量のお金や時 間を使い、そこから利益を得る企業側のために貢献する(つまり、企業を「養う」)人のことを指します。
大学附属(あるいは提携)の学校が増えているのは、少子化に向けて確実に進学できる大学を確保し、それを募集の売りの1つにしたい中学高校と、早い段階から入学者を確保したい大学側の利害が一致しているからです。とはいえ、早稲田、慶応をはじめ、いわゆるGMARCHと呼ばれる私立大学はすでに附属校を持っています。
ですから中高で附属校を持たない中堅以下の大学がこの「青田刈り」の集客システムを構築しようと奮闘しています。京北や千代田国際、目黒日大あたりが該当する学校でしょうか。
また、大学では「推薦入試での合格者が増えた/増やす」なんてことがよく聞かれます。これは入試形態の多様化、選抜基準や観点の拡大など色々な言い方がされていますが、推薦入試や指定校推薦枠というのは、要するに大学側が入学者を「手っ取り早く」「確実に」「早い段階で」確保する方法です。
そういった枠は増えるし増やしたいに決まっています。ただ、質(=学力)を担保するのが難しいため、例えば、推薦では一次試験通過としておき、二次試験として共通テストに基準点を設けて、それを超えれば晴れて合格とする、といった方式がよく見られます。
大学の入学者確保の観点からすると、一般受験は試験の手間もありますし、合格基準の設定、歩留まりの上下等、気にかけなければならないこと、つまり面倒や不確定要素が多いのです。合格を出しても入学してくれるかはわからない。だからと言って合格最低点をさらに下げれば質が下がる可能性があるし、人数を多く取りすぎると補助金のペナルティもでてくる。こういうことをすべて簡単に解決してくれるのが内部進学生です。
問題行動や極端な学力不足さえなければ、内部進学生やその他の推薦(指定校推薦等)を使って入学してくれる人は、いわば上客です。中学3年、高校3年、大学4年の計10年間もグループ内で学費を払い続けて金を落としてくれるのですから。文句も言わず、売り手が大したことをしなくても、怒るどころかむしろ喜んで学費を納めてくれるのです。すべては最終的な附属大学の看板のため。これは子供のためになっているのでしょうか?
やっぱり共学がいいか
男子校・女子校それぞれに良いところはあるのでしょうが、大学や就職のことを考えると…というか、ごくごく自然な状況としてやはり共学というのが良い気がしています。女子校出身者に話を聞くと(自虐や冗談も含んで)、あまりいい話が聞けません。
例えば、リストにもある女子校の話では、指定校推薦枠を巡ってある時期になると怪文書が出回ったりすることが例年のことだとか。具体的には誹謗中傷の類、喫煙者だのなんだの、根も葉もない情報提供が学校に来るそうです。おそらく同枠を希望する同級生を失脚させようとしているのでしょうが、そういうことに巻き込まれたくはないものです。
スクリーニング
総武線沿線の中学校
以上の条件から、総武線が最寄り駅の中学校をリストアップしてみます。
<路線図順>
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<内容別にソートしたもの>
「私立中学」「附属大なし」「共学校」「総武線沿線」
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絞り込みの結果
「私立中学」「附属大なし」「共学校」「総武線沿線」の絞り込みの結果
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上位3つは超進学校です。塾としては合格者を多く出したいところでもありますが、『可能性ありますよ!挑戦しましょう!』みたいなアドバイスをされても無視することにします。合格が出なければ意味はないのです。
後述しますが、突撃・玉砕するにしても、安田学園の過去問で得点率70%を確認してからでも遅くありません。幸いどれも千葉県なので、試験日は安田学園とはぶつかりません。記念受験も悪くはないでしょうが、受験料の3万円を親の見栄のために無駄打ちするくらいなら、合格祝いの外食やプレゼントに使ってやりたいと思います。
というわけで、現実的な偏差値で上下に分けると
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可能性がありそうなところで残ったのは3校です。偏差値のばらけ方もいい塩梅です。やっぱり意外と少ないんですよ。まあ選ぶのが楽になってよいのですが、4条件に合致していて、最もボリュームの大きい偏差値50台だと、この3つが候補になるでしょう。特に開智と安田学園はやはり人気があるようです。
開智日本橋は開智国際大学がグループにありますが、どちらかというと附属大学に進学するというよりは、難関大の進学実績を出そうという志向が強いため、▲マークをつけてあります。偏差値も偏差値50台からするとちょっとチャレンジ校という感じでしょうか。
安田学園は文句ありません。これらの条件での絞り込みではドンピシャ。
日出学園も校舎が新しくなったばかりです。
進学実績比較(私立中学間比較)
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進学実績を見てみると、日出学園は数値的にやや見劣りします。開智日本橋は1番良い印象がありましたが、率で出してみると国内の難関校は安田学園の方が良い数字でした。一方、開智は海外大の合格者数が多いですね。ちなみに安田学園の海外大進学はわかりませんでした。0名ではないですが、あまり売りにしていないようです。
進学実績比較(都立中高一貫vs安田学園)
ついでなので、安田学園と近隣の都立中高一貫校である、小石川と両国と比較してみました。
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データのとらえ方にもよるのですが、私は安田学園はかなり良い結果を出していると思います。さすがに小石川や両国は東大合格者数が出ていますが、並べてみると『こんなもんしか差がないの?』という気がしてきませんか?
つまり、どういうことかといえば、
小石川は偏差値60台後半の受検生から、6人に1人を選抜
両国中は偏差値60台前半の受検生から、6人に1人を選抜
安田学園は、偏差値50台の受験生から、3人に1人を選抜
これって結構な前提条件の差だと思うのです。まず受検生の偏差値帯が違う。さらに倍率にも差があります。言い換えれば、秀才の集団から6人に1人を選んで約170名のグループを作ったのが小石川と両国。一方で、偏差値50台の集団から3人に1人からしか選べていないのが安田学園です。
そんな中でも安田学園では東大合格者が出ています。逆の言い方をすると、「偏差値60オーバーの集団から6倍の倍率で引っこ抜いているのに結果はこんな感じかあ。物足りないな。」ともいえるのです。『白鴎の奇跡』なんて言っていましたが、本当にそう言えるのか?と思えてしまうのです。
海外大合格者をどう見るか
私の場合、海外大進学はほとんど重視しません。これは学費面で現実的ではないからです。
例えば、オーストラリアのメルボルン大学の場合の学費を調べてみました。
1番安価な人文社会でも年間約400万円、3年間で1200万円です。月額だと33万です。一方、例として明治大学の場合だと、法学部が年間約120万円、4年間で約480万円です。国内であれば学費以外の費用も何とかなるでしょうが、これがオーストラリアでの生活、しかも円安の状態となれば、3年間でいくらかかるのか…きりのいいところで仕送り7万円として、それを含めたら学費だけで月額40万、それが3年間です。すでに学費の段階で普通のサラリーマン家庭には無理です。他の家族が生活できなくなってしまいます。
・メルボルン大学 学費一覧(2025年版) - オーストラリア留学なら、オーストラリア留学センター・進学版
「子供の将来を考えれば金なんていくらでも」と言いたいところですが、残念ながらそれにも限度があります。海外大を受験し進学するには「裕福である」という前提が必要です。したがって、仮に開智日本橋で素晴らしい教育を受け、それによって海外大に合格したとしても、通わせることができないのでは意味がありません。申し訳ないですけどね。
開智日本橋の『海外大も夢じゃない!』という謳い文句は、費用面での実情を知らない人には壮大な夢や期待を抱かせるものでしょうが、実情を知っている者には空しく響きます。
『奨学金があるのでは?』という方もいるかもしれませんが、給付ではない奨学金は借金なのです。それも子供にのしかかる可能性があるものだ。軽々には決められません。
国内の大学でも約500万かかります。そのうち400万を15年かけて返済するとなると年間約30万、月当たり約2万ちょいです。初任給が23万で手取りが18万だとして、2万返済して16万です。光熱費、通信費で3万、食費が4万だと残り9万。これに家賃がかかるとなればカツカツです。実家暮らしならなんとかなりますが、給料が上がるにしてもこの生活を15年です。完済は30代後半になります。
加えて、あるとき開智の関係者(えらい人)が、「中学受験は夢を売るものなんだ」と別の関係者に言っていたのを聞いたことがあります。なんだかそれを聞いてまさに夢から覚めてしまいました。
『夢』というと響きは良いのですが、現実主義の私にはこの「夢」という言葉が、どうも胡散臭く聞こえてしまうのです。「夢のマイホーム」「夢の不労所得」「夢の不動産収入」「夢の薬」…… 買う側は期待や希望で気持ちよくなりそうなんですが、結局のところ「叶うのは買う側の夢ではなくて、売る側の夢じゃないのか?」と感じるのです。上の例でいえば、不動産屋や銀行、製薬会社なんかでしょうかね。得するのはあなた方では?と。
というわけで、各種条件によるスクリーニングと、進学実績の比較から候補としては安田学園が残ります。以下では、学校案内や説明会の話を基に、安田学園中学校の中身について細かく見ていきたいと思います。
説明会編
安田学園まとめ
先にまとめを書いておきます。前提条件としては、私立、共学、附属校でないことに加え、
偏差値50台で合格が十分に狙える。
海外大学進学は考えていない(経済的に無理)。
指定校推薦は考えていない(附属校を避ける理由と同じ)。
「安心」「安全」「安い」「近い」。
塾・予備校が必要ない。タイムパフォーマンスが良い。
進学実績が良い。
自習室、図書館、ラウンジ、学習スペース等、自習スペースが充実。
「勉強が好きな子」や「努力すること」がバカにされない雰囲気。
メリット
アクセスよし。総武線両国徒歩6分。大江戸線、京成線も使える。荒天時や緊急時にも迂回して登下校できる。
駅から学校までの間に繁華街がない。JR両国駅の反対側は飲食店が多い。通学路には適度に人通りがあり安心。国技館周りは外国人観光客が多い。
立地よし。隣が同愛記念病院なので緊急時も安心。二方が公園で旧安田庭園と横網町公園。静か。近くにはマンションや印刷会社、APAホテル等。
自習スペースが充実している。自習室他、図書館、学習スペース、ラウンジ、質問などをできる相談コーナー等。近隣図書館や塾・予備校の自習室の予約をしたり、並んだりする必要がない点は非常に良い。
「勉強が好きな子」や「努力すること」がバカにされない雰囲気がある。
一貫生(中学からの入学者)の方が、高入生よりも進学実績が良い。一貫教育の意味がある。
出口(進学実績)が良い。校内平均以上なら早慶上理が狙える。
中3の1学期までに中学範囲終了。やや緩やかな先取り授業。
高2までに高校範囲を終了。大学入試までに丸1年の時間あり。
『学校完結型』(塾や予備校にいく必要がない)が売り。
夏期・冬期・放課後などにある各種講習は追加費用なし。
英検取得状況(英語の習熟度)も良好。
デメリット
教育内容や立地、入りやすさ、進学実績の良さ等、ほぼ問題なしだが、それ以外のところでいうと
偏差値が徐々に上がってきており、50台とはいえ50台後半である。
したがって倍率が上昇傾向(ただし、募集定員増で緩和されるか)。
説明会の予約が一瞬で埋まるため、校内見学がしづらい。予約開始直後に全枠埋まる。プラチナチケット並みの状況。塾界隈でも話題になっている。予約開始直後から、説明会前日までキャンセル待ち状態が続く。
夏休みは3組6名ぐらいで校内見学ができるが、これもすぐ埋まる。
12月と1月の説明会(入試出題傾向の2回)は規模が大きい。個別テーマの説明会に参加できなくても、この回が取れれば全部済む。
入試関連
算100、国100、理50、社50、計300点。
最大5回受験できる。受験料は30000円で複数回受験できる。
得点率60%(180点)がボーダー。2/1入試でギリギリ合格 or 不合格。
得点率70%(210点)ならば、2/1~3のどの回でも合格が出そう。
得点率80%(240点)以上で、特待(40万円支給)が出そう。少し前までは6年・3年の授業料免除があったが、現在はなくなった。
安田学園1本なら、特待を狙って複数回受けるのも良さそう。
4科目とも基礎~標準の問題。対策がしやすい。
過去問は説明会の日だと受付で少し安く買える。
男女別募集なし。得点順。
タイムパフォーマンス(時間の無駄が少ない)
【再掲】
土曜日に授業がある。週4時間×年間30週×6年間だと、都立よりも720時間も授業時間が多くなります。これは1日2時間の勉強を約1年やることに相当します。高3時の1~2科目分の学習量と言ってもいいでしょう。それだけの差がつきます。
塾や予備校に行かなくて済めば、準備や移動時間が不要になる。テキストや塾の課題も増やさずに済み、オーバーワークの心配がなく、荷物が増える負担もない。なにより、学習を校内で完結させることができ、シンプルでわかりやすい生活ができる。
塾の準備や移動は結構というかかなり面倒です。1度帰宅して、着替えて、食事をして、塾に行く。この間の時間は1回1回はそうでもなくても、6年間のスパンでみたらかなり大きくなると思います。
仮に週3回、準備や移動で1時間かかるとすると、月に12時間、年間で144時間、6年間で864時間です。土曜日授業の有無と同様に、これも1日2時間の勉強を約1年分やることに相当します。高3時の1~2科目分の学習量です。
自習スペースが充実している。自習室他、図書館、学習スペース、ラウンジ、質問などをできる相談コーナー等。近隣図書館や塾・予備校の自習室の予約をしたり、並んだりする手間がない点は非常に良い。
説明では、自習室の利用は7:00~19:45(中学生は18:00)まで。例えば6年(高3)時の生活を考えてみた場合、7時に登校して1時間自習、授業を6時間受けて15時終了、1時間休憩で16時、放課後進学講座を2時間受けて18時、その後、自習室でその日の復習に2時間弱を充てて20時に下校するとします。
この場合、1+6+2+2=で約10時間勉強していることになります。これならば家ではゆっくり休んでもいいでしょう。学校では勉強する(ON)、家ではゆっくり過ごす(OFF)とすれば、場所によってオンオフの切り替えができ非常にわかりやすくなり、生活リズムを整えやすい感じがします。「家ではゆっくりさせてやろう」と家庭内不和も少なくなるかもしれません。移動もないので電車賃や無駄な時間も不要です。
校内見学の案内をしてくれた在校生の話
朝のテストはきちんと対策すれば合格できる。だから部活にも行ける。
朝のテストで不合格になるのはクラスで大体5人くらい。5/35=14%
宿題はあるが多くはない。多く出る(宿題のある科目が重なる)曜日でも、2時間はいらないかな?
クラスの雰囲気は穏やか。元気な人が7人、おとなしめ7人、残り20人は基本穏やかで状況によって変わる人。盛り上がるときは盛り上がるし、真剣な時は静かになる。ドラマに出てくるような「ふつーのクラス構成」が多い。
先生は親切。いじめには厳しい雰囲気。相談しやすい。よく面談がある。
校内アンケートやスコラ(手帳)の回収があるので、相談や困り事があれば、書いて伝えてもいいかも。書いたことはないけど。
男女比はほぼ同じ。男子か女子が1~2人多いぐらい。
高2で文理分けすると比率が変わる。やっぱり文系は女子が多くなる。
公式ホームページ
安田学園中学校・高等学校
建学の精神
本校は、創立者の「実業界の有用な人物の育成は、社会発展の基礎である」との信念を実践するために設立されました。
本校の創立者は、富士銀行(現株式会社みずほフィナンシャルグループ)・安田生命保険(現明治安田生命保険相互会社)・安田火災海上保険(現株式会社損害保険ジャパン)・安田信託銀行(現みずほ信託銀行株式会社)などの諸会社を起こした実業家の偉人、安田善次郎です。
教育目標
誠実・明朗・奉仕
本校では、創立者安田善次郎を理想の人間像として捉え教育を行っています。すなわち、創立者の人格並びに教えに基づいて、「誠実・明朗・奉仕」の校訓を定め、そのもとに校風の樹立を図り、更にそれを進化発展させたいと願っています。具体的には高い知性、優れた徳性、強い意志とたくましい身体を培い、どんな社会分野においても十分適応できる自主自律で行動力のある人物、あわせて創造力に富み実務的能力に優れた人物の育成をめざして教育を行っています。
勉学に打ち込む生活習慣を身につけさせ、基礎・基本を重視した集中と 繰り返しの学習態度の確立
健康な身体の育成と安全教育の徹底
温かい人間関係を育てるための基本的生活習慣の確立
グローバルな探究力を育て、東大などの最難関国立大・国公立大をめざす
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安田学園では、将来、地球規模の問題を追究し、創造的に解決するグローバルリーダーとして活躍できる資質を育成します。
そのために、根拠を追究する授業を通じて、論理的な表現力を育てます。また、自ら課題を設定し課題解決に向けて論理的・批判的に探究する力を高度に育成します。
とくに1~5年生では、「探究」の授業を通して、疑問や課題の発見→仮説の設定→調査・観察・実験→新たな課題の生成→……の思考プロセスを体験し、論理的に考える探究力を育てます。さらに、確実な基礎学力を基盤に、自ら考え学ぶ基礎学習力を育成する授業を展開し、知識や考え方を活用する高度な総合的学力を養成します。
進学実績
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《参考》
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延べ合格者の比率で考えれば、
普通についていければ、GMARCH。
校内で平均以上ならば、早慶上理ICU。
上位25%に入れれば、国公立(千葉大など、地方国公立)。
上位10%に入れれば、東大、京都、一橋、東京科学。
という感じでしょうか。まあざっくりですが。
教育プログラム
進度
中学範囲は「1年~3年1学期」までに終わらせる。
高校範囲は「3年2学期~5年終了時」までに終わらせる。
大学入試の丸1年前の5年3学期から受験勉強に取り組むことができる。
5年(高2)3学期から、追加費用なし、希望選択制の『放課後進学講座』開始。
学校完結型の学習環境
現在の安田学園の売りはこれ。受験生保護者からの関心も特に高いそうです。言い換えると『塾や予備校に行かなくてもいい』準備があるということ。普段の補習に加え、夏期講習、冬期講習、5年(高2)3学期からの放課後進学講座とあれば、およそ塾や予備校の機能や時間帯はカバーできています。
とはいえ、校内アンケートの結果によると実態としては20%ぐらいの生徒が塾や予備校に通っているそうです。35人クラスだと約7人。多いとは言わないでしょう。校長先生は「自分で考えて塾や予備校が必要だと感じて選んだのであれば、それはそれでいいと思う」とおっしゃっていました。情報開示の姿勢に誠実さがあることにも好感が持てます。
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学び力伸長システム(1年~5年2学期)
学ぶ楽しさをつかみ、自分に合った学習法を確立する。
1年生~5年生2学期では、自ら考え学ぶ授業を核とした「学び力伸長システム」により、自学力(=基礎学力・自ら考え学ぶ力)を伸ばします。また、1年生~2年生までを「学び力Ⅰ期」とし、生活習慣や学習習慣の確立を図っていきます。3年生~5年生2学期までを「学び力Ⅱ期」とし、自ら学ぶ力や探究的思考力を育てていきます。
難しそうな名前がついていますが、要は『やったことをしっかり身に着ける』仕組み。短・中・長期で定着度を測り、見直す機会とその対応をする。対応するというよりは『対応できるように育てる』といった感じ。日々の学習計画の作り方やその修正を通じて、大学受験に向けて『自走できる力』を育ててくれるのでしょう。
<短期>
『チェックテスト』(英数で週2回、計4回)で授業の理解度を確認。 1年~5年生まで。
チェックテスト不合格者は『放課後補習』でフォロー。補習になると部活動に出るのが遅れるので、みんなきちんと準備をするようになる。補習には卒業生のチューターもついてくれる。
<中期>
定期試験前の1週間が『独習ウィーク』。朝終礼時に計画的に試験対策を進める。すべてはできないでしょうから、試験勉強のきっかけ作りかな。
期末試験後に『独習デー』。終日、試験でできなかったものに取り組み、日々の学習計画の見直しを行う。そういう時間が学校内の指導や仕組みとして設けられている点が良い。こういうところも「学校完結型」と言える部分だと思う。「塾に行かなくてよい」と言うだけで、あとは放置じゃ困るわけです。
<中~長期>
『到達度テスト』で基礎~標準レベルの定着度を測り、ヌケモレの発見。教員側も何が不足しているかの把握できる。
『ベネッセ学力推移調査』『Z会アドバンスト』の模試で全国偏差値の確認や習熟度を確認。ここでもヌケやモレの発見を通じて補填する。教員側も苦手を克服させることができたのか、新たに何が不足しているかの確認ができる。
進学力伸長システム(5年3学期~6年)
自ら考え学ぶ自学力をベースに、最難関大学入試対応の現役進学力をつける。
5年生3学期~6年生では、進路実現に向けた学習を主体的・意欲的なものにし、活用力・応用力の伸長につなげ、将来の考え学ぶ創造的学力・ハイレベルな進学力を実現します。
つまり『大学受験の丸1年前から受験勉強を始めましょう』ということ。
『放課後進学講座』では5年生3学期から大学入試演習を開始。志望大学群別に特化した講座を開設する。授業担当者が講座を担当することにより、各生徒のニーズに合わせた指導を行う。
『5年生 進学合宿』は12月に、受験生としての学習の型を身につけることを目標に、生徒各々が第一志望大学合格から逆算して戦略的に学習計画を立て、独習に集中。独習会場は、終始静粛な緊張感につつまれ、生徒たちは「自分にもここまでできる」という非日常を体験する。この学習体験を原点に、自分の道を自分の力で切り拓く最終学年の受験勉強をスタートさせる。
『6年生 進学合宿』では、2回目の進学合宿(希望者)を行います。これは生徒からの要望があって企画され、希望制行事として始まったもので、最後の夏期講習(「夏を制する者は受験を制す」)に向け意識を高めていきます。
各種講習
どの講習・講座も追加の費用はいらない(授業料に含まれている)そうです。4の共通テストだけは科目数が人によって異なるので、教材費が変わってくるとのこと。夏期講習では、5年生までは基礎学力の早期完成を目指し、6年生では志望校別に開設された講座を受講できる。
朝のチェックテスト&不合格者補習
夏期講習(1~6年)
冬期講習(1~5年)
放課後進学講座(5年3学期~6年12月)
大学入試共通テスト模試演習(6年12月~共通テスト)
国公立・私立 入試直前演習(共通テスト~試験日まで)
見てわかるとおり、入試1年前の5年3学期からは特に手厚くなりますね。放課後進学講座はレギュラーで各曜日に自分で授業を追加する感じ。1コマ100分です。予備校に通う感じですね。受ける講座数に制限はないそうです。夏期・冬期・放課後とあるので、時間帯、時間数、内容やレベルを選べることを考えれば、およそ塾や予備校分はカバーできていると言えると思います。
英語教育
グローバル教育等は、海外大進学をあまり視野にいれていない私としては、あまり興味がありません。そもそもグローバル人材になって欲しいとも思いません。その理由は何かとよくよく考えてみたのですが
30年以上前から『これからはグローバルな時代が来る。英語を話せないと仕事が得られなくなる』と言われ続け、いまだにその時代が来ていないこと。つまりこの説に懐疑的であること。
海外旅行で少し話せる程度の英語力ならば、大学受験や自学でなんとかなること。にもかかわらず、パック旅行を選んだり、スマホやポケトークのような機器を使って、仲間内で盛り上がって楽しめる人が多く、それで済んでしまっていること。
海外と比較すると、日本国内の治安や政情が安定していること。わざわざ危険な海外に仕事や住む場所を求める必要がないこと。
したがって、世界を股にかけて活躍する必要はないこと。どこの学校もグローバルリーダーとやらを育成しようとしていますが、リーダーがそんなに必要だとは思えません。そして、真のリーダーは最終的にごく少数で、しかも彼らには通訳がつくことは国際会議を見れば自明であること。
人口減が続けば、将来的には日本国内で人手不足が起こる、つまり、海外に仕事を求めなくても山ほど仕事がある状況が想像できること。
さらに土地建物が余れば、土地や住宅価格の価格も下がり、現在のようにローン返済のために高給を維持しようと歯を食いしばって頑張る必要がなくなる可能性があること。
などでしょうか。あまりまとまってはいないのですが、こんなところでよしとします。
『グローバルリーダー育成』と言う言葉は、『探究』と同じで、流行りの売り文句、流行り言葉の1つだという捉え方です。ファミレスのメニューがどこも似てくるように、寿司屋がファミレス化しているように、政治家の主張が選挙終盤になると似てくるように、『売れる』『人気が出る』ものはみんな真似して取り入れていくため、どの世界でも結局は似たようなものが乱立することになります。つまり、お題目がどこも似て、ほぼ同じなのであれば「どうでもいい」ということになります。
ただ、国内の大学に進学する場合でも、特に英語の習熟度は重要です。高3で英語にもみっちりと取り組んでいる状況では、科目数の多い国立は当然ながら、難関私大の目もなくなってしまいます。
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※3年生の準2級取得率は85%
2年(中2)で3級を取得できているのであれば、途中経過はかなり順調です。公立の場合は3年生で3級を取ったり取れなかったりですからね。2級を取っている生徒は入学前から英語学習を進めていた方々でしょう。
すごいことですが、課金の状況も「普通ではない」ので、このあたりの数値はあまり参考にしない方がいいでしょう。ただ、2年生で準2級46名はすごいです。在籍が約200名として約20%。まあ上位者でしょうから、そこに自分の子が入れるのかはやってみないとわかりません。
とはいえ、ホームページにはありませんが、3年生でも準2級取得が85%と説明がされていたので、ほぼみんな取れています。順調にいって4年で2級が取得できれば、高校段階の標準レベルは大体クリアできているということになるので、早慶等の難関私大も狙っていけるでしょう。高2以降、入試までに準1級が取れるかどうかは、その子の伸びしろや頑張り次第でしょうか。
グローバル体験
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私個人としては、グローバル体験とやらは、何かのきっかけになったり、海外で生活をしたという経験が得られれば十分だと思っています。修学旅行はオーストラリアなんですね。3ヶ月留学やら、語学研修、短期留学といろいろ準備はありますよ、といったところ。
しかし、これ希望制のもの全部に参加したら一体いくらかかるのでしょうかね。今では大体2週間の語学研修では、円安もあって60万円以上かかるとのことです。私が若い頃に行った時の倍(私は4週間で60万)です。食費も入れたら結構な金額が必要になりそうです。
その他
指定校推薦枠
探究プログラム
ICTの活用
キャリアデザイン教育
人間力教育
最初に書いたように、このあたりに私はあまり興味がありませんので割愛いたします。まあコメント等でご希望があれば、少し調べてまとめて私見を述べたいと思います。
おわりに
自分としてはできるだけ平易に論理的に書いたつもりですが、理屈だったり、お金や時間の計算をつき詰めても、そしてそれが合理的であったとしても、やはり我々は人間で、その判断は感情に大きく左右されてしまうものです。
私の場合、公立一貫校の『理念の一貫性の無さ』が特に嫌ですし、途中にも書いたように民業圧迫的な立ち位置がどうも腑に落ちません。一貫校にして、中身は私立っぽくして、学費は公立並にして、学力試験ではなく『適性検査』いう名称で、高倍率の選抜をする。これは完全に私立の真似、高品質(?)なものを格安で売る国営企業です。とはいえ、動きの速い民間企業にはなかなか追いつかないところもある。マイナンバーカードなんかいい例です。
大学附属校を避ける理由も書きましたが、これは附属高校のある大学に行っていた、私の経験によるものも大きいです。人間はそんなに強くありません。附属校にいれば『附属大学にそのまま進学しちゃうかな~』となりがちです。ただし、それが附属校の持つ他にはないメリットなのですから、それを活かすのも当然悪いことではありません。
ただ、これも私自身の経験に基づくものですが、大学受験は人を大きく成長させます。途中にも書きましたが、生物として肉体的にはピークを迎える青年期に、突破すべき関門として、また、大人になる準備として大学受験は最も良い機会だと考えます。
情報収集(文理選択・科目選択・受験校選別)
目標設定(志望校・受験校の決定)
スケジュール管理
タスクの設定と実行
地道にルーティンをこなすこと
保護者の支援を募り、それを受けること
先生(塾・予備校)や同級生等の協力者を得ること
ライバルと協力しながら切磋琢磨すること
本番の緊張感
達成感
合格の喜び/不合格の悲しみ
支援者への感謝
これらのことを通じて、自信や自己肯定感が高まること。
これらのことは、高3ともなれば親の力を借りずとも十分できる頃合いです。附属校の場合はこれらすべてをすっ飛ばす『やれるのにやらない/やる必要がない』という状態になる可能性が高いのです。中学受験でそれらを終えたとも言えますが、同時にそれは強い意志がなければ最終学歴がほぼ決まっていることも意味します。12歳という年齢も若すぎますし、実は附属校合格に最も安心して喜んでいるのは、子供ではなくて親自身なのではないかとも感じるのです。『学校選びも塾も受験の合否の心配もしなくていい!これで私はアガリ!』といった感じでしょうか。
最後に感情論というか、理屈ではない理由を書いたのにはワケがあります。冒頭にも書いたように、やはり我々は感情で動く生物なのだということです。ということは、アカギで言うところの『理外の理』が必要なのです。それは各校が待つ校風、文化などであり、生徒や教職員の放つ雰囲気です。親も子もそれらを直接肌で感じる必要があります。
恋人や結婚相手を決めるのに似ているでしょうか。理屈(地位・金・名誉・家柄)が大きな要因になることもあるでしょうが、それでもやはり「嫌なものは嫌」でしょう。反対に「愛があれば、顔が良ければ、優しければ」だけでも立ちゆかないものです。バランスの問題でもありますが、理屈と感情が合わさったときに初めて物事はうまくいくでしょうし、それが最良なのでしょう。
これを読んでくださった方々が、安田学園を含む中学校の説明会や見学に実際に足を運び、さながら専門家(塾)や、親(世間)の決めた理屈だけの結婚に不満を感じながら生きることがないよう、自分の判断を信じるキッカケとなることを願っています。おわり。疲れた。