偏差値50台 総武線 安田学園中学校を選んだ理由 【スクリーニング編】
はじめに
安田学園中学校受験について説明します。
この記事の対象は安田学園について知りたい人です。
安田学園を塾や知人に勧められた。
安田学園が受験校として気になっている。
なるべく時間をかけずに安田学園のことを知りたい。
といった方々です。
小学生も読む可能性があるので、なるべく簡単に書きたいと思います。記事では最初に結論、すなわち「安田学園に向いている人」を述べます。安田学園の受験を検討するには、この結論部分だけを読めばよいです。
次に、どうしてその人たちに向いているのか、その裏付けとなる理由(考え方や実情)を説明します。安田学園が自分に向いているとわかっても入試があります。実は入学したいというモチベーションを維持して勉強を継続することが、受験生・保護者とも最も難しかったりします。この理由編は決断を信じる(迷いをなくす)支えとなる理屈を身につけるためにあります。
中高大どれでも学校選びというのは「靴」選びと似ています。いくら写真を見たり、サイズの説明やレビューを読んでも、試着してみないことには自分の足の形に合うものか、好みの色かはわかりません。上級学校(特に大学)になるにつれて受験校数は多くなり、実際に行く・見るということがおろそかになりがちです。説明会に参加し、学校や在校生、教員の様子や雰囲気を直接肌で感じることを強くお勧めします。
今後もこの記事の内容は必要に応じてアップデートする予定です。質問があった場合は、適宜この記事に追加します。最後にお約束ですが「学校選びは自己責任」です。この記事はあくまで筆者の考え方をまとめたメモと考えていただければ幸いです。
結論編
結論だけ最初に教えてください。どんな人が安田学園に向いているのでしょうか?
共学校がいい。
総武線、京成線、東西線、都営新宿線、大江戸線沿線に住んでいる。
4科目型で受験する。
勉強がめちゃくちゃできるわけではないが、普通~普通よりできる。
80偏差値で50~60程度。
大学進学実績を重視する。
海外大進学はあまり考えていない(経済的にできない)。
パリピは少な目、穏やかな人多めの学校がいい。
塾、予備校に通うのは面倒だ。
学費はなるべく抑えたい。
制服がある方がいい。
安田学園を併願校にするケースの第一志望校群
【都立】両国、白鴎、小石川、九段、桜修館
【私立】開智日本橋、芝浦工大付属、市川、攻玉社、高輪
理由編
次に理由編です。先程の結論で示した志望理由はどこでも当てはまりそうですが、意外とそういう学校は少ない。いろいろ調べてみると残ったのが安田学園だった、ということです。また、各学校の説明などで良く聞こえることでも、実践されていないこと、特に「夢」を語る(騙る)場合が多くあり注意が必要です。
・海外大進学も夢ではありません!
・本校の指導のおかげで、進学実績が伸びています!
・文武両道!みんな楽しく学校生活を送っていますよ!
・アクセスも良く、周りの環境も安全です!
などですね。「普通の人」は普通の耐性しか備えていないので、これらの雑音や誘惑に対抗できずに、多少のデメリットには目を瞑り、学校側の語る夢のような説明を鵜吞みにして、半ば妄信・盲信して受験してしまいます。
入学後に説明とのギャップを感じて腹を立てるのも嫌ですし、何よりこどもが私と学校とのいざこざに巻き込まれたり、デメリットを受けとめねばならないのはかわいそうです。できるだけ学校側の説明や実践とこちらの期待や考えとのギャップを少なくしたい。簡単に言うと「口八丁の学校は避けたい」「現実的で、実現可能な教育の実践をしている良い学校を選びたい」のです。
考え方や理由を説明する重要性はここにあります。人間の感情を巧みについてくるこれらの情報への対抗力を身につけるために、知識武装というか、学校を探す観点や理由、理屈を整理したのです。
基本となる考え方
偏差値50台は『大学附属ではない、私立の中堅校』を狙う
私立中学を選ぶ理由はいくつかありますが、ここでは要点だけ述べます。
すべてのサービスには費用がかかり、さらに良いサービスや良い材料には相応の手間がかかります。つまり、費用設定にはきちんとした理由があり、良いサービスには費用がかかるのが当たり前です。適正な費用を払って、それに見合うサービスを受けられれば良いと考えています。
言い換えれば、妙に安い、または妙に高いケースを避けたい。安さで売っていたり、ブランド的価値や親の見栄のために高い費用を払う必要はないのです。
きちんと費用を払っていれば、こちらもサービスに対してある程度の要求ができます。サービスが悪い上に費用が高い場合は最悪、サービスが悪くても安い場合は「まあ安いからなぁ…」と考えてしまいがちです。
具体的には、ここでいう「安い」とは、公立一貫校のことです。「高い」というのは名門校、ブランド校、大学付属校などや、寄付金や学債が必要になる私立学校のことです。
つまり、最も人数の多い偏差値50前後の受験生の場合は、「大学付属ではない、私立の中堅校」を狙うのが良いということになります。
「私立」 「大学附属でない」 「中堅校」 「4科目型」のメリット
以上で述べたデメリットの裏返しになりますが、ここでまとめておきます。
「私立」
適切な費用を払えば、良いサービスが受けられる。
費用の安さを売りにしていない。
施設、設備が充実している。
授業時間(時数、日数)が多い。
使用教材に「検定教科書縛り」がない。
大学入試科目に直結している4科目で受験できる。
塾や予備校に行かなくてもよい。
時間的、経済的な無駄がない。
「大学附属でない」「中堅校」
合格を狙いやすい(偏差値や倍率がそこまで高くない)。
見栄やブランド・寄付や学債など、無駄な費用がかからない。
附属がない分、緊張感があり、6年間中だるみせずに済む。
実力がついていれば、安心して大学への進学や通学ができる。
「4科目型受験」
従来の算国理社の4科目型(特に理社)は中学受験では中学の内容まで踏み込んでいます。理科や歴史(特に日本史)については、好きな子は大学受験レベルまで仕上がる可能性もあります。中学受験で得た知識が受験だけでなく、中高はもちろん大学受験でも使える(無駄にならない)。これは4科目型の大きなアドバンテージです。
一方、適性検査型はそのあたりがあいまいです。理由は各中学校により様々でしょうが、適性検査型入試をやめる学校が急に増えた印象があります。
想像するところでは…
第1志望は都立である受検生がほとんどである(不本意入学になる)
適性検査型で入学した生徒の成績がいまいち伸びない。
実施コストが高い割に、受検者が少ない。
採点が大変である。
余談ですが、帰国生入試や英語入試をやるところは増えている印象です。やはり大学受験では英語が得意であることは大きなアドバンテージになるので、例えば小6時点で英検準2級以上を持っているような生徒を早くから確保してしまおうという狙いがあるのでしょう。帰国生は海外大学進学も視野に入るかもしれません。まあどちらにせよ、いわゆる「純ジャパ」の普通の子には関係のない話です。
各論
中堅校って地味な感じがするんですけど。公立一貫校はダメなんですか?
はい。
公立一貫校を避ける最も大きな理由に「公立不信」があります。その1つ目の大きな理由は知り合いの公立教員夫婦が、自身のこどもを私立中学に通わせていたことです。これはマクドナルドの店員が「マクドナルドは絶対に食べない方がいい」と言っているのと同じ、強いて言えば『背信行為』です。個人の自由とは言え、これは非常に白けます。
次に使用教材(検定教科書)の問題です。授業「進度」や「深度」は教材に左右されます。良いテキスト(例えば英語のNewTreasure等)があるのに、公立校は検定教科書を扱わないわけにはいきません。英語で言えば、掲載語彙数等の「量的」な差も出てきます。これによって、いわゆる「先取り」もできなくなってしまいます。
週30時間(土曜日なし)も私立と比較すると見劣りします。週4時間×年間30週×6年間だと、私立よりも720時間も授業時間が少なくなります。これは1日2時間の勉強を約1年やることに相当します。高3時の1~2科目分の学習量と言ってもいいでしょう。それだけの差がつきます。
適性検査での受検にも難点があります。
1つ目は対策がしづらいこと。
適性検査型は何をどう改善すればいいのかがわかりづらいのです。「この科目は苦手/得意」「〇〇算は苦手/得意」など、そういう特性がわかれば努力や練習のしがいもありますが、とにかく練習だといってひたすら問題を解く・文章を書く、でも成果がでないとなっては、子供も親もつらい状況になりかねません。
別の見方をすると、解答がどう判断・採点されるかもわかりづらいため、検査結果(合否)も読みづらい可能性があります。努力した分、できることが増え、点数が上がり、合格が出る。そういう勉強をさせたいと思うのです。
加えて、効果があるのかよくわからないのに塾の対策講座の費用を出し続けるのは、補償内容がよくわからない保険の保険料を払い続けるのと同じようなものです。手ごたえもなく、金だけが出ていく。これは最悪です。
もう1つは大学受験につながっていないことです。
適性検査のような入試をしているのであれば良いのですが、実際の国公立大学の入試は『英数国理社の5教科7科目』受験です。公立一貫校入試での対策が(時間的にも経済的にも)無駄になりかねません。
また、大学受験に向けてそういった遅れを補填するために塾や予備校に通うとなると、公立一貫校の圧倒的なアドバンテージである学費の安さも吹き飛ぶ可能性が出てきます。塾や予備校は普段の授業に加えて、春・夏・冬の講習などがあるので出費も多くなります。
さらに、学校にも塾・予備校にも通うとなると、移動のための時間、交通費、食費がさらに必要になる上、塾のテキストを持ち歩く労力も増えます。予習復習も2倍3倍となると、経済的、時間的にオーバーワークになりかねません。実際に通うのは子供自身なのです。なるべく負担は減らしてやりたいところです。
名門ってかっこいいじゃないですか。それに大学附属校は楽で安心できませんか?
できません。
まず第1に(無駄に)人気があるため、どちらも自然と競争率が高くなる、つまり、偏差値が高いのが難点です。偏差値50台がチャレンジするにはいいかもしれませんが、欲を出すとそれによって受験機会が減ります。後に行けば行くほど倍率は上がるので、受験校増は慎重にやる必要があります。
志望校としては「普通の子でも努力をすれば(塾に行けば)なんとか勝負になる」ところを探す必要があります。子供の能力にもよりますが、努力次第といっても伸びしろには限界があります。いいなと思っていたけど入れない(不合格)ではおもしろくありません。本当にできる子は5年生から塾に入っても上位にいくようですし、偏差値60を超える偏差値のお子さんは本当に「選ばれし者」なのです。
一方で、3年生から塾通いを始め、時間的努力を重ねていても、途中で頭打ちになってしまった場合、名門私立や大学附属校に夢をはせていると、時間的・経済的投資に成果が見合わず、親も子もつらくなります。ただ傷つくだけの受験は最悪な結果を生みます。
塾・予備校も商売ですから、名門私立や大学付属校の実績を出したがりますし、少しでも可能性がある子には積極的に勧めるでしょうが、その「夢の学校」が子供に合っているかはわかりません。塾の都合でノセられていたり、親も無意識に自分の都合で子供に対して情報を制限したり操作している可能性もあります。
たしかに、大学附属校の場合は、高校受験も大学受験もなく、楽なように見えます。ですが、どこの大学も内部進学した生徒は一般受験組と比較して学力的に劣ることが多いのです。一般受験のためにいくつもの問題集にあたってきたグループと、範囲の決まった中高の定期考査でそれなりの成績を収めてきただけのグループ、どちらの実力が上かは明らかです。
つまり、結局『どこかの時点で「自力で」頑張らねばならない』のです。私個人としては、最終的に中高6年の集大成として、体力・気力・精神的にも成長してきたところで、大学受験にはしっかり取り組んでもらいたいと考えています。
中高で苦労が少ない代わりに、大学以降で苦労するのでは結局意味がありませんし、遅れを取り戻す時間ももうその頃にはありません。残るのは学歴だけ。就職のときに実力がないことが露呈したらどうなるのでしょうか。やるべきときにしっかりやる。そのときとは間違いなく大学受験です。保護者主導の中学受験とは違い、これが自立の第一歩になります。
最近では採用試験時に企業も大学受験の入試形態まで見る場合があります。総合型選抜(いわゆるAO入試のようなもの)や学校推薦型選抜(公募推薦)、指定校推薦、附属校からの内部進学だったのか、それとも実力勝負の一般受験だったのか、それによって本当に実力があるかどうかを問われる可能性もあるのです。
附属校の養分にはなりたくない。
養分:主にネットゲームやギャンブルなどのコンテンツで、大量のお金や時 間を使い、そこから利益を得る企業側のために貢献する(つまり、企業を「養う」)人のことを指します。
大学附属(あるいは提携)の学校が増えているのは、少子化に向けて、確実に進学できる大学を確保したい中学高校と、早い段階から入学者を確保したい大学側の利害が一致しているからです。とはいえ、早稲田、慶応をはじめ、いわゆるGMARCHと呼ばれる私立大学はすでに附属校を持っています。ですから中高で附属校を持たない中堅以下の大学が「青田刈り」システムを構築しようと奮闘しています。
また、大学では「推薦入試での合格者が増えた/増やす」なんてことがよく聞かれます。これは入試形態の多様化、選抜基準や観点の拡大など色々な言い方がされていますが、要するに大学側が入学者を「手っ取り早く」「確実に」「早い段階で」確保する方法です。そういった枠は増えるし増やしたいに決まっています。ただ、学力を担保するのが難点です。例えば推薦で一次試験通過としておき、二次試験として共通テストの基準点を超えていれば合格とする、といった方式がよく見られます。
入学者確保の観点からすると、一般受験は試験の手間もありますし、合格基準の設定、歩留まり等、気にかけなければならないこと、つまり面倒や不確定要素が多いのです。合格を出しても入学してくれるかはわからない。だからと言って合格者最低点を下げれば質も下がる可能性もあるし、人数を多く取りすぎると補助金のペナルティもでてきます。
そういうことをすべて簡単にしてくれるのが内部進学生です。内部進学生やその他の推薦(指定校推薦等)を使って入学してくれる人は、いわば上客です。グループ内で中学3年、高校3年、大学4年の計10年間も学費を払い続けてくれるのですから。そして文句も言わず、大したことをしなくても、むしろ喜んで学費を納めてくれるのです。すべては最終的な附属大学の看板のため。これは子供のためになっているのでしょうか?
やっぱり共学がいいか。
男子校・女子校それぞれに良いところはあるのでしょうが、大学や就職のことを考えると…というか、ごくごく自然な状況としてやはり共学というのが良い気がしています。女子校出身者に話を聞くと(自虐や冗談も含んで)、あまりいい話が聞けません。
例えば、以下のリストにもある女子校の話では、指定校推薦枠を巡って時期になると怪文書が出回ったりすることも例年のことだとか。具体的には誹謗中傷の類、喫煙者だのなんだの、根も葉もない情報提供が学校に来るそうです。おそらく同枠を希望する同級生を失脚させようとしているのでしょうが、そういうことに巻き込まれたくはないものです。
スクリーニング
総武線沿線の中学校
以上の条件から、総武線が最寄り駅の中学校をリストアップしてみます。
<路線図順>
<内容別にソートしたもの>
絞り込みの結果
残ったのは3校です。偏差値のばらけ方もいい塩梅です。
開智日本橋は開智国際大学がグループにありますが、どちらかというと附属大学に進学するというよりは、難関大の進学実績を出そうという志向が強いため、▲マークをつけてあります。偏差値も偏差値50台からするとちょっとチャレンジ校という感じでしょうか。
安田学園は文句ありません。これらの条件での絞り込みではドンピシャ。
日出学園もお隣の国府台女子と合わせて、校舎が割と新しくなったばかりです。
進学実績
進学実績を見てみると、日出学園は数値的にやや見劣りします。開智日本橋は卒業生の人数で見てみると、1番良い印象がありましたが、率で出してみると国内の難関校は安田学園の方が良い数字でした。一方、開智は海外大の合格者数が多いですね。ちなみに安田学園の海外大進学はわかりませんでした。
海外大合格者をどう見るか
私の場合、海外大進学はほとんど重視しません。これは学費面で現実的ではないからです。
例えば、オーストラリアのメルボルン大学の場合の学費を調べてみました。
1番安価な人文社会でも年間約400万円、3年間で1200万円です。一方、例として明治大学の場合だと、法学部が年間約120万円、4年間で約480万円です。国内であれば学費以外の費用も何とかなるでしょうが、これがオーストラリアでの生活、しかも円安の状態となれば、3年間でいくらかかるのか…すでに学費の段階で普通のサラリーマン家庭には無理です。
・メルボルン大学 学費一覧(2025年版) - オーストラリア留学なら、オーストラリア留学センター・進学版
「子供の将来を考えれば金なんていくらでも」と言いたいところですが、残念ながらそれにも限度があります。海外大を受験し進学するには「裕福である」という前提が必要なのです。したがって、仮に開智日本橋で素晴らしい教育を受けたとしても、それによって海外大に合格したとしても、通わせることができないのでは意味がありません。申し訳ないですけどね。
開智日本橋の『海外大も夢じゃない!』という謳い文句は、費用面での実情を知らない人には壮大な夢や期待を抱かせるものでしょうが、実情を知っている者には空しく響くのです。加えて、あるとき開智の関係者(えらい人)が、「中学受験は夢を売るものなんだ」と言っていたのを聞いたことがあります。『夢』というと響きは良いのですが、現実主義の私にはこの「夢」という言葉が、どうも胡散臭く聞こえてしまうのです。
「夢のマイホーム」「夢の不労所得」「夢の不動産収入」「夢の薬」…… 買う側は期待や希望で気持ちよくなりそうなんですが、結局のところ「叶うのは売る側の夢じゃないのか?」と感じるのです。上の例でいえば、不動産屋や銀行、製薬会社なんかでしょうかね。得するのはあなた方では?と。
というわけで、各種条件によるスクリーニングと、進学実績の比較から候補としては安田学園が残ります。別の記事ではその安田学園中学校の中身について細かく見ていきたいと思います。
広告企画ですが、以下も参考にしてください。
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