驚いてみせる（７）

妄想を語る人や極端な考え方をする人と良好な関係を結ぼうとするときは、否定も肯定もしない態度が大切です。否定してしまえば相手は心を閉ざしてしまうし、肯定すればその考えをますます強化させてしまいます。

そんな時の対応法のひとつが、素朴に驚いてみせるというものです。「家の中を盗聴されるなんて、そんなことがあるんですか？！」「そんなにたくさん酒を飲むんですか？！」「“禁煙なんて絶対に無理”だなんて、これまたハッキリ仰るんですね！」などなど。

驚くことは、否定することとは違います。しかし、あなたの考えはあっさり肯定できるほど普通のことでもないんですよ、というメッセージを伏線としてやんわりと伝える効果があります。

多用すると馬鹿にしているみたいで相手は不愉快になりますが、効果的に使えば、深刻な話の中にもユーモラスな雰囲気を吹き込むこともできます。いきなり核心を突かず、相手の出方を探るのにも有効です。

文章：精神科やすだ　（２００６年６月２日初公開）
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