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質問することの意義(25)
相手に質問するという行為は強い力を発揮します。「無知の知」を説いたソクラテスのディベートにおける戦術も、愚直に質問を積み重ねるスタイルだったといいます。
説得や説教に対しては強く抵抗する人も、教えを請うという姿勢にはそれほど抵抗しないものです。そして質問に答えていくなかで相手は、分かっているつもりで実は分かっていなかったことや、正しいと思っていたことに実は矛盾が含まれていたということに自然と気がついていきます。(つまり“何も分かっていないということを分かっている=無知の知”というわけです)
「あなたは○○だから××なのだ」式の説明は、相手にそれを受けとめる準備がなければなかなか心に響きません。「なぜ××なのか私には分からない」というスタンスで質問を重ねることで、相手は自分自身の問題と向き合うことができ、またそうすることで相手が解決に向けて自発的に動き出すことも期待できるのです。
文章:精神科やすだ (2006年9月8日初公開)
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