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耳障りの良いアヤシイ言葉たち

自戒を込めてだが、世間で使用される語彙が減ったなぁと思う。

思えば、90年代に「超むかつく」のようになんでも「超」を付けるようになり、「ロン毛」とか「キムタク」とかなんでも略すようになった頃から怪しくなったように思う。
まぁ嵐寛寿郎を「アラカン」、断然トップを「断トツ」と言ったように、昔からあるにはあるのだが、なぜ90年代かというと、その後の通信端末の発展と関係があるように思うからだ。

PHSやガラケーの進化とともにメールやチャット文化が浸透し、文字はすべて入力・変換が当たり前となった。
すると変換されやすい語彙、伝わりやすい語彙だけが残り画一化するし、限られた字数内に収めるためや、情報伝達の速度を上げるために略語が多用されるのも自然な流れだ。

結果、「伝わりやすい語」ばかり多用され、細かな言い回しは減っていっているのだと思う。

しかし、「伝わりやすい語」だからといって額面通り受け取って良いかは別の話である。

アヤシイ言葉たち

安全・安心(または安心・安全)

アヤシさ:★★★☆☆
コロナ対策・オリンピック・万博など、政府や行政が良く使う印象。
韻を踏んでいるようで耳障りは良いが、実態が掴めないことが多い。
「安全・安心のセキュリティー」なども、実際のセキュリティーの中身は、説明されても素人は分からないこともあり、「安全・安心」という語で納得しているようなところがある。

簡単・便利

アヤシさ:★★☆☆☆
あらゆる企業の商品・サービスで目にする印象。
本当に簡単・便利になったのなら良いが、そもそも不便を感じていなかったり、便利になったところで利用しないものもある。
簡単で便利なことが良いことのように喧伝され、過剰に良い商品と思わされたり、いらないサービスに入ってしまう可能性がある。

ワークライフバランスを重視

アヤシさ:★★★★☆
企業が求人で人員確保したさに使用する印象。
「福利厚生充実」などと同じで、どこまで本当に取り組んでいるのか、全社員が恩恵に与れるのかなど、実態が分からない。
そもそも「ワークライフバランス」は個人によって感じ方も違い、それ自体が曖昧としているので、せめて「休暇制度」「子育て支援制度」「副業の許可」など具体的な取り組みや制度の記載がないと怪しい。

時間がないからこそ冷静な判断が求められる

現代人は忙しい。
情報が溢れ、処理速度が上がり、常に取捨選択を繰り返している。
そんな時間の無い時に、アヤシイ甘言がスッと心の隙間に入ってくる。
「お求め安くなりました」「さらに美味しくなりました」「今がチャンス!」etc.

聞き覚えのある言葉、耳障りの良い言葉だから飛びつくのではなく、ロクに知りもせず良いと思った場合は、しっかり調べるくらいの冷静な判断が必要なんだろうと思う。

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