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【他の人よりチョット詳しくなれる】フィンランドの「教育の地方分権化」「カリキュラム・マネジメント」


以前、フィンランドの「教育の地方分権化」について触れましたね!





今回は、「カリキュラム・マネジメント」の視点も取り入れて、掘り下げます!


NCCの地方分権化とカリマネ


フィンランドの学習指導要領的位置づけであるNational Core Curriculum。


各章書かれていることはこの記事にまとめました!





第3章から第15章にかけて、すべての章末に、


地域の決定の対象となる問題(Issues subject to local decisions)」という節があります。



NCCは国が出しているカリキュラムですが、大綱化されています。


つまり、地方自治体学校NCCをもとに

子どもたちや地域のニーズに合わせて

自由カリキュラム・マネジメントをしていいよ、となっているのです!



「地域の決定の対象となる問題」とは?


では、各章末の「地域の決定の対象となる問題」では何が書かれているのでしょう?


たとえば、第3章「基礎教育の使命と一般的目標」では、次のような内容が書かれています。一部抜粋です。






地方自治体でカリキュラムを作成するとき、基礎教育の使命と教育の国家目標の地方における意味について、関係者は話し合うべきである。


国家目標を補完する可能性があり、実施する際に明らかとなりうるものは何か?


TCにおいてローカルで重視する分野は何か?どのように実施するか?


教育におけるTCの目標達成を確定し、観察する、配置や測定は何か?




訳が下手なのはスルーしてくだされば幸いです!




「地域の決定の対象となる問題」を捉える



なんか、何日かけても答えの出なさそうな議論のお題が書かれている感じですよね!


確かに、教育に答えはないという点ではそうあるべきなのかもしれませんね。


ただ、ここでわかることは、「国がすべてを決めて、地方はそれに従って、学校はその通りに教育を提供する」というわけではないということです。


重要なことは、カリキュラムの作成に関する権限は、地方自治体や学校にもあるということです!




教育の地方分権化を実現する


渡邊(2018)によると、国はNCCの策定をし、地方自治体はローカルレベルのカリキュラムを編成し、学校はNCCとローカルレベルのカリキュラムの内容を踏まえて、指導計画を立案するそうです。






NCC改訂の過程



Halinen(2018)、Lähdemäki(2018)、髙橋(2019)によると、NCCは2年半かけて改訂されたそうです。




まず、NCCの試案を作成する前に、国内の基礎学校7年生から9年生、高校初学年段階の生徒に対してオンラインのアンケート調査を実施


教育委員会や大学教授、校長、保護者等から編成された作業部会で、試案を作成


国家教育委員会のウェブサイトで試案を公開


教師、労働組合、教科書出版社、民族集団の代表等によって編成された諮問グループにより、3度の公開諮問を実施






地方レベルのカリキュラムの編成



このようにして編成されたNCCに対して、ローカルレベルのカリキュラムを編成する際、教師たちが中心となって取り組むそうです!



学校レベルのカリキュラム


学校レベルのカリキュラムについて、池野(2018)から引用します!



タンペレの事例


基礎学校1年生から6年生、週あたりの授業時間数は、国が規定した最低授業時間数よりも1時間多い


たとえば、国の規定では、英語は3年生から開始するとあるが、タンペレのローカルレベルのカリキュラムでは、1年生と2年生の時点から週1時間ずつ設けていた


自由選択科目4年生から6年生において週に1時間割り当てる

学習内容児童のアンケートによって決定するなど、学校によって授業の増設は多様に取り組まれる


授業時間数の調整や自由選択科目の実施のため、分割授業時間差登下校といった取り組みも行われる





確かに、私の訪問したタンペレの基礎学校での取り組みと一致します!!



まとめ


フィンランドの「教育の地方分権化」「カリキュラム・マネジメント」の何がすごいって、


自由



なところではないでしょうか?





とはいえ、日本もその流れに乗りつつありますよね?



これからどうなっていくのでしょう…



参考文献


Halinen, I.(2018)「Chapter 6 The New Educational Curriculum in Finland」Matthes, M., Pulkkinen, L., Clouder, C., Heys, B. eds.『Improving the Quality of Childhood in Europe』pp.75-89。




Lähdemäki, J.(2018)「Chapter 13 Case Study: The Finnish National Curriculum 2016- A Co-created National Education Policy」Cook, J. W., Eds.『Sustainability, Human Well-Being, and the Future of Education』Palgrave Macmillan、pp.397-422。



髙橋亜希子(2019)「第9節 フィンランド」日本カリキュラム学会編『現代カリキュラム研究の動向と展望』教育出版、pp.263-266。


https://www.amazon.co.jp/現代カリキュラム研究の動向と展望-日本カリキュラム学会/dp/4316804510/ref=sr_1_1?__mk_ja_JP=カタカナ&dchild=1&keywords=現代カリキュラム研究の動向と展望&qid=1615969740&sr=8-1



渡邊あや(2018)「5章 フィンランドのカリキュラム・マネジメントと授業の質保証」原田信之編著『カリキュラム・マネジメントと授業の質保証 各国の事例の比較から』北大路書房、pp.149-170。





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