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PdMをもっと深く知る_#7_印象的なおもてなしをプロダクトと共に行う
前回は今や我々にとって身近な戦略『フリーミアム』とそこからどう有料顧客化していくかについてみてきました。
粗悪なフリーミアムはやめましょう
と明記はなかったですがユーザー目線からこのメッセージを発信させていただきました。
今回からオンボーディングです。カスタマーサクセス部隊がもっとも注力するフェーズです。
ここがダメだとリテンションにつながらない。
SaaSビジネスには最も重要なことだと思います。
文字数:約5,100
参考図書
第2部 プロダクトは顧客体験の中心にある
・ここからはプロダクトを使って顧客の価値を高めるとはどういうことかを理解していく
・プロダクトを使って潜在的なユーザーの認知を得る方法から、有料顧客に変えるための効果的なプロダクトの活用まで理解していく
・プロダクト主導型組織とは、プロダクトが顧客体験全体の中心に位置づけられる
・典型的な顧客のライフサイクルを時間軸に沿って見てみる
①Top of the Funnel (TOFU)
・ある人や企業が見込み客になったとき
②デモ/トライアル
・試してから買うが当たり前になってきている
・見込み客の最初のエンゲージメントはまずプロダクトを試してもらうこと
③購入/コンバージョン
・トライアルユーザーにROIを証明するのに十分な機能を提供し、もっと使ってみたいと思わせなければならない
④セットアップ/オンボーディング
・有料顧客になると関係性が劇的に変化する
・顧客を「初めて」「期待」から「楽しい」「夢中」という状態に確実に転換させる
⑤アクティベーション
・顧客がプロダクトの魅力を発見し続けるために、早い段階で満足させる必要がある
・顧客の期待に早く応えて、それを超えていかなければならない
⑥クリティカルイベント
・関係性における初期段階の目標は顧客に同じことを繰り返してもらう(習慣化させる)こと
⑦アップセル/拡大/更新
・満足した顧客に対してさらに価値を提供できる方法を考える
⑧アドボケイト
・満足している顧客は最高のマーケティング担当者であり、ビジネスの代弁者にするために可能な限りの手段を講じる
顧客と組織と成長をつなぐプロダクト主導型の構築
ISBN 978-4-8207-2955-6 C3055
P23、24、112〜113
7.オンボーディングでベストなスタートを切らせる
◼️ユーザージャーニーとプロダクトの一貫性
・新規ユーザーを獲得したら、ユーザー体験を最大化するために出来るだけ早くプロダクトを使いこなせるようにすることが不可欠
・ユーザージャーニーのどの段階にいるのか、どんなユーザーが何を必要としているのか、プロダクトで何を達成しようとしているのかをアウトサイド・インで考えなくてはならない
・プロダクト主導型組織において、「初めての素晴らしい体験を人手を使って提供するにはどうすれば良いか」から「プロダクト自体がそれを実現するにはどうすれば良いか」という考え方に変える
◼️クリティカルイベントとアハモーメント
・KPIとなり得るコンバージョン、顧客維持、新規顧客などの遅行指標だけでなく、これらを予測できる先行指標と組み合わせる必要がある
・ここでオンボーディングが重要となる
・オンボーディングでは、ユーザーに第一印象を与え、ユーザーがプロダクトに戻ってくる習慣を身につけてもらう
・そしてビジネス成果の先行指標となる行動をユーザーに起こしてもらうことも重要となる
・オンボーディングにおけるアハ・モーメントは「ユーザーがプロダクトの明確な価値を認識し、長期的な関わりを始めるタイミング」
・先行指標を把握するには、データサイエンスの活用が必要で、特定の変数(行動)と求める成果の統計的に有意な相関関係を明らかにする必要がある
◼️定着の習慣をつくる
・脳は報酬を求める
・習慣性のあるプロダクトを意図的に設計することへの倫理観は持つ必要がある
・倫理的行動規範を維持するために常に「ユーザーの人生をより良くする価値のあるものにユーザーを導いているか、それとも自分の利益のためにユーザーの感情をもてあそんでいるか?」と自問する
顧客と組織と成長をつなぐプロダクト主導型の構築
ISBN 978-4-8207-2955-6 C3055
P135〜140
◼️オンボーディング体験
・カスタマージャーニーは顧客がプロダクトを購入する前から始まっているが、プロダクトジャーニーはオンボーディングから始まる
・toBとtoCで内容が異なる
・toBでは組織的な問題や管理上の問題を考慮しなくてはならない
・ユーザーの役割に応じてパーソナライズしたオンボーディング体験を用意する
・時間が経つと企業内の人員や役割が変わり、そのタイミングで新しい人にオンボーディングが必要になる
・toBにおいて、オンボーディングは一回だけでなく、何度と長い期間で実施して行くもの
・プロダクト主導型のオンボーディングプロセスは、『ユーザーの成功に結びつく行動にユーザーを導くこと』
・つまりプロダクト分析により過去のユーザーから得た学びを新しい顧客が価値を得るための最短ルートとして活かす
・オンボーディングをプロダクトの外の独立したプロセスとして扱うのではなく、オンボーディングのコンテンツや流れをプロダクト体験の中核をなすものにしていく
・アプリ内のトレーニングコンテンツには、「お知らせ」「埋め込み式チュートリアル」「ナレッジベースの記事」「その他ヘルプコンテンツへのリンク」「ウォークスール」などを揃え、ユーザーの状況にあった状況に沿ったものにする
◼️オンボーディング体験のパーソナライズ
<CareCloudを例にした3つの要点>
①ユーザーが必要としている機能を提供し関心を持ってもらう
・プロダクト分析、顧客からのフィードバック、一般的知識からどの役割のユーザーに対して、どの機能や組み合わせが価値があるかを理解する
②ユーザーの成果を認める
・ユーザーが前に進んでいることを伝えたり祝ってりする(バッジなど)
③体験をゲーム化する
・人は報酬を求めるものなので、ユーザーがどのくらいの成果に向けて前進して、どれだけの成果を積み上げたかを示す
<CareCloudを例にしたフレームワーク>
①オンボーディング
・新規ユーザーにプロダクトへの理解を深めてもらう
・ジョブに応じた価値の発見を確実にする段階
②トレーニング
・毎日の習慣になるで引き上げる
・オンボーディング体験の未完了ステップを特定しそれを埋める
・アプリ内のガイドはナレッジベースに保存されているコンテンツを利用し、ちょうど良いタイミングでコンテンツを提供する
③コーチング
・後々発生するであろう潜在的な問題に前もって人手を介してフォローする段階
④パフォーマンスサポート
・プロダクトがユーザーにとって価値のあることを確かなものにするために終わりのない警戒心の時間かけて継続的かつ入念に取り組む
<CareCloudを例にした最初の利用体験の3つの重要ステップ>
①歓迎
②基本を学ぶ(オリエンテーション)
③土台を築く
顧客と組織と成長をつなぐプロダクト主導型の構築
ISBN 978-4-8207-2955-6 C3055
P140〜149
◼️オンボーディングの構成要素(アプリ内)
①ウォークスルー
・ガイド付きのアプリ内ダイアログ
・ユーザーが利用する主な機能をウォークし、タスクやワークフローを完了するためのステップを紹介するもの
・ユーザーの行動をトリガーにして、個別の訪問者に狙いを定めることができる
・あまり多用するとユーザーを圧倒してしまう
・ウォークスルーの完了率や離脱率を必ず計測しておく
・次の3つの目標達成を念頭に設計される
1、機能の価値をユーザーに売り込み、注意を払う価値があることをアピールする
2、機能同士を繋げ、タスク完了までに機能をどう使うか想像できるようにする
3、ユーザーが触って学ぶために、途中でアクションを起こしてもらう
②ツールチップ
・主要な機能の上にマウスを置くと表示されるチュートリアル
・ユーザーのタイミングで表示されるため、ユーザーエンゲージメントで最も普及していて邪魔にならない
③ライトボックス
・ポップアップとも呼ばれ、アプリ内のメッセージのスタイルのひとつで、コンテンツを強調するために他の部分をぼやかしたり、暗くしたりするもの
・例えばサービスの停止やウェビナーへの登録依頼などユーザーに何かしら行動を促すための割込みメッセージ
③ランディングパッド/プレースマット
・探索できる箇所の選択肢を提示するもの
・ユーザーが次にどこを操作すればよいかを提供する
④ブランクスレート
・UIが空の状態になってしまっているもの
・白紙のページでユーザーを不安にさせるでなく、次に何をすべきかを教える機会にする
⑤ナレッジベース
・FAQであり索引を付けて整理することでユーザー自身で情報を探せるようにしたり、ツールチップ、ウォークスルー、ライトボックス内のコンテンツとして表示したりする
⑥人
・プロダクト主導型の体験は人間を全て置き換えるものでなく、人が持つノウハウを拡大するもの
・重要なことは、データを使ってエンゲージメントを長期的に計測することで、「どこで、いつ、人が介入すべきか」を理解できるようにする
顧客と組織と成長をつなぐプロダクト主導型の構築
ISBN 978-4-8207-2955-6 C3055
P 149〜152
◼️タイミングとターゲティング
・ユーザーに受け入れてもらえるか、押し付けがましくて嫌がられるかはターゲティング次第
・最近ではじっくりマニュアルに目を通す時間のある人は少なく、タイミングを見計らって短時間に区切って徐々に提供する
・プロダクトの使い方を学んでいる最中のユーザーを混乱させたり気を散らすような機能を隠すと良い
・段階的開示により、メインの機能をメインに据える=最も重要な機能に最初に焦点を当て、少しずつ機能を見せていく事ができる
・ただし、何がメインになるのかはペルソナや個人のジョブや観測されるユーザーの行動によって異なる
顧客と組織と成長をつなぐプロダクト主導型の構築
ISBN 978-4-8207-2955-6 C3055
P 152〜154
◼️オンボーディング体験
・第一印象は非常に重要で、正しい印象を与えるためにはユーザーへの共感、細部にこだわる思い、そして自制心が必要
・オンボーディングは「タイミングが全て」
・そして「少ない方が豊かである」という前提に基づく
<CareCloudが提案する4つのアドバイス>
①プロダクトでなくユーザーに焦点を当てる
②ユーザーを価値あるものへ早く導く
③ペルソナによるセグメント化
④進捗ゼロを作らない
◼️実験を通じて進化する
・効果的なオンボーディングは実験を繰り返して進化する他ない
・データを活用してアプリ内オンボーディングとユーザートレーニングの体験を高めることでプロダクトチームは顧客維持率を高める
・プロダクトを通じてユーザーを成功に導くためのカスタマーサクセスや介入を必要とするサポートへの依存を下げる
◼️オンボーディングに終わりはない
・ユーザーによって「簡単」と「難しい」が異なる
・ユーザーのニーズや受け入れ体制に応じて新しい学習コンテンツが提供される段階的開示の原則に基づいたオンボーディングが構築されるべき
・ユーザーの行動を計測しユーザーがプロダクトのどの段階にいるかに合わせたオンボーディングを行う
顧客と組織と成長をつなぐプロダクト主導型の構築
ISBN 978-4-8207-2955-6 C3055
P154〜157
<#7_印象的なおもてなしをプロダクトと共に行うの所感>
以前カスタマーサクセスをまとめたときにも、どれだけオンボーディングが重要かを感じました。
今回の参考図書の方が、SaaSにフォーカスを当てており大変参考になりました。
また途中の「定着の習慣を作る」では倫理観についても言及していました。
これは以下のUXの法則でもかなり真剣に説明されていました。
以下の自問は本当に響きました。
ユーザーの人生をより良くする価値のあるものにユーザーを導いているか、それとも自分の利益のためにユーザーの感情をもてあそんでいるか?
この自問は日々実施すべきと思いました。
本当にこの本面白いです。JMAMのチョイス恐るべし・・・