恵那市・学校の統廃合に関する事務監査請求の監査結果
非常に成立することが難しい「事務監査請求」(地方自治法75条)の監査委員による監査結果です。市の判断は妥当との結果ですが、この監査自体行われることが珍しいので紹介します。
以下は、AIによる監査結果の概要です。詳細は、恵那市HPや後記のPDFファイルをご覧ください。
恵那市学校統廃合に関する監査結果の論点と判断
1. 合意形成の根拠について
恵那市の中学校統廃合に関して、請求人は「どのように合意形成が行われたのか、その根拠が明らかでない」と指摘しました。これに対し、監査委員は、市教委が設置した「小規模教育検討委員会」や「あり方検討委員会」が地域住民や関係者の意見を集めて検討を進めてきたことを確認しました。具体的には、平成20年から平成28年にかけて、多くの説明会や意見聴取会が開催され、再編委員会からの答申書も提出されています。このため、市の手続きには違法・不当な点はなく、適正に行われたと判断されました。ただし、「合意形成」の考え方については監査の対象外とされました 。
2. 意見聴取の範囲と方法について
監査結果によれば、統廃合に関する意見聴取の範囲や方法、程度については、市の執行機関や市議会の裁量に委ねられるべきものであるとされました。教育委員会がパブリックコメントを実施しなかったことに対しても、事務処理が違法・不当であるとは言えないと結論付けられました。また、市議会が最終的な意思決定権を持つため、これまでの事務処理には違法・不当な点は認められないとされました【4†source】 。
3. 保護者・地域説明会の結果について
保護者や地域住民からは、「統合に対する合意形成が不十分」との意見が多数寄せられましたが、監査委員はこれらの意見についても検討を行いました。例えば、令和5年2月20日の総合教育会議での市長発言に対する検証が行われ、市長の発言は地方自治法に基づく方針決定であるとされました。また、「いきなり1校にしないでください」という賛同署名が5904筆集まっていることについても検証されましたが、これも市の方針に反するものではないと判断されました 。
4. 教育の機会均等と安全管理について
請求人は「長時間の通学や冬季の凍結リスクに対する対策が不十分である」と指摘しました。これに対し、監査委員は、通学時間については文部科学省の手引に基づき、「おおむね1時間以内」を目安として設定することが適当であると説明しました。また、冬季の凍結リスクについても、現時点で具体的な損失が確認されていないため、監査の対象外とされました 。
5. 賛意発言工作に関する問題
「恵那市職員が賛意発言工作を行った」との新聞報道についても検証が行われました。内部調査の結果、賛意工作の事実は確認されず、不祥事ではなかったため、第三者委員会での調査は不要と判断されました。これにより、職員の行動には違法・不当な点は認められないとされました 。
これらの監査結果から、恵那市の中学校統廃合に関する手続きは総じて適正に行われたと結論付けられました。監査委員は、市の教育環境改善に向けた努力を評価しつつ、今後の合意形成プロセスの透明性をさらに高めることが求められるとしています。