年度方針を浸透させる取り組み
年度の始めに経営トップから年度方針の発表と説明が行われるところは少なくないことと思います。
今春、ある企業様よりご相談をいただきました。
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例年、発表される年度方針の内容を踏まえて、部門ごとに具体的な計画を立てて取り組んでいくのだけれど、会社全体の状況を見渡すと、部門間の連携がうまくできていないため、取り組みの過不足が起きている。
いろいろと手を尽くしても、部門間の壁が高くてうまくいかないので、何とかしたい。
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調達コストアップ、取引先からの要望の多様化、人員確保の難化など様々な難しい要因を抱える中、切り分けられた部門毎の対応では限界に至っており、全社的な再構築が必要とされているのかもしれません。
そこで、年度初めの方針発表の場に同席させていただき、方針についての簡単な対話の場を設けて、それをキックオフとして、その月内に4回のワークショップを行いました。
初回は部門長のみを対象として実施。
はじめに、いくつかのグループに分かれて、それぞれの前年度の歩みについて語ってもらい、ふりかえりを行うと同時に、聴き手には他部門の取り組みの背景にふれてもらう機会を持ちました。
続いて、ここ数年の環境変化についての認識を出し合い、年度方針の背景についての理解を深める取り組みを行い、それを踏まえてそれぞれの部門の課題を出していきます。
課題の背景について確認し合った後、課題解決に向けたアイデアを出し合い、その整理を行いました。
2回目、3回目は、その下の課長クラスを対象として、2回に分けて同様の取り組みを実施。こうした取り組みを通じて、普段は触れることのない他部門の内実に触れあうことができて、協力できるところや連携できることへの意識を持ってもらうことができたようです。
4回目はまとめの回として、部門長と課長クラスからの選抜メンバーの合同での開催。
それまでの3回の取り組みを元に、出されたテーマ別の取り組み案を一覧にまとめると同時に、年度方針のテーマの具体化のためのテーマ、取り組みの全体関連図(システムループ図)の叩き台を用意してみました。
テーマと全体関連図を説明した後、関連度の高いテーマ毎に集って具体的な取り組みについてのグループ対話を行いました。
結果として、それまでにはなかったような部門横断的な具体的な取り組み施策が生まれてきて、これまで部門最適の枠組みを越えられずにいたのが嘘のように、協力の流れが生まれてきました。
更には、4回の取組み終了後も、継続して部門横断的な話し合いの場が持たれることになったようです。
組織の変革のための動きが始まる兆しが生まれてきました。直面する多くの困難はありますが、これからの展開が楽しみになる雰囲気を感じています。