アコンカグア0日目:ワインの街メンドーサ
2019年1月19日(土)
Malbecワインの街へ
夜のフライトでブエノスアイレスの街を後にして、僕はワインの街メンドーサに旅立った。
フライト時間は2時間、バスだと16時間かかる道のりなので飛行機で移動することにした。
アルゼンチンのバスは高い。飛行機のチケットと値段がそんなに変わらないので迷わず飛行機で向かうことにした。
利用した航空会社は、Norwegian Air
ノルウェーの会社、、だよね?
なぜアルゼンチンの国内線を飛んでいるかは謎だが、こういうことが世界ではある。
アルゼンチン国内だとLCCの競合が少ないのかな?たぶんそんな理由だと思う。
今夜泊まるのは、Hostal Confluencia
メンドーサの中心地にあり1泊40USDくらい、朝食付きのふつうの宿だ。
バックパッカースタイルで旅をするときは、ドミトリーにも泊まるが、今回は荷物も多いし、パッキングが大変なので、シングルルームを予約した。
ここでは2泊だけ予約をしていて、翌日を丸一日使って登山用品のレンタルや入山許可証を取る予定になっている。(翌日は日曜日だけど)
早ければ2日後の月曜日には登山開始だ。
今日はもう遅いので近くで軽くご飯を食べて、シャワーを浴びて寝る。
INKAエクスペディション
(出典:https://inkaexpediciones.com/)
僕がメンドーサに来たのはワイナリー巡りをするためではない。南米最高峰のアコンカグアに登るためだ。
標高は6,962m、ヒマラヤ山脈を除くと世界で一番高い山となる。
日本はもちろん、アフリカやヨーロッパにもここまで高い標高の山はない。
山に登るためにはガイドを付けたり、ポーターを頼んだり、ムーラというロバと馬のハーフの動物に荷物を運んでもらったり、
ベースキャンプ(BC)でトイレを利用したり、山岳保険に加入したりと、いろんなサービスを提供している会社がある。
今回の僕はソロ登山だ。ガイドもポーターもいない。完全に一対一での山との勝負。
それでも荷物を運ぶムーラやBCの利用は、登山をする上で必須だ。入山の申し込みも一緒にするとセットパックのような形で通常料金よりも安くなるように料金設定されている。
大手のサービス会社はINKAともう一つくらいあるが、僕はINKAで申し込むことを決めていた。
できればこの日で準備をすべて終えて、明日から登山を開始したかったので早朝から動き出した。宿からまっすぐ10分くらい歩いてINKAのオフィスに向かった。
オフィスに行くと女性の担当者が話をしてくれた。
アコンカグア登山には、ルートが2つある。
ノーマルルート(右)、ポーランドルート(左)だ。
(出典:https://inkaexpediciones.com)
どちらのルートを進んでも、最終的にはキャンプ3のコレラ(5,970m)で合流してそこから山頂の6,962mまで登る。
そして8割以上の人はノーマルルートを選ぶ。
ちょうど同時期に登っていた世界最高齢でエベレストに登頂した三浦雄一郎さんとその登山隊は、ポーランドルートで登っていた。
(登頂できなくて残念でした)
ノーマルルートの登頂スケジュールを教えてもらった。
一番早く順調に登れば10日間で登って帰ってこれるが、もちろん天候によるところがめちゃめちゃ大きいし、高度順応で時間がかかることもある。
入山許可されている期間は20日間しかないので、天候が悪くてサミットプッシュできない可能性すらある。
(出典:https://inkaexpediciones.com)
1日目
メンドーサ
↓(バス3時間)
ペ二テンテス(ムーラ手配)
↓(車移動)
オルコネス(登山口)
↓(3〜4時間)
コンフルエンシア(3,400m)
2日目
コンフルエンシア(3,400m)
↓(8〜9時間)
BCプラザ・デ・ムーラス(4,300m)
3日目
順応期間
4日目
プラザ・デ・ムーラス
↓(3時間)
キャンプ1カナダ(5,050m)
5日目
キャンプ1カナダ(5,050m)
↓(3時間)
キャンプ2ニド・デ・コンドレス(5,550m)
6日目
順応期間
7日目
キャンプ2ニド・デ・コンドレス(5,550m)
↓(3時間)
キャンプ3コレラ(5,970m)
8日目
サミットプッシュ(12時間)
9日目
キャンプ3コレラ(5,970m)
↓(6時間)
BCプラザ・デ・ムーラス(4,300m)
10日目
BCプラザ・デ・ムーラス(4,300m)
↓(6時間)
コンフルエンシア(3,400m)
↓(2時間)
オルコネス
↓(バス3時間)
メンドーサ
INKAでムーラを手配して荷物をベースキャンプまで運んでもらい、1泊目はコンフルエンシアのINKAテントで宿泊するスケジュールにした。
当日の夕食と翌日の朝食がついているので、食料やテントもムーラで運ぶことで荷物をかなり軽量化することができる。必要なものは寝袋と、寝るときに必要なダウンジャケットくらいだ。
2日目のコンフルエンシアからベースキャンプ(4,300m)までは8時間以上かかるので、アコンカグア山頂へのサミットプッシュに次いで長い距離を歩く。
高度順応できてない状態で最初から4,000m近くの標高を歩く。なるべく荷物を軽くできる方法を取ったが、不安しかない。
が、やるしかない。これしかルートはないんだ。
観光局と入山許可証、登山用品のレンタル
観光局(Ente Provincial de Turismo)でお金を支払ったあとに、Administration Parks and Zoosというところに入山許可証を取りに行った。
そのあとにINKAに紹介してもらったPireという登山ショップで、必要なものをレンタルしに行くことにした。日曜日でも開いていたので助かった。
トレッキングブーツは持ってきていたが、7,000m級を登るにはダブルブーツが必要だ。凍傷にならないように構造が2重になっている。
あとはダブルブーツに合うアイゼン。ブーツにつける爪のようなものだ。アイゼンなしで登るのは死に行くようなものなので、これもブーツに合う装着しやすいものをレンタルする。
これを着けるときはおそらく標高6,000m以降だろう。なるべく、手袋をしていて寒さで震えていても装着できるようなタイプががいい。
あとはガス。これも命をつなぐ重要アイテムだ。あらかじめ日本から持ってきていたこのバーナーに合うガスのロング缶を3つ購入した。
ブーツとアイゼンの2週間レンタル、ガス3つを購入して、合計で160USDだった。
店内には、数日前にガイドとして登頂して、帰ってきた人がいた。
天候は良く、多くの登山者が登っている映像を見せてもらった。今シーズンは雪が少ないらしい。
雪が少なければ水を作ることもできず、アイゼンをつけることもできないので、踏ん張りながら登らないといけない。
登りやすさで言えば、雪はあったほうがいいだろう。
7,000m級の山に2週間、水もなく生き物も生存できない氷の世界。酸素の量は地上の半分。
想像もできない未知の世界だけど、行くしかない。
「I will be back in 2 weeks.」
そう言って、店をあとにした。
スーパーマーケット
やらないといけないことはあと一つ、近くのスーパーで食料の買い出しだ。
ちょうどINKAと宿の間にCarrefourあった。Carrefourは世界中にある大きめのスーパーだ。日本のイオンみたいなスーパーで、なんでも売っているので僕も海外でよく行く。
ここでは2リットルの水を3本と、プロテインバーのようなナッツの入ったお菓子を何個か買った。
ベースキャンプより上では、雪を溶かした水をペットボトルに保管しておくことになるので、2リットルくらいのペットボトルが3本以上はあったほうがいい。
それに加えて魔法瓶が1本、スポーツドリンクを入れられるような口が広くて、取り出しやすいボトルを1本を持ってきた。
とりあえずこれで事前準備は完了だ。宿に戻って、荷物の整理をする。
1日目に必要な最小限のボトルや衣類をバックパックに入れて、ムーラでベースキャンプに送るものはボストンバッグに入れようと思ったけど、それでは荷物が収まらない。
結局、必要なものすべてを入れたらバックパックとボストンバッグ両方ともいっぱいになってしまった。
総重量40kgはありそうだ。これを持ってバスターミナルに行くのも大変だ。
無事にアコンカグアに登頂できたら、そのあとは何週間か南米を旅しようと思う。そのために必要なものも持ってきていた。
パソコンだったり、靴や衣類など。登山では必要ないので、宿で預かってもらうことにした。もちろん鍵をかけて。
レセプションの女性にアコンカグアに登るということを伝えたら、驚いていた。いるにはいるんだろうけど、珍しいんだろう。しかも単独で登るなんて。
最後のシャワーを浴びてヒゲを剃る。これから2週間はシャワーなしか。
記事中に出てくるアコンカグア登山で利用したメンドーサの施設をリストにまとめました!これからアコンカグアに行く人も参考にしてみてください。