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アコンカグア15日目:懐かしのメンドーサ

2019年2月4日(月)

最後の朝

アコンカグアベースキャンプ、世界一豪華と呼ばれるプラザ・デ・ムーラスで迎える最後の朝だ。今日も快晴、気持ちよく歩くことができそうだ。

今日中にメンドーサまで戻る予定なので、バックパックに入れて持っていくものは水とちょっとした食料のみだ。

往路と同様、ペ二テンテスのホテルまでムーラで荷物を運ぶためINKAのスタッフにテントなどの荷物を渡す。今回は70リットルのグレゴリーバックパックも預けて、小さなアタックザックのみ持って下山することにした。

さて、下山開始だ。アコンカグア山頂6,962mまで登ったので、2週間前よりもはるかにパワーアップしている。9時間くらいあれば下山できるだろう。サミットで会ったジュンヤさんも、もしどこかにいるなら今夜のメンドーサ行きのバスで会えるはずだ。

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ここからはひたすら岩山を下っていく。殺風景といえばそうとも言える。

森林限界はとうに超えているため草木はない。

ひたすら歩く。

時刻は15時になっていた。

6時間ほど歩いて、大きな川が見えてくる。そして遠くにコンフルエンシアの鮮やかな色をしたテントが見えてきた。

吊橋を渡って、アコンカグア南壁へ行くルートとの分かれ道がある。

僕は行かなかったが、ここを登っていくとアコンカグア南壁が見えるフランシアに行くことができる。

テントが見えてからが長かったが、そのまま進んでいきコンフルエンシア(3,400m)に到着した。

20kmくらいの道のりだろうか。ここにはトイレや水もあるので、ちょっと休憩。

ここまで来るとだいぶ酸素が濃い!身体が喜んでいる。(たぶん気のせいだと思うが笑)

登山口のオルコネスまではあと2時間くらいだろう。楽勝だ。

ここまでくればあとは平坦で楽な道のりだ。徐々に緑が増えてくる。

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そして、登山口に近づいていくにつれて、トレッキングに来ている人が徐々に増え始めてきた。

プラザ・デ・ムーラスを出発して、8時間。ようやく登山口のオルコネスに到着した。

2週間前の入山時と同じ場所で写真を撮った。同じ人とは思えないくらいたくましくなったなと自分でも思う。

死線を越えてきた、そんな感じだ。

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アコンカグア南壁が見える。あそこが南米で一番高い場所。標高6,962mヒマラヤ山脈を除けば、世界一高い場所だ。

つい数日前に本当にあそこまで登ったんだ。

入り口に警備員の人がいたので、INKAの迎えの車はいつ来るか聞いてみたところ、連絡してくれた。

30分くらい経ったところで、INKAの迎えの車が来た。今日、ベースキャンプから下山してきた人は僕だけのようだ。

車に乗り、ペ二テンテスのホテルまで移動する。

そしてムーラで運んできた荷物を受け取った。行きのときにいたボスPochoはいないようだった。

メンドーサ行きのバスの時間まで時間があったので、ホテルのカフェで軽食を食べることに。

コーラと生ハムサンドウィッチを食べ、至福の時間を過ごしてバスを待った。

達成感

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ここまで来ると急に現実に戻ったような感じがした。この2週間が夢だった、そんな気持ちになる。

ここ数年感じたことのないような、達成感に満ち溢れていた。2回のサミットプッシュ、今までの人生で到達したことのない未知の世界に挑戦して、間違いなく全力を出して、自分自身に打ち克った。

自分への挑戦。

そういえば、こういう挑戦が好きだったんだな。

他の人と同じことをしていれば、そこそこの成果を出すことができるだろう。仕事にしてもそう。年々、全力を出すことがなくなってきていた。

10代の頃に比べて、あらゆる面で人生が豊かになり充実感を感じ、ストレスや反骨心、闘争心はなくなり、ハングリー精神が損なわれてきていた。

充実感と満足感が相反するという矛盾のようなものを感じていた。

結果がどうなるかわからない不確実な挑戦。

登れても登れなくてもいい。全力を出した自分の立ち位置を知りたかった。そのための挑戦。

そして、これが人生に与えるワクワク感はとてつもなく大きかった。

次は世界最高峰エベレストだ。どんどん目標が大きくなっていって、エベレストで亡くなった栗城史多さんのような無謀な挑戦をしないことを願う。

そんなことを考えているとバスが来た。

バスに乗るとすぐに眠ってしまった。

メンドーサ

メンドーサに着くと、すっかり暗くなっていた。今日のホテルは予約してなかったが、荷物を預けていたため前回泊まったHostel Confluenciaに行くことにした。

Hostel Confluenciaに行くと、その日は満室で泊まることができなかった。ひとまず、預けた荷物はそのままにして、近くのユースホステルのシングルルームに泊まることにした。

時刻は23時、ベースキャンプを出発してから14時間。

ようやくチェックインして、いますぐベッドに倒れ込んで眠りにつきたかったが、全身砂だらけ、垢だらけ、足には連日の長距離移動でマメができていた。

念願のシャワータイム。暖かいお湯に触れるだけで感謝の気持ちが湧いてくる。シャンプーをつけても全然泡立たない、2週間溜まった汚れを必死になって落とす。

30分以上はシャワーを浴び続け、全身の汚れを落とそうとしたが、鏡越しに見た顔と首周りの日焼けがひどかった。

間違いなく、人生で一番日焼けしただろう。日焼け止めは塗っていたが、けっこう薄めだったからかな。痛みもなかったので仕方ない。

毎日、2~3回塗るべきだったけど、シャワーを浴びないからいいかと油断していた。皮もめくれてボロボロだ。

伸び切ったヒゲも剃りたかったが、時間がかかりそうなのでやめた。

パンツを久しぶりに新しいものに替え、生まれ変わった気分になる。

スマホを触る余裕もなく、一瞬で眠りについた。

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