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  • なんやこれ大全集

  • 綱渡り日記

    綱を渡ることは生きることと似てる

最近の記事

Mの虚像

お金持ちの父親と母親が離婚して、彼女は安い公団に引っ越した。 その近くに「あじさいロード」があった。 彼女は、両親が離婚してしばらくは新しくなった苗字を教えてくれなかった。小さくなってしまった家に案内してくれることもなかった。 ある日、「今日親が居ないからくる?」と誘われた。紅潮する白い頬を見て、それと知った。 お互いに学校が休みの日。私服で待ち合わせた僕らは近くのコンビニで酒とコンドームとお菓子を少々買って、2人で袋を持ちながら彼女の家に向かった。 彼女は流行りの

    • 商社社員、午後7時45分の群像

      もう限界だ。 中学受験から始まって、高校はエスカレーターで上がったものの、大学ではさらに難関をということで東京都内の某国立大学を受験。見事に合格をしたあとに、一流企業に就職して、異例のスピードで昇進。現在は30人の部下を束ねるプロジェクトリーダーを勤めている。 プロジェクトというのは、アフリカに眠っているとされているガス田を開発して日本国内の企業に売りさばくというもの。現在までに会社がこのプロジェクトに投資してきた総額は128億とんで300万円。後戻り出来ない社運をかけた

      • 鶏肉と豚肉。5日目

        意味なきことを楽しむことの難しさといったらない。 1人暮らしを初めてもう3年半経つ。 不思議なモノで実家暮らしという感覚から離れていると、実家で暮らすという感覚を忘れてしまいがちだ。 実家には帰りたくはない。このまま気ままに暮らしていられればなんと素晴らしいことかとも思う。 今月はかなり厳しい。元より貯金は無い(筆者の名誉の為に言えば決して薄給なのではない)のだが、先月の長期出張と相まって給料日直前になって金が底をつきた。クレジットカードもこれ以上は頼れないという惨状

        • 天空城「蒲田」

          風俗独特のなんとも言えない匂いを抜けたらそこにそびえ立つ蒲田。 パチンコ店と激安ピンサロの聖地。 クラミジアを引きずりながら働くバツイチかつ精神疾患持ちの30代女性を乗せた京浜急行が走り抜ける。 タバコの吸殻を拾い集めて作られるタバコ。 意味もなく公園で捧げられる謎の韓国人の祈り。 駆け巡る雑踏、天空城「蒲田」 在日朝鮮人の利権に対する非難を声高に叫ぶ厚顔無恥なステレオスピーカーも、盾を称する無知な左翼集団も、背中に墨の入った連中も、偉そうに踏ん反り返ってる国会中継というク

        Mの虚像

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          5本
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        記事

          4畳半地獄

          時々不安になる。 コロンブスがアメリカ大陸を発見した時、インドと勘違いしていたように、僕が自宅と思っているこの場所は自宅ではないのでは?と。 いや、そんなことあるはずはない。 何故なら、彼女がおいていった生理用品がきっちりトイレの棚の上にあるからだ。 いや、しかし、経験上女というものは興味のある男の家には生理用品を置いていくという習性がある。すると、なにか、より不安を深めるだけの材料でしかないではないか。 そもそも、私が東京都中野区に住居を構えるというのも胡散臭い話だ。 幼少

          4畳半地獄

          胸焼けとさようなら。1年越しに4日目

          久しぶりの更新だ。noteの存在すら忘れていたので無理もない。もう、誰もこのブログすら見ていないだろう。 僕はまだ、岐阜市に住んでいる。この街のことが好きになってきて久しい。そのことについては後日語ることとしよう。 僕は社会人1年目を名古屋で過ごした。 名古屋は良い街だ。都会で、華やかで、それでいて少し身を隠す場所もある。大須という街があるのだが、夜になるとがらんどうになる。その街を酔った頭で散歩することが僕の日課だった。 その時の友人でC君という友人がいる。 彼は悪い

          胸焼けとさようなら。1年越しに4日目

          ダンスホールとミラーボールと。3日目

          寒さが身に染みる。 「四季」という言葉がある。古来、日本では3か月ごとに季節を区切っていたようだが、しっくりこない現状だ。暦上は7月は秋。そんなことはないはず。夏休みの宿題を秋に片づけるなんて、中学時代の担任が聞いたら卒倒する。 しかし、季節が暦にじっくり追いついてくる季節がある。ちょうど今はその時期なのかもしれない。夏が終わって秋を飛ばして冬が来てしまったような気温だ。 数日前から毛布を出し、冷蔵庫に入っているビールはそのままになっている。 岐阜にきて1か月。

          ダンスホールとミラーボールと。3日目

          金木犀と本屋。2日目

          仕事をさぼる。 仕事を始めて1年と半年。この業界は本当に変わっていて「仕事をさぼる」ことをまず一番初めに教わる。おそらく、激務と言われる仕事をこなすためには適度に息抜きを入れることが必要なのだ。 これを覚えるのは早かった。思い切って映画館に入った時にはしびれた。電話が鳴ればお終い。分かってはいるのに悪いことをしている時間に酔いしれていたのだろう。童心に帰るということは時に恐ろしいものだ。 岐阜に来てからは私有車で仕事をする。どこにいてもわからないし、なにをしていようが自

          金木犀と本屋。2日目

          今日からブロガー。初日

          初めまして。片田舎で文字書きの仕事をしています。 今住んでいるところは岐阜県です。出身は横浜ですが、またこれもめぐり合わせ。社命で「明日から岐阜に」と言われた瞬間、岐阜県民になっていました。 父はIT企業の偉い人、母は専業主婦。私も大手企業に入社し、順風満帆にきていたところでした。街灯がまったくないこの町で生きていくことに多少の不安を抱えながらそろそろ一か月。まずなにから書いていくべきか。 台風19号が近づいている。現在時間17:30分。今のところは四国あたりを北上して

          今日からブロガー。初日