見出し画像

AIお絵描き(Midjourney)を使い込んで感じた、創作(マーダーミステリー、TRPG)への活用についてのまとめ

 最近急激に流行してきて、今や誰しもが耳にした、もしくは聞いたことがあるであろうAIお絵描き(Midjourney、DALL-E等)

 かく言う僕も、一か月前までは全く知らなかった領域なのですが、流行に乗って使ってみたら、予想以上に技術の発達がめざましく、おもちゃで遊ぶ子供の如く、キャッキャと色々試してみました。

 これはマーダーミステリーをはじめとした創作活動に対するブレイクスルーになる! という観点から、一度その親和性と活用についてまとめてみたいと思います。

※当記事に使われているイラストは、全てmidjourneyで作成されたイラストとなっております。

■AIお絵描きは創作の福音となるか?


なります(確信)

 創作を行う際に、ビジュアルというのは非常に強力な武器となります。一目見ただけでプレイヤーに具体的なイメージをもたらし、作品そのものをリッチにするという意味では、「誰でも手軽にビジュアルが作れる」ということは、創作においては間違いなく発展に寄与するでしょう。

 特にメインビジュアルのあり/なしは、作品の売れ行きに直結すると考えているため、まったく同じ中身、タイトルでも、メインビジュアルがあるかないかだけでもプレイヤーの期待値は劇的に変わります。

 例えば、キャラクターの紹介をする際にも


「探偵に憧れてホームズを意識した鹿打ち帽がトレードマークの快活な少女。年のころは17歳。栗色の長い髪の毛を垂らし、好奇心に満ちたくりっとした瞳は愛嬌を感じさせる。大人びた茶色いコートを身に着けているが、胸元の白いフリルは年相応の可愛らしさを感じさせる。」

という文章での説明と比べ、イラストを見せれば0.1秒でプレイヤーは理解し、また、直感的にキャラクターのニュアンスを感じることができます。

 創作を行う上でビジュアルは強力な武器となるとなるのは間違いありませんが、概ねの場合において、マダミスのシナリオを作ったり、小説を書いたりする才能と、イラストを描く才能は別ベクトルの才能です。
 そのため、概ねの場合はイラストは外注する形となりますが、イラスト費用は個人の趣味の範囲で行うには比較的高額(数万円~数十万円)で、個人製作のマダミスシナリオではデザイナーさんやイラストレーターさんにお願いできるほど余裕がある人は少ないでしょう。

 今話題のAIお絵描きは、サービス利用料は無料~サブスクで数千円であり、従来のイラストにかける費用としては文字通り桁違いにお安く、手軽に利用することが可能です。

 「創作」という分野においてこのAIお絵描きは相性が良く、「特に目的もなく、何となくAIお絵描きで遊ぶ一般人」でも「もともとイラストを描く技術を持ち合わせている専門家」でもない、「表現の手段としてイラストを使いたくても使えなかった、目的意識のある絵心のない創作者」というポジションは、最もこの手の技術を渇望していた人種なのではないかと思っております(僕含む)

 まとめると「イラストを発注するほどの余裕が無く、今まであまりビジュアルに力を入れられなかった個人製作のマダミス」において非常に有効な技術であると考えています。

 ただし、AIお絵描きを使えば何もかもが上手くいくかというとそうでもなく、向き不向きがあります。

 次からは、それぞれについて考察していきます。

■AIお絵描きが向いている分野

◎風景画

ファンタジー世界のお城
ファンタジー世界の資料室

 風景画には非常に向いています。これは、現実・芸術・ゲームなどあらゆる分野で「綺麗な風景」の素材はそこらじゅうに転がっており、かつ、人体と違って細かい整合性が無くとも致命的な違和感に繋がらないためです。
 おおまかに風景のイメージをインプットするだけでそれっぽい風景は作ってくれますし、インプット次第で「水彩画風」「写真のような」「ゲーム画面のような」と、表現技法も自由自在に出し分けることが可能です。
 これは利用方法によってはメインビジュアルに使うことも出来るため、AIお絵描きはまず風景画から始めるのが最も適切と言えるでしょう。


◎ホラー・不気味なイラスト・クトゥルフ

机の上に置かれた気味の悪い人形

 ホラー・不気味なイラストも次に向いています。これはAIお絵描きの特性を逆手に取った戦略なのですが、現在のAIの精度では「一見綺麗なイラストだが、よくよく細部を見てみるとよくわからないナニカ」であったり「人間のはずなのに関節がおかしい、手足の数がおかしい」といったような、出来損ないやキメラのようなイラストが出来上がる確率がかなり高いです。

 本来これらの要素はマイナスポイントなのですが、細かい整合性を気にしない、むしろそういった不気味さを感じさせたい作品のにおいては、AIが作り出す偶発的な不気味さは、作者も想像しないような武器となります。

クトゥルフの化け物が部屋に入ってくる

 また、クトゥルフについては異常に多くのサンプルがあるのか、キーワードにクトゥルフを入れるだけで、簡単にそれっぽいイラストを作成することが可能です。

〇メインビジュアル

美少女イラストを作ったらいつの間にか出来てたいい感じのイラスト
何かよくわかんないけどエモい感じになった一枚

 メインビジュアルを作るのにもそこそこ適してます。AIお絵描きはその特性上「偶発的に出来上がった、なんか壮大で美麗な一点もののイラスト」というものができやすく、数百回試行した後で、1枚だけ出来た綺麗なイラストをメインビジュアルとして用意すれば作品の売りになります。
 もちろん、メインビジュアルにも向き不向きがあり、先にあげた「風景画」や「抽象的なイメージ」といったものであればメインビジュアルに使いやすいです。

 ただし、本来メインビジュアルは作品の顔。本来であれば数万円かけてイラストレーターさんに発注し、細部まで拘って作成すべきものであるため、メインビジュアルを発注できるほどの規模ではないが、そこそこ美麗なメインビジュアルが欲しいシナリオに適している形となります。



■AIお絵描きが向いていない分野

▲キャライラスト

銀髪ロングヘアのメイド服の美少女

 キャラクターイラストについては、最近midjourneyがバージョンアップされたこともあり、美少女イラストも頑張ればかわいいイラストが作ることが出来るようになりました。また、写実的な人物のイラスト等も作成することができますが、問題なのはキャラクター間で規格やテイストを統一することです。
 AIは全く同じ命令文を与えてもランダムで画風や構図が全く違うものが出来るため、マダミスのキャラクター一覧などでよくあるように「同じアングル、同じ画風で横並びにする」という出力は、相当なAI技術の熟練が求められます。

冒頭に挙げた命令文と全く同じ命令文のメイド服の女の子①
冒頭に挙げた命令文と全く同じ命令文のメイド服の女の子②

 加えて、AIの特性上、美少女とオジサンと子供ではサンプルの採取先に偏りがあるため、テイストの統一がかなり難しいです。

「メイド」の命令文を「中年の男性」に変えたもの。これはこれで悪くないが統一性は無い


「メイド」の命令文を「子供」に変えたもの。これはこれで悪くないが統一性は無い

 結果として、シナリオに登場する登場人物を全ていい感じにお絵描きAIで作るのはかなり困難なのではないかと思っています。

 ただし、キャラクターのイメージをおおまかに固めてからイラストレーターさんに発注する元にしたりキャラクターの表情をわざと黒塗りしてシルエット状にするなど、色々工夫する余地はあると思いますので、このあたりはAIお絵描きスキルの腕の見せ所になると思います。


▲アイテム素材

図鑑に描かれたポーション

 例えば「ポーション」や「日本刀」、拳銃といったアイテムのイラストを作り出すことは、単発では可能です。ただしここでも出てくるのが、キャラクターでも出てくる「横並び」の問題で、「テイストを統一した複数素材」を作ることが非常に難しいです。
 また、アイテム素材は、「メインビジュアル」や「キャラクターイラスト」と比べて、労力に対する作品の魅力アップに直結しません。
 「拳銃」がちゃんとしたイラストで表現されているともちろん嬉しいは嬉しいのですが、「拳銃」と文字で示されていても、それほど魅力の低下には繋がりません。

 また、例えば「鷹の紋章が刻まれた拳銃(これがマフィアとのつながりを示すことになる)」などといった、トリックやシナリオに直結するような細かい注文の作成はなかなか難しく、そういった意味でも、アイテム素材でAIを利用するのは効率が悪いと考えざるを得ません。

 この部分は、おとなしく文字で済ませるか、あるいはアイテム素材集などを購入した方が良いでしょう。

×システム素材

 例えば「カードのデザイン」や「トークン」といった、ある程度綺麗にまとまった、かつ正確性が求められる小道具のようなものは、大きなキャンパスにランダム性をもって描くAIお絵描きとは対極に位置するものです。
 こちらは素直に専用の素材を利用するか、いっそペイント等で手作りした方が、イメージに近いものが出来上がるでしょう。

 ただし、こちらは「パターン模様の作成」や「タイル素材の作成」を作った上で活用するといった、命令次第で効果的な使い方もできるらしいので、上手く使うことでこちらもAI活用の余地があるのかもしれません。

■AIお絵描きの登場によってマダミス作品のビジュアルは均一化するか?


これについては、個人的には「そんなことはない」だと思っています。

 理由としては、AIお絵描きそのものは単なるツールに過ぎず、また、使いこなすにもある程度のスキルが必要であること、どのように使うかは個々の作者のセンスに委ねられます。

 また、敢えてAIお絵描きを使わず、自分の手でビジュアルを作ったり、イラストレーターに外注したりすることで独特の味を出すことも戦略として考えられるため、「AIお絵描きの発達=ビジュアルの均一化」になるということは杞憂であると考えています。

 更に、AIお絵描きをいじっていて、キャラクターイラストの部分でも触れた通り「テイストを統一したイラストの作成の難しさ」、「特定のイラストレーターだからこそ出来上がるイラストの味(=人間味)」というものの価値も、逆説的に感じることが出来ました。

  イメージとしてはボーカロイドに近いですね。ボカロの登場によって、誰でもボーカルを作れるようになって、良い曲を作り始めたクリエイターさんは数多くいらっしゃいますが、だからといって生身の人間のボーカリストの価値が落ちたかと言えば全くそんなことはありません。

 ただ、ボーカロイドの登場によって音楽業界が新たな発展を遂げたのは間違いないので、そういった意味でも、今後の創作業界において「AIお絵描き」は一つの転換期となる素晴らしい技術となることでしょう。

 とはいえ、まだ世に出たばかりの技術の上、今も日進月歩で進んでいます。創作のための強力なツールとしても、最先端のテクノロジーとしても、目が離せない技術ですね!

 皆さんも素敵なAIお絵描きライフをお送りください!

(以下オマケ。いい感じに生成できた画像)

嵐の中の海賊船
かぼちゃ×金髪の美少女
山奥に佇む旅館
荒廃した未来の世界を徘徊する機械のバケモノ
青い装飾がされた貴族のパーティー会場


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?