![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/94552250/rectangle_large_type_2_91ea18ddd222b65877d79c978f8491e5.png?width=1200)
ブルージェイズのエース候補たち 〜TiedemannとZulueta〜
どうも、ヤスです。
今回は私が推しているブルージェイズのプロスペクトを2人、紹介したいと思います。2人とも23年にメジャーへ昇格してくる可能性が高いピッチングプロスペクトで、高いポテンシャルを持った選手です。
① Ricky Tiedemann
・基本プロフィール
フルネーム:Tariq Leni Tiedemann
ポジション:LHP
生年月日:2002年8月18日生まれ(20歳)
出身:カリフォルニア州ロングビーチ
プロ入り:2021年ドラフト3順目全体91位で入団
投/打 L/L
身長/体重 6フィート4インチ(193センチ)/220ポンド(99キロ)
・2022年シーズン成績
2022年成績
1A・1A +・2A
18G 78.2IP
ERA 2.18
117SO
29BB
・MLB公式サイトによるスカウティングスケール
Fastball:60
Slider:55
Changeup:55
Control:50
Overall:55
・選手寸評
Tiedemannは22年の開幕時点でMLB.comのプロスペクトランキングで全体100位以内に入っていませんでしたが、マイナー開幕から支配的なピッチングを続け、ランキングがグングン上昇。最終的にはシーズン終了時点でランキングは全体33位まで上昇しました。プロ入り前は80マイル台後半〜90マイル台前半程度だったファストボールの速度帯が、マイナーで投げ始めると常時95マイルほどに成長。いまやブルージェイズの次世代エース候補筆頭となっています。
彼の記事やレポートを読んでいるとPotential No.1 Starterという文字列を目にすることがありますが、その通り、エースに必要な要素を全て備えている、トータルパッケージなスターターです。私が思うその要素ですが、
・ファストボールの速度帯(常時95マイル前後)
・平均以上の変化球が2つ以上
・コマンド面
・体格面(小さすぎないこと)
という4点です。
ひとつずつ触れていくと、Tiedemannは絶対数が少ないLHPでありながら常時95マイル、最速98マイルのファストボールを投げ、スライダー、チェンジアップはすでに平均以上の評価を受けています。スライダーの変化はBOSのクリス・セールのものをイメージしていただくと理解しやすいでしょうか。ストライクゾーンを横に通過する大きなスライダーです。チェンジアップは9歳のとき、彼が参加したチームのコーチに教えてもらったという握りでずっと投げ続けているそうで、これも高い評価を受けています。
「僕が9歳くらいのとき、トラベルボールのコーチにチェンジアップの握りを教えてもらって、それ以来はずっと変えていないんだ」
上記ページより訳、引用
※トラベルボールは日本でいうリトルリーグに近いもので、名称通り試合をするために遠征を伴うこともある
トラベルボールに関しては興味がある方はこちらをご覧ください(本題ではないので)。
コマンド面は78.2イニングで29四球で、BB/9(9イニング換算で四球を何個出すか)では3.3と、ストライクゾーンにボールを集めることができています。ここをもう少し向上させるとさらに支配的なピッチングが出来そうで、数少ない彼の弱点となっています(と言ってもケチをつけるならこれくらいしかないのですが)。
体格面に関してですが、MLBレベルになるとトップレベルでは年間で200イニング以上投げることもあるため、体が小さすぎると投げ続けることで蓄積してくるダメージに耐えることがむずかしくなってくると考えられます。そのため、MLBレベルともなると体格が優れていないとリリーバーに回されてしまう可能性が出てきます。Tiedemannは6フィート4インチあるため、この点に関しては心配ないと言えるでしょう。
スライダーの変化でクリス・セールをイメージに挙げましたが、スピンの効いたファストボール、大きく横滑りするスライダーや沈むチェンジアップという持ち球面で、ピッチャーとしてのタイプも彼に近いと思っています。Tiedemannはセールほど細くはなく、がっしりした体格をしていますが、このまますくすくと成長すればセールのように、長い間エースレベルとしての活躍が期待できる逸材です。
スライダー多めの登板映像
ファストボール多めの登板映像
1人目の打者からチェンジアップで三振を奪っている映像
② Yosver Zulueta
・基本プロフィール
フルネーム:Yosver Jose Zulueta
ポジション:RHP
生年月日:1998年1月23日生まれ(24歳)
出身:キューバ・レメディオス
プロ入り:2019年6月 インターナショナルFAより入団
投/打 R/R
身長/体重 6フィート1インチ(185センチ)/190ポンド(86キロ)
・2022年シーズン成績
1A・1A +・2A・3A合計
21G 55.2IP
ERA:3.72
84SO
32BB
・MLB公式サイトによるスカウティングスケール
Fastball:70
Slider:55
Curveball:55
Changeup:55
Control:45
Overall:50
・選手寸評
2019年6月にインターナショナルFAからブルージェイズとサインして入団したZuluetaでしたが、すぐにトミージョン手術をすることになりました。2020年は新型コロナウイルスの影響でマイナーリーグが開催されなかったこともあり、復帰は2021年に。しかし、プロ入り後初登板となった試合で打者1人と対戦時、ベースカバーのプレーにて膝の前十字靭帯を断裂する重症を負い、再びシーズン絶望という悲劇に見舞われました。ようやくのフルシーズンデビューとなった2022年は、高いポテンシャルを見せた一方、課題も見えた1年になった印象です。
先述したエースに必要な要項だと、彼にはコマンド面が欠けています。2022年は55イニングを投げ32与四球、BB/9では5.2と、制球力に苦しみました。スターターに残るには制球面を改善する必要があり、ブルペンに転向するリスクも抱えるピッチャーです。
彼の最大の特長といえば、explosive(爆発的な)と表現されることもあるファストボールです。最速は100マイルに達し、常時95マイル前後を記録する非常に威力があるボールです。2022年はこのボールをメインとして、55.2イニングで84個もの三振を奪いました。私が彼を推したいポイントもこのファストボールにあり、スピンが効いたボールがミットに突き刺さる様が、見ていてあまりに気持ちいいのです。
ファストボール中心で三振を奪っている登板映像。とにかく一度でいいからこのファストボールを観てください
そして彼は変化球の評価も高く、スライダー、カーブ、チェンジアップが平均以上の評価を受けています。特にスライダーは縦に大きく曲がるタイプで、制球面を改善すればMLBでも三振を奪えそうなボールとなっています。
Zuluetaはリリーバーとしてなら22年中にもMLBへ昇格してくる可能性がありましたが、結局マイナーに留まったままでした。安易にブルペン要員として昇格させるより、スターターとして大きく育てたいというフロントの意向があると私は思っています。課題の制球面さえ改善されれば、Tiedemannと共にエース候補としての期待ができる、スケールが大きいピッチャーです。
いかがだったでしょうか。Tiedemannは2022年に2Aまで、Zuluetaは3Aまで昇格してきており、2023年中にMLBへ昇格してくるのがほぼ確実な状態となっています。現在のブルージェイズにおけるローテーションは4番手まで埋まっていて、5番手が固定されていない状態なので、Zuluetaに関してはSTのパフォーマンス次第で開幕からローテーション入りする可能性もあります。Tiedemannもスターターに故障者が出た場合、メジャーからお呼びがかかる可能性が高いでしょう。2人とも非常に高いポテンシャルを持ったピッチャーのため、覚えておいて損はない存在だと思います。
トップ画像はTwitterの@BlueJays(ブルージェイズ公式)より