Yasuhiro Matsumoto

京都で都市計画・都市デザインを学ぶ大学院生

Yasuhiro Matsumoto

京都で都市計画・都市デザインを学ぶ大学院生

マガジン

  • TOGETEN(都市はゲリラな展覧会)

    都市と一見関係ないように思ってしまうコトと都市が相まって生まれるランドスケープをみるのが好きだ。それは、なぜかアーティストが作り出す「作品」に近い気がする。また、それは同じ場所を訪れたとしても、時間や気温、そこにいる生き物や建っている建物などによって、変化していき、よくもわるくも更新・後退が繰り返されていく。これが、おそらく、まちの「ストーリー・物語」と言われるものである。私たちは旅をする際、アーティストの展覧会で作品を見て回り、写真を撮ったり、作者と話をし、思い出の品として作品を購入するように、そのまちのストーリーの断片を写真や土産品を使い、心の中に残していく。  そして、このnoteやZINEでは、Anhongが訪れ、見て聞いて感じたまちのストーリーを備忘録的に紹介する。この活動が、みなさんの都市やまちを捉え方を一つでも増やすことにつながれば幸いである。

最近の記事

迂回することと迷うことー不便益をそえてー

昨日、知人の代わりにKyoto experimentで、川上浩司先生のトークイベント「えーっとトーク③不便益とは?」に参加してきた。  以前から、『京大変人講座』や日立京大ラボの『BEYOND SMART LIFE』などの著書から川上先生の「不便益論」は、注目していた(まだ単著は拝読していないのでこれから開拓していきたい)。  今回は、今回の講演を聞いて最近のインプットを踏まえながら、私なりの不便益の解釈を殴り書きたい。 不便益とは迂回すること?? 最近読んだ著書の中で、早

    • 「人・ヒト・ひと論」から読み解くHITOの脱未来

       WIREDの最新号で「Regenerative City 未来の都市は、何を再生するのか」特集を読み、興奮が冷めない中、一旦冷静になり、本特集から私が感じたことを綴りたい。特に、本特集は、「東京の100年の大規模開発」が進む中、再開発を否定するのではなく、より良い開発とするために必要なことが何かが大きな問いとしてあった。 HITOを因数分解する「HITO=人・ヒト・ひと」 都市やまちにおいて最重要な要素の1つが「人」である。人は、当然ながらさまざまな形で都市やまちに介入し

      • モノとの出会い方・付き合い方ー消費の意味を問うてみるー

         今回、京都の3大学(京都大学、京都市立芸術大学、京都工芸繊維大学)共同の社会人向け人材育成プログラムの「Kyoto Creative Assemblage」のサマープログラムが7月9日と10日に2日間開催された。テーマは、「都市と地域の再生可能性」というテーマで、なんとも私の興味関心のド真ん中のテーマであった。  また、最近視聴しているポッドキャスト「敗者のつぶやき」のコーディネーターである山内裕先生、愛読しているトランスローカルマガジン「MOMENT」を出版しているRE:

        • テクノロジーの存在を問い直す-コンヴィヴィアリティのための道具論とともに

           今回、京都の3大学(京都大学、京都市立芸術大学、京都工芸繊維大学)共同の社会人向け人材育成プログラムの「Kyoto Creative Assemblage」のサマープログラムが7月9日と10日に2日間開催された。テーマは、「都市と地域の再生可能性」で、なんとも私の興味関心のド真ん中であった。  また、最近視聴しているポッドキャスト「敗者のつぶやき」のコーディネーターである山内裕先生、愛読しているトランスローカルマガジン「MOMENT」を出版しているRE:PUBLICさん、最

        迂回することと迷うことー不便益をそえてー

        マガジン

        • TOGETEN(都市はゲリラな展覧会)
          6本

        記事

          空間コンピューティングからみる都市空間の未来像ー150年越しのホワイトシティの到来ー

           私が専攻している都市計画や都市デザインは、広義に「空間」を計画し、デザインする学問分野である。そのため、空間と名につくものには、自然と嗅覚が働く。空間コンピューティングもその一つである。私が愛読しているWIREDでは、空間コンピューティングに対して以下の定義がされている。   そのため、空間を通して問題定義を行い、リサーチし、解決提案の一石を投じる都市計画や都市デザイン、また建築やまちづくりの人材は、これからの未来で、空間コンピューティグは避けられない事象の一つに違いない

          空間コンピューティングからみる都市空間の未来像ー150年越しのホワイトシティの到来ー

          バディモン5 望まれざる者の感想(6/1夜時点)

          2025年パリ五輪、リーグアンで活躍するパリ・サンジェルマン、第4回パリ万国博覧会で建設されたエッフェル塔、モナ・リザが展示されるルーヴル美術館、恋人が集って愛を誓った証であるセーヌ川の愛の南京錠…… 日本人が「パリ」と聞いて思い浮かべるのは、どれも「希望」に満ち溢れ、煌びやかに輝いている。 しかし、本映画で描かれる「パリ」は、私たちが普段思い描いているものとは別の素顔である。そこには、煌びやかな「希望」ではなく、絶望の中から脱することへの「切望」や行政の一声と一枚の紙切

          バディモン5 望まれざる者の感想(6/1夜時点)

          人間の本能を否定せず、矛盾の中を進むー「燃えるドレスを紡いで」を見てー

           今回は、初めて映画レビュー的なことをしてみようと思う。今回見た映画は、パリ・オートクチュールに参加する日本唯一のデザイナーYUIMA NAKASATO代表の中里唯馬のドキュメンタリーである。2023年1月に開催されたパリオートクチュールでの披露に至るまでの、ファッション業界が抱える矛盾との葛藤とその先に見出したファッションデザイナーとしての仮説を導くまでの過程を追った。  私は、この映画にファッション業界への「絶望」とファッションデザイナーとしての「作る行為」への微かな希

          人間の本能を否定せず、矛盾の中を進むー「燃えるドレスを紡いで」を見てー

          湖南エリア民ノスタルジック

          本日紹介するものはこちら宮島未奈さんの「成瀬は天下を取りに行く」「成瀬は信じた道をいく」の2冊。  この小説は、滋賀県大津市膳所ときめき坂エリア出身の成瀬あかりという一風変わった主人公が小学生から大学に進学するまでを周囲の同級生や大人、友人などの視点から描く作品である。この本の感想や口コミでは、「成瀬の生き方・価値観かっこいい!!」「こんな人がいてくれたらな〜」という声が多い。私もそう思った一人であり、胸が温かくなり、どこかハッとさせられるような成瀬に興味引かれる。  しか

          湖南エリア民ノスタルジック

          TOGETEN #5 健康と台北①(Healthy and Taipei①)

          場所を少し変え、台北の中でも、歴史的なまちなみが残り続けているといわれる迪化街(ディーホアジェ、旧名大稻埕)の話をしたい。  この地域は、台湾が日本統治下の時代に、日本本土へ台湾製の製品を輸出するための貿易港として発展した町であった。また、台北でも商業地の中心として一定期間栄えた中心地であった。しかし、1960年代の商業的中心の東側への移行を経て、旧市街となり、今でもその街並みはその歴史性が評価され、残り続けている。   そして、この地域で有名なのが「お茶」と「香辛料」。

          TOGETEN #5 健康と台北①(Healthy and Taipei①)

          TOGETEN#4 安心と台北②(Safeness and Taipei②)

           窓に着目したなら、次は入口にも目を向けてみよう、最初はそう思わなわなかった。しかし、この台湾視察を契機に仲良くなった方(Sさん)と話していると、台湾のエントランス事情について教えてくれた。  それは、多くの台湾の公共施設の入り口は、3つの入り口があるものが多いということだ。  確かに、郵便局、国立大学など、公共的な建物には、大きさが同じ入り口が3つ並列で並んでいることが確認できた。そして、その理由は、意外なもので、「お寺」だった。  台湾のお寺において、3つの入り口に

          TOGETEN#4 安心と台北②(Safeness and Taipei②)

          TOGETEN #3 安心と台北①(Safeness and Taipei)

          安心と台北  騎楼で暑さを遮り、バイクのエンジン音と排気ガスに飲まれながら、台北を歩く中、目に映ったのが、格子だらけの建物たち。どの建物にも、まるで檻のような格子がつけられている。それは、一般的な窓に限らず、トイレやお風呂にある小さな窓から、キッチンの換気扇の排気口にまで、いたる窓に取り付けてあった。 これは、鉄窓花(てっそうか)と呼ばれるものだそう。鉄窓花がつけられた理由は、第一に「防犯」であった。台北の住宅地では空き巣の被害が多く、ベランダの塀や屋上、下水管などあらゆる

          TOGETEN #3 安心と台北①(Safeness and Taipei)

          TOGETEN in Taipei #2 暑さと台北②(Hotness and Taipei)

          暑さと台北②  そして、台北に到着し、2つ目に感じたのは「バイク多い」であった。みなさんの中でも、台北にバイク文化が根付いていることを知っている人は多いかもしれない。ちなみに、日本のバイク保有率は、1台あたり12人(2019)。しかし、台湾は、1台当たり1.67人(2019)と一人1台、なんなら一人2台持っているのが当たり前の社会である。  私が撮った数々の写真の中にも、大量のバイクがいたるところに移り込んでいる。  しかし、それがなぜかと考えた人は少ないのではないか。

          TOGETEN in Taipei #2 暑さと台北②(Hotness and Taipei)

          TOGETEN in Taipei #1 暑さと台北①(Hotness and Taipei①)

          TOGETEN in TaipeiスタートですTOGETENの最初の舞台は、台北です。 台北のTOGETENでは、○○(都市と一見関わりが見えにくいもの)×台北でご紹介していきます。 暑さと台北 ① まず、台北に到着し、感じたのが「暑い」だ。台北は、6月になってすぐだが、30℃を超える猛暑日が続き、視察中も汗でクタクタで溶けそうだった。そして、台北視察の間、私が暑さから逃れるときに助けになったのが「騎楼(きろう)」である。  騎楼は、大き目な道路に面している建物の一階部分

          TOGETEN in Taipei #1 暑さと台北①(Hotness and Taipei①)

          TOGETEN(都市はゲリラな展覧会) を始めます We started TOGETEN.

          みなさん、こんにちは、Anhongです。今まで、大学学部生・大学院生(現役)で、都市・まちについて学ぶ中で、いろいろな都市・まちを歩いてきました。そして、この経験を忘れないようにも、またほかの人にも伝えられるようにも、文章として残したいなと思い、noteを始めます。 TOGETENとは名前は、いろいろ考えたのですが、「TOGETEN(都市はゲリラな展覧会)」です。 これからの予定これからは、まず、6月頭に1週間滞在した「台北」で感じたストーリーを紹介します。また、その後は

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