技能実習の闇は日本の闇
なるせゆうせい監督「縁の下のイミグレ」を見た。
「外国人労働者がテーマの社会派ブラックコメディ」との帯に惹かれて。
以下ネタバレの内容を多分に含みます。
主人公はとある国の貧しい地域で暮らす女性アイン。母国では稼ぎが期待できないからとジャパニーズドリームを求めて日本で技能実習生として働くことになる。ただし、監理団体を挟んだ今の会社で3ヶ月の賃金未払いが生じ、すがる思いである行政書士事務所を日本人の知人と一緒に尋ねた。
そこには今事実上の移民政策に対する大きな問題意識を持った行政書士の近藤がおり、アインの相談を親身に聞く一方で、より日本の政策に憤りを覚えることになる。
「今の技能実習制度は現代版の奴隷制度だ!」「この政策を推進した政党は実態を放置し過ぎだ!」
ごもっともである。
中でも本質を射抜いた一言。
「私たちは少しでも安い商品を見つけたらテンションが上がるだろ?企業は少しでも価格を抑えようと努力する。じゃあその努力とは何か?それは人件費の削減。安い商品は安い労働力からしか生産されない。彼らはその筆頭なんだよ」
私たちは外国人労働者から安さや便利さをしてもらっている。コンビニ弁当が24時間いつも店頭で買えるのは、工場の24時間シフトに外国人労働者が組み込まれているからこそである。安い服がいつでも手に入るのは、彼らが必死で働いてくれているおかげである。
日本はもはや彼ら無しでは機能しないところまで来ている。その割に、あまりにも彼らの存在とありがたさに気づけないでいる。普段の生活に外国人労働者の存在が十分認知されておらず、その分彼らの生活を想像することは難しいのかもしれない。
かく言う私もその1人だと思う。だからこそ、上記の指摘に私自身もはっとさせられたのだ。これだけ日々外国人労働者と接しているのに、である。
同時に、近藤は外国人労働者をめぐる一連の処遇問題について、「どうしていいのかわからん」とはっきり口にしている。その理由は、この日本が持つ闇が深すぎるからであると指摘している。先日アメリカのバイデン大統領が「日本人は移民が嫌いだ。だから問題をいくつも持っている」と指摘したと言う。政府はこの発言に対し「残念だ」とコメントをしたそうだが、ただそれは全く違うと言い切れるだろうか?日本社会の潜在意識として、やはりまだ外国人労働者を諸手をあげて歓迎している会社は一部にが限られるのではないか。
映画全体として、コンセプトがブラックコメディとはいえ、考えさせられる非常に根深い内容が多く含まれていた。
youtubeでは5/31まで自由に見ることができるそうなので、「外国人労働者 イミグレ」で検索‼️