私の好きな曲
偶然だけど、どれもyoutubeで聴ける曲ばかりだ。
第1位 Little girl blue
ぶっちぎり、ダントツの一位である。
私は高校一年のときが1970年だったんで、まさに60年代後半から70年代前半が青春だったけど、当時はピンク・フロイドやキング・クリムゾンやELPばかり聴いていて、ジャニスには何の興味もなかったな。映画の「ウッドストック」で見た程度だ。この曲は大人になってから初めて聴いたんだけど、まさにあの当時のことが懐かしく思い出される。たかだか4分弱の曲なのに充実している。出だしからして、あの時代を大きく包み込むような声だ。繰り返されるたびに感情が昂ぶる。特に三回目の繰り返し、これを聴かずして歌を聴いたというなかれだ。魂が震撼して畏怖を感じる。夜中に酒を飲みながら聴いているとヤバイ。
第2位 最後の四つの歌(リヒャルト・シュトラウス)
youtubeでは、アバド指揮、ルネ・フレミングが画像・音質ともに綺麗だ。フレミングはあまり評判がよくないようだけど、私は好きだな。スリムになってから別人みたいでカッコいい。四つのどの曲も素晴らしいけど、特に第四曲「Im Abendrot」の冒頭オケは突き抜けた美しさだ。それがフレミングの声と重なって繰り返されるところ、美しすぎる。ロマン主義の落日のようだ。カタカナではヒットしないけど、「renee flemming strauss」で検索するとヒットする。
第3位 Carington outside looking in
ナイマンの曲は他にも「MGV」という捨てがたい曲があるけど、どれか一曲となるとこれだな。でもyoutubeで「ナイマン」と検索しても出てこない。映画の主題曲だから「carington outside looking in」で検索するとヒットする。原曲は弦楽四重奏曲だけど、映画音楽の方はラストが編曲してあって、そこがいい。原曲の四重奏にはない盛り上げかたで、出だしから中盤にかけての押さえたような情熱に火がついて、天へ燃え上がっていくようなラストだ。
ところで「やが君」の第2シーズンが制作されないのは、極めてゆゆしい文化的損失と思うが、もし制作されたらラストはこんな感じの曲にしてもらいたいものだ。
第4位 陽はまた昇る(高橋優)
映画「桐島、部活やめるってよ」のラストに流れていた曲で、不覚にも泣けてきた。
私は邦画が嫌いだけど、それはセリフがクサいからだ。だけど、この映画は、そのクサいセリフを自主制作映画のセリフ練習として言わせてる。その自己言及的な批評性がシャレていて感心した。ブラスバンドの演奏するエルザも上手い使い方だ。で、最後にこの曲が流れる。まるでこの映画を反復するような曲だ。
「陽はまた昇る」とは、またなんという曲名だろう。あまりにも平凡でなんのヒネリもない。
その平凡な歌詞が冒頭ではなく、曲の終わり頃になってやっと出てくる。その出し方で、平凡な曲名が強烈な印象を与える。やはり、高橋優はただ者ではない。
第5位 Apres une lecture de dante(Avdeeva)
しばらく女性ピアニストのアブデーエワをチェックしていなかったけど、いつのまにかyoutubeのアップが増えている。もっと増えてほしい。
ベートーベンも聴いてみたい。なんせ「ワルトシュタイン」などという耳ダコの曲を、実に面白く演奏してくれる。
プロコフィエフも実に激しい演奏スタイルで、クラシックのピアノがこれほど熱く感じられたのは初めてだ。
タンホイザー序曲のピアノ版も捨てがたいけど、どれか一曲を選ぶとなると、やはりリストの「Apres une lecture de dante」だろう。天上から舞い降りてくるようなピアノの静謐な音が美しい。
ラストは強烈で、指の力が凄まじい。ジジイの心臓を鷲づかみしてくれる。横顔の風貌がリストになりきりという感じだ。女性ピアニストの中には豊満な胸を強調して色気で売る人もいるけど、私は苦手だな。やっぱり媚びのない凜とした美しさの方に魅力を感じる。
名古屋公演ではCDにサインを貰った。当日のアンコール曲は、リストの「波を渡る聖フランシス」だったが、これはエマールの演奏で知っていた曲なので感激した。ショパンもいいが、是非リストの全集を出してほしいものだ。
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