2024 MUSIC YEAR END LIST
Introduction
終わりますよ2024年も。年明けから年末までびっくりするような事が実際に立て続けに起きてしまう1年でしたね(これを書いているのが12月の中旬なのでまだまだ予断を許さないのですが)。現実に起きている事態のインパクトの方が強すぎて、フィクションが霞んでしまうほど。絶望するような事も起こる日々に、音楽を好きでい続けて良かった、と感じられる瞬間がある事実に感謝しつつ、自分のいる場所で出来ることをやる日々ではありました。そんな2024年のサウンドトラックとそれにまつわる思い出を今年もご紹介します。
*この曲順は例によって順位ではなく、プレイリストを通しで聴いた時の聴感上の並びです。
1. No Simulation - Tinashe
毎回イントロ的な1曲目を最初に持ってきがちですね。Tinasheは2012年のミックステープIn Case We Dieの浮遊感のあるトラックと切ない歌声が刺さり、2作目のReverieで目が離せない存在になりました。中でも"Slow"が大好きです。
気がつけば7作目(!)のアルバムQuantum Babyが今年リリース。夏には"Nasty"という楽曲がTicTokで全世界的に大バズりし、この夏の1曲になりました!良かった良かった苦節10余年…のはずなのですが、前述のように"Slow"のようなテイストが好きな自分には"Nasty"はTikTokヒット以上でも以下でもなく、これがTinasheの代表曲、とするのはもったいない気がします。好きなアーティストが売れないよりは売れるほうが良いんですが…複雑。最新アルバムから自分が一番ピンときた曲をセレクト。1月の久々の来日公演、どうしようかなぁ…ずっと悩んでます。
2. LIKE THAT - BABYMONSTER
昨年、自分の熱量が高かったXG的な位置に今年来たのはBABYMONSTER。2023年のデビュー曲"BATTER UP"は気になって音楽番組のパフォーマンスとかはチェックしていたのですが、年間ベストからは漏れてしまいました。続く"Stuck In The Middle"は自分にはちょっと小休止だったものの、満を持してのリリースな1stアルバムBABYMONS7ERに向けたシングル"SHEESH"でテンションが上がったところに投下されたのがこの"LIKE THAT"でした。クールさの中にもメンバー各人の個性が伝わってくる良曲だなと思いながら繰り返し聴きつつそこで興味も止まっていました。そんな停滞期が大きく変わる日が突然やってきます。8月18日(日)。SUMMER SONIC東京2日目のパフォーマンスです。
この日は本当は現場へ駆けつけるはずだったのですがチケット確保に失敗して行けず、急遽WOWOWオンラインで生中継を観ることに。当方IVE目当てではありましたが『一応ベビモンも観るか』くらいの軽い気持ちで観始めたら、『ん?これは…。出来るぞこの人達!』と完全にやられる結果になりました。特にメンバーのアヒョンさんの「いや私、7割くらいの力加減でやってますが何か?」という余裕の表情と「んー仕方がないからもう1割くらい余計に実力出してみますか〜」となった時の『マジか!』という驚き(アヒョンさんの気持ちの部分はこちらの勝手な想像です)!歌は上手い、ラップも出来る、ダンスもキレキレ、でもそのいずれも7割くらいの力の抜け感と時々爆発する8割を見たさに彼女に視線が釘付けになりました。スターというのはこういう人の事を言うんだなと。それもまだ8割しか見せていない(その8割もこっちの思い込みですけど)。
それから色々なアヒョンさん関連の動画を観ていますが、毎回驚かされるばかりです。11月に公開されたアヒョンさんをフィーチャーした[リムジンサービス]は速攻で200万再生を達成していますが、今何周目?というくらいの落ち着きと人生への向き合い方が垣間見られる良回なので、あと5倍は伸びて欲しいところです。彼女にはうっすらとBeyonce味も感じてます。K-POPから90~ゼロ年代米国産R&Bを想起させるアーティストや楽曲がどんどん生まれているのは興味深いです。プロデューサーさんの憧れがそうさせるのかな。
この"LIKE THAT"が元はCharlie Puthの曲だと後から知るのですが、人生で一度もプースさんに触れた事がないのでその価値が分からず…。原曲リンク貼っておきます。ラップパートはBABYMONSTER独自のものですが、それ以外はプースさんヴァージョンに結構忠実なカバーかと。
その後に出した"CLIK CLAK"も好き。"LIKE THAT"と正直かなり悩みました。リード曲の"DRIP"はやはりアヒョンさんの驚きのハイトーン3段活用が堪能できます。表情管理の巧さが毎回のチェックポイントです。
3. Girassóis - Silva(feat. Arthur Verocai)
今年はブラジル音楽比率が高くなりました。ディスクユニオンのラテン館のおすすめを聴くようにして意図的に幅を広げようと思ったのが功を奏し、SSW系を中心に好きな作品がありました。が、この曲はアレンジャーとして参加しているArthur Verocaiきっかけで出会いました。Arthur Verocaiはどうして知ったかというと、初星学園「光景」の管弦楽器アレンジです。うちの子供から教えてもらいました。
今年の邦楽で一番衝撃的な曲でした。作詞・作編曲が長谷川白紙なのでこのインパクトは当然と言えば当然ですが。意外な関係性で知る楽曲もあるもんです。
4. Death & Romance - Magdalena Bay
2023年のYear End Listにも"2 Wheel Drive"で登場、もはや常連さんのMagdalena Bayさん達です。今年は各音楽サイトでも年間ベストに入ってきていて、キャリア最大の躍進の年になったんじゃないでしょうか。MVの意味は相変わらず全く分かりません。アルバムImaginal Diskは今年一番の面白ジャケだと思います。貴方の脳へダイレクトスロットイン。
2025年に来日しないかなー。このアルバムのツアーが始まるのでもしかしたら可能性はありそうです。
5. Could You Help Me - Lucy Rose
初めて観たけど良いMVだなぁ。動いているLucy Roseさんを年末このタイミングで初めて観るのもリスト作りの定番です。回すと絵が動いて見えるやつ、ゾートロープっていうそうですね。勉強になります。歌声とピアノとビート感。
6. Darling, I (feat. Teezo Touchdown) - Tyler, The Creator
今年の米ヒップホップを代表するアルバムの1つになりました、Tyler, The CreatorのCHROMAKOPIAからほっこりソング。先行シングルになった、ザンビアのロック・バンドThe Ngozi family and Paul Ngozizmからのサンプリング曲"Noid"と迷ったのですが、タイラーのアルバムと言えばこの手の曲が好きなので。自分のヴィジョンをしっかり持って独自の路線を行く、というのが今の米ヒップホップ・シーンでは正解な気がします。主催フェスCamp Frog Gnawもラインアップ面白くて最高でした。
7. Life - Louis Cole, Metropole Orkest & Jules Buckley
相変わらずイカれてるなー(もちろんいい意味で)。オーケストラとの作品が斬新でした。メトロポール・オーケストラはオランダのポップ&ジャズ・オーケストラだそう。全員ガイコツの衣装に身を包むと、オーケストラが何だかソンビ軍団のように見えてくるから不思議。来日公演を一度観たことがあるけど、ドラムが超絶上手かった。本作品でもその片鱗がうかがえます。
8. Girlfriend Is Better - girl in red
自分の2024年の記憶に残る出来事のかなり上位にランクインするのが、2001年以来23年ぶりのFuji Rock Festivalへの参加。観たアクトはいずれも良かったけど、深夜のホワイト・ステージのトリをキュートに盛り上げて好感度爆上がりだったのがこのgirl in red。良い曲群を安定して歌えるヴォーカル力、ステージからオーディエンスをちゃんと見ていて、最後は客席を二分して走り抜ける体力。観る人をごっそり取り込んでいってしまう魅力があるなと思いました。彼女をFujiで観ようと思ったのがTalking HeadsのStop Making Senseトリビュートに収録されたこの曲を聴いたから。『無理だと思うけど、演ってくんないかなー?』と淡い期待を持っていたのですが、なんと!やってくれませんでした。オリジナル曲沢山あるんだし、当たり前ですね…。「カバーはオリジナルを越えられない」というのが通説?ですが、このヴァージョンは結構上手く行ってる方だと思います。Stop Making Senseは4Kレストア上映もあり、2024年にIMAXで2回(そのうち1回はアトロク映画祭で初の池袋グランドシネマサンシャイン!)観られたのも嬉しい体験でした。
9. Holy, Holy - Geordie Greep
会社の歓迎会で1次会終わりにみんなでボーリングに来て調子に乗るほろ酔い新人サラリーマン風MVが楽しいです。これを見るまではアルバムTHE NEW SOUNDのアートワーク
のイメージしかありませんでした。曲調は全然違いますが、この曲ってDonald Fagenの"The Goodbye Look"っぽい印象があるんですよね…。
ぶっきらぼうな歌い方、ところどころに混じる明るい部分、若干のラテンテイスト、メロディーもちょっと似てたり。いやーこんなこと思ってるの自分だけかな。
10. Reaching Out - Beth Gibbons
今年のFuji2組目。この人のライヴを観るために23年ぶりの苗場行きを決意しました。Portisheadは自分の中で非常に大きな存在で、どうにかして行きたい!と画策していた1998年の来日公演も中止の一報が入った時には落胆したものです。今回の来日はPortisheadではありませんが、グループのカラーを特徴づける彼女の「声」を聴き逃したくないし、もしかしたらPortisheadの曲もパフォーマンスしてくれるかも?と期待しながら(こっちは期待を裏切られませんでした!)、グリーン・ステージの前から5列目くらいでかぶりついてました。当日は喉の調子が優れないのか1曲終わるごとに後ろを向いて水を飲んでましたが、オーディエンスの方に向き直れば振り絞られる声とスタンド上のマイクを握りしめる見慣れたスタイルから放たれる圧倒的な存在感!かと思えば、MCでは日本語で「あなた達は優しい」と何度も繰り返そうとするけど上手く発音できずに地団太を踏む彼女に『か、かわいい…』と萌えじゃくり、気がつけば嬉し泣きの拍手を送っておりました。普段ライヴでスマホ撮影はしないと決めているのですが、この時ほどその禁を破ろうかどうしようかと逡巡したことはありません。記憶なんてどんどん薄れていくものです。撮影しておけばよかった。この曲はその日のパフォーマンスのラスト曲でした。思い出込みで。たった1回の日本での演奏が彼女の記憶に良いものとして残ってくれたらいい、そう切に願います。ソロ公演での再来日希望、そしていつかPortisheadでの来日公演を熱望します。海外でPortisheadでライヴやるんだったら駆けつけてしまうかも。
この中にいられたことの幸運を胸に2024年は年を越したいと思います。
*ページのヘッダーの写真は開演前にステージを撮ったものです。スタート40分前で20人ぐらいしかお客さんいなくてかなり焦りました。
11. Ouroboros (Radio Edit) - Goat
スウェーデンのオルタナティヴ・バンドGoat。今年はSaultのリリースが無かったので、代わりとなる面白そうなグループを探して行きついた感じです。
アーティスト写真これですよ。わけわかんないでしょ?
ライヴも間違いなく面白そうです。
12. Mutations - Nilüfer Yanya
低い声の女性Vo.、音数の多いドラムパターン、ストリングス…自分の好きな要素しかないですね。今年のアルバムMy Method Actorはかなり高く評価され、年間ベストにも多数登場しています。
勝手にR&Bとかダンス系のアーティストだと思い込んでたら、こんなライヴ動画を見つけました。"UK guitar goddess"ですって!?確かにその佇まいあります。アルバムちゃんと聴いてみないと…。
13. 해야 (HEYA) - IVE
この機会にまた観入ってしまった…「太陽を愛した虎」という韓国の昔話をモチーフにした楽曲にMVの世界観がマッチしすぎています。IVEは去年"Kitsch"が自分のレギュレーション(CD1枚分の時間=80分以内に収める)の関係で年間リストから落としてしまったので、今年ようやく、という感じ。ヒップホップ(80sのマシン感とトラップ)、ジャングル、EDM、民族音楽等、複数のジャンルを上手く横断しながら1曲に集約させているなと。Apple Musicの空間オーディオを今年一番堪能できた1曲かも。IVEは前述のSUMMER SONICで生パフォーマンスが観られなかったのが悔やまれますが、配信でも彼女達のライヴの実力は十分伝わってきましたし、K-POPは単コンよりこういうフェスで凝縮して観られる方が自分には合っていると思いました。バンドセットで挑んだ夏のLollapalooza出演で最後に安堵したのかリズさんが見せた涙はとても感動的でしたが、自分的には太い声でお客さんを煽るウォニョンさんが観られたのがハイライトでした。そしてアン・ユジンさん。エースの貫禄。子供と一緒に推せるガールズ・グループです。
14. Black Sand - Glass Beams
こちらもFujiでの目撃勢。昼間の満員のRED MARQUEEで恍惚とさせるギターとリズムの洪水に終始やられました。金の仮面を被った男たち3人がステージで一言も発さず、淡々とインスト楽曲を演奏し(多少のコーラスはあり)、盛り上げるだけ盛り上げて去っていく。潔すぎます。繰り返して落として上げて爆発させる曲調にちょっとEDMっぽさも感じました。ライヴ前に急に激しく雨が降り出し、Fujiの会場の中で数少ない屋根のあるRED MARQUEEに集まった人達が「雨にも濡れないし、Glass Beamsは観られるし、俺たち勝ち組!」とばかりに大きな歓声をあげたのが印象に残ってます。
15. Basquiat Energy - LL COOL J
本来ここにはヒップホップの別のアーティストの曲を入れていたのですが、悩んで入れ替えました。自分と同じ年に生まれ、約40年間のキャリアで浮き沈みはあれどヒップホップを体現し続けてきたベテランがQ-TIP(A Tribe Called Questのロックの殿堂入りおめでとうございます)とがっぷり四つに組んで改めて無骨なヒップホップ・アルバムを作った。これは支持せざるを得ません。特に話題になるネタはなく、本人が地道に色んな媒体でプロモーション&パフォーマンスしていたのもなんか良かったし、LL COOL Jの人柄の良さ、ヒップホップへの真摯な姿勢のバックストーリーがどんどん出てくるのも信頼できました。Nas、Busta Rhymes、RICK ROSS、Fat Joe、Eminem、Snoop Doggといった実力者にSaweetieのような新しいアーティストとも組んで、ここ何作かの中で最高の評価を得ているのも嬉しいです。プロデューサーQ-TIPの元気な声も聞けるこの曲を選びました。
16. NEW WOMAN feat. Rosalía - LISA
Rosalíaファンなので今年のこの曲は外せません。監督Dave Meyersの名前を久々に見ました。集合体恐怖症の方は視聴にご注意を。タイ出身、韓国発のシンガーとスペインのシンガーがコラボした曲がヒットする。楽しい時代です。"New Woman"はNeneh Cherry "Baffalo Stance"を下敷きにしてると思うのですが、どうでしょうか?ビートというかスネアが同じ。
"Baffalo Stance"が色褪せない名曲であることが図らずも判明します。今でも十分通用するカッコよさ。Wild BunchとつるんでBomb The BassがRock This Placeだったら無敵です。すみません、"Baffalo Stance"の魅力を語る場じゃなかったですね。
17. Juna - Clairo
この人も一筋縄にはいかないポップ職人ですね。MV観てもこの曲については何も分かりません。Jimmy Fallonの番組でのパフォーマンスも良かったです。歌い終えてヘッドフォンを外すところで観ているこっちの緊張も解けます。
18. Aurora (feat. Alberto Continentino & Luka MIlanovic) - Antonio Loureiro
ブラジルはミナス・ジェライス州出身のミュージシャン。とにかく気持ちのいい曲。ブラジルの現行のこういうサウンドを2025年はもっと聴きたいです。
19. DENIAL IS A RIVER - Doechii
この曲が今年のリストへの最後の追加曲でした。アルバムは流し聴きはしていて好きな曲は何曲かあったものの、1曲選ぶまでには至ってませんでした。このThe Late Show with Stephen Colbertでのパフォーマンスを観るまでは。『とんでもない才能だ!』と思ったら数日後にはTiny Desk Concertですよ!自分がよく分かっていて、やりたいことがはっきりしている人、という印象です。
ラップ上手い、歌もいける、パフォーマンスもバッチリ、しかもお洒落〜。2025年はもっと大きくなるんじゃないかと。こちらも是非是非来日希望です。
20. Over The Rainbow - Charlotte Day Wilson
Charlotte Day Wilsonは2021年の年間リストに"Take Care of You"を選んでから二度目の登場。今年はアルバムCyan Blueをリリースし、来日もしてくれました。楽曲的にはこの「虹の彼方に」のカバーが一番好きだったのでチョイス。来日公演ではこの曲はやってません。残念。
自分の来日公演の感想はこんな感じでした。Beth Gibbonsでの反省から今度はライヴで撮影しました。
21. luther - Kendrick Lamar & SZA
Kendrick Lamar、ずっと熱をあげてきたアーティストですが、今年は正直にいうと彼に幻滅してしまった1年でした。Drakeレベルのアーティストと同じリングで戦う必要はあったのかと。DrakeよりKendrickの方がヒップホップ・アーティストのスキルで何倍も優れていることは既に多くの人が認めるところです。家族のことを言われて腹が立ったのも理解できますし、言われっぱなしで反撃しないと弱く見えるのも分かるのですが、「お前の母ちゃんデベソ」レベルの喧嘩をしかも奥さんや子供をネタ的に巻き込んで(これもDrakeが先に仕掛けたとはいえ)やるなんて…どんなに1バースに複数の意味を織り込むリリシストだろうと呆れました。折しもタイミングとしてはイスラエルのガザ侵攻に対して抗議デモを行ったアメリカの大学生を警察が多数逮捕する最中、小さなサークルでKendrickとDrakeが低レベルなジャブの応酬に明け暮れる様を見て、気持ちがスーッと離れていく音が聞こえました。が、それを再度戻してくれたのもヒップホップ、Macklemoreの"HIND'S HALL"でした。やらなきゃいけないの、これだったでしょ?ガザ侵攻への反対を明確に宣言はできなくても、警察は自国の若者に手を出すな、は言えたはず。Macklemoreでさえも"F**k The Police"が言えるんですよ!
確かに自分を含むファンが彼に過大に期待したり神のように崇め奉って背負わせた結果が前作アルバムMr. Morale & The Big Steppersだったわけで、それはファンとしても反省なのですが、そこから脱するきっかけがDrakeとのビーフで、それを加速させたような内容が収録されたアルバムGNXに対しては、内容は良いと思うもののどうも賞賛の拍手を送れない自分がいます。Kendrickは「自分にはヒップホップを一段上に引き上げる使命がある、だから汚れ役も憎まれ役も引き受ける」と思ってるでしょうけども、"Not Like Us"がウケたからその路線で色んな方面に唾を飛ばして煽っているだけにしか見えなくて。キングなんだからもっとドンと構えていてほしい。自分が80年代から好きでい続けたヒップホップの頂上ってこういうものだったのかな…と再考せざるを得ない1年でした。この曲は自分の中でルーサー・ヴァンドロス再評価の機運が高まっていた時に聴けた曲でした。
22. Even If I Don't Know Where You Are(머무는 곳 그 어딜지 몰라도) - Park Kyung Hee (박경희)
毎年、リストに1曲はその年に観た映画関連で記憶に残った曲を入れるようにしているのですが、今年は夏に公開された韓国映画『密輸1970』で印象的に使われたパク・キョンヒさんの"Even If I Don't Know Where You Are"で決まりです。音楽は劇伴や監修含めてチャン・ギハさんがやっているそうです。映画自体も超面白くてオススメです。
韓国の昔のトロットなんですが、今の感覚で聴くと歌謡ロック的良い塩梅ですね。和田アキ子さんの「見えない世界」を思い起こしました。
以上、選びも選んだり22曲でした。続けて各賞へ行きます。
【BEST ALBUM】
Lives Outgrown - Beth Gibbons
【BEST SONG & MUSIC VIDEO】
해야 (HEYA) - IVE
【BEST LIVE PERFORMANCE】
Beth Gibbons @ Fuji Rock Festival '24 GREEN STAGE (2024/7/27)
【Artist of The Year】
サブリナ・カーペンター
意外ですかね…自分は俳優のサブリナ・カーペンターが好きで、Netflix『トールガール』シリーズ、『Work It 輝けわたし!』や『ヘイト・ユー・ギブ』での演技が良かったので、今年のアーティストとしての成功はとても嬉しいです。キャラクターに音楽作品がぴったり合うと、こういうマジックが起こるんだなと。テイラー・スウィフトが耕してきた分野ではありますが、サブリナ・カーペンター特有の可笑しみが彼女のテイストとしてプラスされているのが楽しいです。MVでこれまたファンのジェナ・オルテガと共演なんて俺得でしかありません。歌だけでなくそろそろ演技も見たいのでよろしくお願いします。
【実は年間で一番聴いたアルバムで賞】
4study4work4inst Vol.1 - tripleS
K-POPガールズ・グループ、tripleSのインスト・アルバム。普段の音楽の聴き方として、その年のプレイリスト(2024年なら「2024」)を作り、そこに気になる作品をどんどん入れて行って、シャッフルで聴いて引っかかる曲があれば別のYear End List候補のプレイリストに移す流れなのですが、ここに収録されている曲が毎回耳に引っかかるんです。シャッフルで流れてきて『お!良い曲!誰の曲だっけ?』→『なーんだtripleSのインストか…』を何度繰り返したことか!自分はもとからインスト好きでもあるので、K-POPがどんな音やリズムからどう作られているかを分解して知ることができたような錯覚になり、とても勉強になったのと同時に、タイトルの通り、BGMとして勉強やお仕事のお供にもなるという優れた作品でした。Vol.1とあるので定期的にリリースをお願いしたいです。
【ベスト・アートワーク賞】
Like Someone I Know: A Celebration Of Margo Guryan - Various Artists
【特別賞】
NewJeans or Jeanz?
とにかく5人全員が元気で活動して、また良い曲とパフォーマンスで驚かせたり楽しませたりしてほしい。願いはそれだけです。関係者の皆さん、頼みます!
Outro〜自分の雑感
以上、2024年のYear End List音楽編でした。年々音楽のセレクトが難しくなっていると感じます。ずっと大切にしたくなる、覚えているような楽曲を選びたいけど、「해야 (HEYA)」を2025年も聴き続けている自信が全くありません。それでも良いのかなと。2024年というスタンプを押した、その瞬間を切り取った記録として残していければ充分です。振り返ってまた会えたら会おうね、ぐらいの感覚。年が明ければすぐにサブスクに2025というプレイリストを作ってそこに曲をぶち込む日々が始まるわけですし。
そして皆さん結構「ベスト・アルバム20」みたいなランキングを作ってますが、自分は今年聴いたものをアルバム単位で20枚も挙げられないです…良い作品は通しで聴いて好きな曲をYear End Listプレイリストに入れておく、という聴き方がそうさせているのだと思います。自分の音楽の聴き方が完全に変わってしまったことを痛感します。
引き続きK-POP強し!な状況は変わらないのですが、K-POPで「MVでないと満足できない曲」というのが出てきました。どの曲が、とは言いませんが、MVを観て良い曲と思っても、音楽だけを繰り返しは聴けない曲があり、そのギャップがなかなか厳しいです。MVを先に観るからですかね。音楽だけだと迫力を感じられなかったり物足りなかったり。リピートに耐えうる曲はそう出てきませんね。
ジャンルで言えば、アメリカ以外のヒップホップにあまり良い曲を見つけられなかったです。もっとイギリスものとか聴いていた気がしますが…探索不足ですね。あとアフリカ勢も色々聴き込む前にひと段落してしまいました。ビートがどれも似てる、という自分の先入観が強すぎでしょうか。ブラジル音楽探訪は引き続き。韓国インディーズとかも良い作品があったので2025年も意識的に探そうと思います。
あとはライヴで観る、をできる限り増やしたいなと。近年轟音で耳がやられるケースが多かったのですが、先日のAmazonブラックフライデーでこちらの耳栓を手に入れまして、もう怖いものはありません(まだ試してないので多分)。今年のFuji Rockで完全に味を占めました。
というわけで、盛り盛りの2024年これにて終了〜。2025年も沢山の素晴らしい音楽と接して豊かな1年になりますように!