24/11/12 【感想】納税、のち、ヘラクレスメス
品田遊『納税、のち、ヘラクレスメス』を読みました。
ダ・ヴィンチ・恐山のHNでも知られる筆者によるエッセイ集です。
本書は筆者がnoteに連載している日記からセレクションしたもので、実は僕は前作を読んだ後に日記の方も一気読みしたので再読でした。それでも十分楽しめたのは論理展開や書きぶりそのものに魅力があるからでしょう。
そして本書には、同じくWeb日記を連鎖しているという古賀及子さんとの対談も収録されています。トークテーマは主に「日記論」とでも言うべきものなのですが、今の時代にWeb日記をやることについて語ってくれているのがとてもよかった。
(品田)ただ実際にあった事実を羅列すると、なんだか本当じゃないなって感じるんですよね。かっこよく書けたときに、よし、これが本当な気がする、これを今日としようって思う。その権利は自分にあるから。
という言葉には勇気をもらえたような気持ちがしましたね。
Web日記っていいですよねえ。日記なんてはるか昔からあるのに、「他人の日記を、その日にリアルタイムで読める」ってインターネットがなかった頃には考えられなかったことでした。
僕はもともと個人サイトの日記や個人ブログが好きでした。
元はミニブログとして始まったTwitterがネットの中心になっていくにつれて、個人ブログが持っていた日記の良さみたいなものがどんどん変わっていってしまったと思っています。
どうしてもTwitterって投稿者と切り離せるものが伸びるんですよね。より正確に言おうとすると、「投稿者と切り離せることで一気に拡散が可能になる」というか。
たとえば二次創作イラストなんかは「投稿者と切り離せるもの」の最たるものですよね。文字のツイートが話題になるときも、どこかのタイミングで「~って言う人がいるけど、~」といったように元のツイートから話題だけを切り離して言及されたあたりから一気に拡散が加速していると思います。
逆に僕は投稿者のパーソナリティーと密接に結びついたものが好きで、よく生活感が好きと言っているのはまさにそれなんですが、これが日記好きに繋がっています。
感想なんかでもTwitterで伸びるのってその人だけの感想というより「私の思ったことを代弁してくれた」と思わせるような"言語化"だったり大げさに褒めたりする評価だったりするんですが、個人的にはもっと主語が一人称単数のインターネットをやりたいと思っています。
(品田)同じラジオの感想でも人によってちがって、それが面白いのってその人のその人らしさが面白いということなんだろうなと思います。