21/09/02 【感想】メイドさんは食べるだけ(1-3巻)
東京オリンピックで嬉しかったことはたくさんありますが、挙げるとかなり上の方に「外国から来た記者がチョコモナカジャンボに感動してたこと」が入る気がします。
日本人選手の金メダルは世界中どこのオリンピックでも嬉しいものですが、外国から来た記者がチョコモナカジャンボやコンビニのおにぎりやに出会うのは日本開催ならではだなと。
今日紹介するマンガ「メイドさんは食べるだけ」にも、そんな「チョコモナカジャンボとの出会い」と同じ嬉しさが含まれています。
英国のお屋敷メイドのスズメはとある事情により、日本の一角にある小さなアパートで生活をすることに。たくさん心配事もありますが、日本の食べ物に興味津々なスズメは颯爽とアパートを飛び出して…!非日常なメイドさんがおくるほのぼの日常マンガスタート!
上記の公式あらすじの通り、イギリスのお屋敷メイドさんが日本の小さなアパートで生活するという話なのですが、このマンガを読んでて強く思うのが画に対する感覚が鋭いなということ。
食べ物マンガを読んでいると、読んだ印象として
・テーマとなる食べ物がまず先にあってそこにキャラクターが付いていったりストーリーが連想される食べ物主導型
・ストーリーが先にあってそこに食べ物が添えられるストーリー主導型
・キャラクターを描くための小道具や舞台装置として食べ物が使われるキャラクター主導型
のどれかに当てはまる作品が多いと思っています。
これは読みながら勝手に感じるしかない部分なのですが、読んだことがある中だと「孤独のグルメ」なんかは完全に食べ物主導型、「だがしかし」も食べ物主導型で作られてる感じがします。
「新米姉妹のふたりごはん」はストーリー主導型で作ってることが多い感じがします。「シンデレラガールズ After20」などのスピンオフ系はキャラクター主導型が多い。
一方この「メイドさんは食べるだけ」は、もちろん上記に当てはまる部分も少なからずあるのですが、それ以上に「画が主導している」感じがします。
方向性としてはキャラクター主導型に近いのですが、キャラクター主導型が最終的にキャラクターに収束して行くのに対してこの作品はキャラクターと食べ物の主従関係がなく、特定の空間でメイドさんが食べた時に画になるという瞬間を目指してそこから逆算して作られている印象を受けました。
(▲メイドさんが狭いアパートで、段ボール箱をテーブル代わりにレトルトカレーを食べるシーン。このシチュエーションだけでもう素晴らしい)
服が弾けたり背景が輝いたりド派手な演出があるわけでもない、それでも雄弁に情感を描き出すコマが各話にあって、それが大きな魅力になっています。
恐らく意識的に、各話に「引きの構図で背景を見せるコマ」があるのもイイ。「メイドがいると映える日本の日常風景」が毎度毎度ツボを突いてきます。
(▲雨の住宅街、濡れたアスファルトとメイドさん)
食べるものも全然特別なものではなくて、生活感のあるものばかり。それでいてイギリスから来た彼女には特別なものになるのです。
たい焼きにはじまり深夜のコンビニのフライドチキン、漬物、あんぱん、などなど…。今日時点でのPixivコミックの方での最新話なんて白湯ですからね。
(▲コンビニおにぎり)
普通のマンガだとキャラと背景がはっきり分かれているというか、キャラが引き立って見やすいようにキャラと背景でタッチが違っていたりキャラだけ書き込みが細かかったりするのですが、このマンガはキャラも背景も同じタッチで描かれていて「キャラも背景の一部」になっているのが個人的にとても好きです。
とにかく「メイドさんが日本の生活空間で何か食べているという景色」へのセンスがべらぼうによく、そしてそのセンスが素朴な味わいでそのまま描かれている良作です!
最後に!このマンガの「ツボ抑えてる〜ッ!!」って嬉しくなっちゃったポイントTOP3ッ!!
3位 アイスがセブンティーンアイス
2位 アパートの階段が金属でカンカンいう
1位 傘が透明なビニール傘
今イチオシのマンガです!!