22/08/08 【感想】Gのレコンギスタ(劇場版)

無料公開期間中に第1部~第3部までを視聴済みだった劇場版「Gのレコンギスタ」シリーズ、第4部と第5部を映画館で観ました。
(この記事には全編のネタバレがあります)

おもしろかった!
すごく性善説の信念があるストーリーだったと感じました。

特に第5部では「重力」の存在をすごく意識させられるのですが、実は全編通して色々なところに重力の意識があった作品だったのかもな…と思いました。
表面的には地球に近い場所での戦闘時にモビルスーツや艦船が地球に引っ張られる力として劇中に作用する重力ですが、エンディングまで見るとすべての人類にはどこに生まれ住んでいても地球に引かれていく本能のようなものが備わっていて、種族レベルで地球の重力に引かれているように見えました。

また上の性善説の話ともつながるのですが「人は誰かと一緒になりたい、わかり合いたいという性質を持っている」ということが暗黙的に前提とされた作劇になっていたと強く感じます。「人と人の間に重力があるのは自明なので証明不要」と言わんばかりに、あえて説明を省略しているような感じすらする。
前回は「この作品は『その場のノリ』が支配している」という主旨の感想を書いたのですが、「人に『誰かと一緒になりたい』という本能が強くある」という前提に基づく作劇が結果的に「その場のノリ」に見えていたのだろうと思います。

第4部を見た後、メガファウナに流れ着いた人が大体そのまま居着くのでメガファウナこたつ説を唱えていたのですが、これも今では人と人の重力、この映画なりの性善説から生まれたこたつだったのだと妙に納得しています。

最後まで見ると連作全体を通じた信念のようなものが伝わってきて今までの描写がつながるという非常に気持ちの良い体験ができたのですが、それはそうと「分かり合う結果は多いのに対話する過程は非常に少ない」という絶妙なバランスでしたね!?
ベルリとマスクがお互いの主張を叫び合うシーンなどに顕著なんですが、この二人、お互いの聞こえないところで叫んでるだけなので主張が平行線ですらない、主張がねじれの位置なんですよね。ベルリは「争いはよくない」でマスクは「権力者の血筋にあるベルリが武力も持つのはよくない」と話が噛み合わないまま会戦する。
一方で最後にベルリがクン・スーンとトラクタービームで会話したら平和的に解決できたように、対話さえできれば皆とても物わかりがいい。
「対話が非常にレアイベントだが、対話を発生させることさえできれば大体わかりあえる」という絶妙なバランスが独特な印象を与えていると思います。これも「ノリ」のイメージの一因かも。

メッセージ性みたいな部分以外だと、G-セルフが勇者専用装備みたいな扱いだったり主人公が別の星の王家の血筋だということが明らかになったり、先の方の町や遺跡に行くほど強力なモビルスーツが手に入ったり、全体的にファンタジーRPGっぽい感じが良かったですねぇ。
しかし改めて考えてみるとベルリは運行長官の息子かつトワサンガの元王家の血筋、アイーダはアメリア軍総監の娘かつトワサンガの元王家の血筋、クリムは大統領の息子で超エリート軍団なんですね…。

またキャラクターが非常に魅力的な作品だったと思います。特に女性キャラがみんな良かった。
僕はアイーダが登場人物で一番好きなんですが、ノレドやバララもめっちゃ好きです。男もクリム・ニックとかすげえいいキャラしてたなあ。