24/09/29 最近見たテレビ #11
2024年夏シーズンも終わりに近づき、次々と最終回が放送されるようになりました。結局今期は星屑テレパスの実写ドラマ版以外アニメばっかり見ていたのですが、いやぁ豊作でしたねえ…。まだ最後まで見ていないものも多いのですが、これも見たいものがたくさんあるがゆえ。
星屑テレパス (テレ東) (終)
額をつけるとテレパシーができる宇宙人が突如転校してくるという素っ頓狂な出だしから手作りロケット競技に取り組む部活モノへと見事な着地を決めていた本作ですが、終盤に差し掛かると宇宙人が突然湿度を高め始めスペースヤンデレの素質を見せ始めます。
そして最終回では再びセンス・オブ・ワンダーが流れ込みラジオを通じて宇宙ロマンに接続することになるのですが、この一連の着地からの再ジャンプが本作の最大の特長ではないでしょうか。
この間ずっと舞台は地球の日本の一都市であり続けるというのが実写化において独特の味わいを出していて、小さな都市の学校にいながらにして部活でロケットを飛ばしていた仲間とラジオを通じて宇宙につながるという地続きの感じが良かったです。僕はこの原作漫画もアニメも見ていないので想像でしかないのですが、この地続きさから湧出するロマンは実写化によって発生した味なのではないでしょうか!
小市民シリーズ (テレ朝) (終)
贅沢なアニメ化でしたね~!
とにかく画がきれい! 推理するたびに背景に岐阜の美しい風景が書き下ろされます。岐阜推理風景における立ち位置によってその場の人たちの力関係みたいなものが表現されていたり、すごく面白いことをやっています。とにかく視聴者の目を退屈させないようにしているな、ということを感じました。推理シーンって同じ場所でずっと喋ることになるんですけど、そんなときでも画面が固定されてしまわないようにする。最初はサザエさんのOPみたいだと思ったのですが、見てるとだんだんクセになってきました。とにかく美術表現にこだわりの強い作品でしたねえ。
原作小説をアニメ化するにあたって「この作品をどのように見せるか」というアプローチが普通だと思うんですが、このアニメは「この作品を使ってどのような"見せ"ができるか」というところに踏み込んでいたように感じます。方向性としてはイメージビデオとかMVとかみたいな。
僕は原作を既に読んでいたので、あの原作を使った映像表現として楽しめました。
…とかなんとか言いましたけど、やっぱり本作は小佐内さん。かわいいというのはもちろん、機能面でも八面六臂の活躍で小市民シリーズという作品をオンリーワンなものにしている稀代の名ヒロインです。
『巴里マカロンの謎』のネタバレ感想でも書きましたけど、小佐内さんというキャラクターってエピソード毎に関わり方が一定しないので「小佐内さんはどの立ち位置で何をしているのか」という興味が生まれるんですよね。小市民シリーズという作品群はこのシステムが確立された夏期からが本番だと思っています。
そしてアニメの小佐内さんのまあ可愛いこと! このアニメ、小佐内さんに対してマジで本気。本気の声優さん選びをして、アニメの公式アカウントは「#おさかわ」というハッシュタグを作り、週ナカはずっと直近放送回の小佐内さんの切り抜きを投稿している。私服もバリエーション豊か、グッズ展開も豊富。小市民シリーズは、小佐内さんに本気!
最初期から思っていました。
「この作品は、小佐内さんを売り抜けようとしている」。
小佐内さんというキャラクターの株価は、非常に激しく変動します。そんな彼女に、このアニメはめちゃくちゃ"投機"している。原作を知っていると面白いったらない。でも、これってすごく正しいんですよ! 小佐内さんに振り回されかき乱されるのが小市民シリーズの楽しみ方なので。乗るしかない、小佐内さんというビッグウェーブに。
大変満喫させてもらいました。ごちそうさまでした。…と思っていたらなんと秋と冬も来春アニメ化だそうで! スッゲー!!
負けヒロインが多すぎる! (MX) (終)
いやぁ、良い作品でしたね…。いまんとこ今期ナンバーワン。
脚本よし作画よし構成よし演技よし…全科目90点以上って感じで、その基礎にのせて遊び心も満載。極めて完成度の高い作品でした。
地力が非常に高い青春モノとして優等生な作品なのですが、その脚本に並々ならぬ「負けヒロイン」への思い入れが執念めいて込められているのには感服しきりでした。
11話で佳樹にもあれだけお手本のような負けヒロインムーブをさせるの、ほんと手抜かりが一切なくてすごいよ。
自分が最終的にどのキャラが一番刺さったか考えてるんですが、難しいな…途中まで八奈見さんだったんですけど、なんか見てる僕の中でも八奈見さんは途中から八奈見枠にいった気がする。ちゃんと勝負したところとその後の11話の収束の美しさ、YUIのカバーの良さまで含めて小鞠もかなり好き。あと佳樹・朝雲さんあたりのヤバい人たちも好き…あれ、ほんとに迷うなこれ!
閑話休題、「負けヒロイン」というものについてすごく蒙を啓いてくれる作品でしたね。僕はこのアニメの1話を見て「そういえば学マスにも青髪で幼馴染を寝取られてる奴がいるな」と遅ればせながら気づきました。美鈴ってあんなにも負けヒロインの形をしていたんだ。
「妹は生まれながらにして負けヒロインである」なんて言説がこれだけ盛り上がるのもすごいことですよ。言われてみると今期はロシデレの妹も負けてるな…義妹生活の妹にがんばってもらうしかない。この2作品はまだ最後まで見てないので詳しくは見てから。