22/12/21 A's happy with... #54
今年102敗の球団記録を残したオークランド・アスレチックスはMLB全体で勝率下から2番目、例年であればドラフトで2番目に指名ができる…はずだったのですが。今年から導入された新制度、ざっくり言うと「1巡目の指名順はクジで決める、勝率が低い方が良い順を引きやすくなる」という制度によってクジ勝負をした結果、無事指名順6位に下がりました。野球のみならずクジまで弱いアスレチックスの観戦日記です。
途中まで書いた状態で放置しちゃってたらその後色々なことが起こりすぎてどうしたらいいのやらって感じです。とりあえず途中までです。
トレードでChad Smith(RP)獲得
ロッキーズからトレードで27歳の中継ぎ右腕Chad Smithを獲得しました。150km/h台中盤の高速シンカーを武器に持つも制球に課題を残す投手です。
代わりに送ったのは2020年のドラ2投手Jeff Criswell。
第一印象としては「獲得するのはいいけど、それにCriswellを出すのはやりすぎじゃない?」という感じ。
2022年もJimenezやJackson、Mollなど埋もれていた投手をリリーバーとして開花させることに成功しある程度の手ごたえを覚えているだろうとは思えるところで、次に目を付けたのがこのSmithなのかしらと期待するところ。
特に、僕は個人的に「中継ぎはシーズン中のトレード売却が容易なので中継ぎクジを回すのは再建期のサイドビジネスとしてオイシイ」と考えており、クジ券集めのムーブは支持したいです。
一方でCriswellは超順調とは言えないながらもドラ2で指名される素質を保っており先発候補として育てられていたところ。直感的にもトレードバリューの評価ツールなどを見ても、このトレードで出すにはもったいない選手に見えます。
選手枠がスカスカなことを利用して40人枠を占有しないCriswellを送り、40人枠にいるSmithを引き受けるトレード…に見えるのですが、その割にあまり足元を見ていないトレードという印象です。純粋にCriswellよりSmithの方が良い/合う/好ましいと判断したのでしょう。
…あと、今調べてみたらロッキーズのAAAアルバカーキはチーム防御率6.89という大魔境で、Zach Nealという懐かしい名前が116.2回投げて92失点してたりするんですね。そこで人間性を保った成績を残しているSmithはもしかしたらすごいのかもしれません。
同じChadの名を持つかつてのBradfordのような掘り出し物になることを期待。
ルール5ドラフトでRyan Noda(1B/OF)獲得
ルール5ドラフトでドジャースのAAAからRyan Nodaを獲得しました。ライアン野田って書くと芸人みたいですね。何の話?
左打ちの一塁手兼外野手で、A'sはこの選手をずっと狙っていたそうです。ドジャースのAAAオクラホマで今年、打率.259ながらHR25本を打ち出塁率.396を記録、加えて20盗塁してたり守備もよかったりするそうな。ただしこのオクラホマは超打高リーグでおなじみのパシフィック・コースト・リーグであることには注意が必要。
2022年、A'sの1Bは.216/.279/.372でOPS.651、平均的な1Bの4分の3程度。一塁手のハードルはあまりにも低くなっています。
1Bとして最も多く出場したのはBrownなのですが、Brownは1Bとして出てるときはOPS.696、外野として出てるときはOPS.784です。CFを抜いて両翼だけに絞るとOPS.817。Brownが外野で出られた頃は1BにBethancourtがいて諸々まだマシだった等々外部要因が大きく単純に比較できるものではないのですが、Brownを両翼で使える方が色々と好ましく感じられます。
Nodaは左打ちなので右打ちのDermis Garcíaとのプラトーン成立をまずは期待かな。
Jace Peterson(UT)と2年契約
FAになっていた左打ちのユーティリティーPetersonと2年契約を結びました。
来年33歳になるPetersonは9年間のメジャーキャリアでシーズン打率.250を超えたのは一度だけ。この間捕手を除く全ポジション――投手すら含む――でプレイしています。
ここ2年間は2B/3Bでの出場が主で、OAKで期待される役割もまずはそこになるでしょうか。特に2022年にレギュラー格で出場していた3Bでは高い守備力を発揮しており、そこが特にスカスカだったOAKにはちょうど良い補強だと思います。
抜群の打力を持つわけではない彼の武器はユーティリティー性に加えて選球眼の良さ。遅咲きにして返り咲きのキャリアと併せて、食いっぱぐれにくいA's好みの補強だったと思います。
Aledmys Diaz(UT)と2年契約
元HOUのユーティリティープレイヤーAledmys Diazと2年契約しました。
25歳だった2016年にSTLのSSとしてレギュラーを与えられるとAS出場・新人王投票でも5位に入る活躍を見せ、その後HOUでは内野のユーティリティーとなり、今年は6ポジションで出場し最も多く出たのはLF。一応得意なのは2B/3Bということになるのでしょうか?
強豪球団HOUに何年もいたこともあってかなり馴染みのある選手です。
ここ2年間はともに300打席以上立ってOPS+が95程度と安定、いわゆる「強豪チームのサブ、弱小チームのレギュラー」という選手。そしてこういう選手を使い込んで価値を引き出すのはA's得意のムーブでもあり。
Diazは来年32歳の右打者です。来季もレギュラー格でチームに残っているKemp、Brown、そして先述のPetersonやNodaはみんな左打者ということで、右打ちのPinderやMurphyが抜けた打線のバランスを取ってくれるといいですね。Petersonにも言えることですが、最悪レギュラーとして機能しなかったり他に使いたい若手が出てきたときにユーティリティーとして使ったりポジションを移したりとフレキシブルな起用ができるのが明日をもしれぬこのチームにとっては非常に噛み合う補強じゃあないかと思います。