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息継ぎ

塩素の匂いがどこか重くて、
排水溝に流れる髪の毛をただ見つめていた。
泳ぐのが本当に好きだったのか、曖昧なままだ。

平泳ぎはいつもうまくいかなくて、
それならいっそ、蹴伸びで距離を稼ごうとした。
15メートル進めば、少しは前に進んでいるはずだった。

でも、何が大事なんだろう?
きれいに泳ぐことよりも、
ただ25メートルを泳ぎ切れれば、それでいいのかもしれないって。
いつの間にか、そう思うようになっていた。

潜水は静かで、
息が続かなくなったら浮かび上がればいい。
遅いけれど、まあこれでも進んでる。
そう自分に言い聞かせて。

けれど、平泳ぎはどうしてこんなに複雑なんだろう。
手も足も、息さえも、うまく合わせられない。
そんなふうに、何かに合わせ続けるのが正しいのか、
ふと考えてしまう。

クロールはシンプルだ。
水を切り、速く進める。
だけど、なぜかどんどん力が奪われていく。
こんなふうに進むことが、本当に正しいのかはわからない。

何が正解なのか、
自分が選んだ方法が正しいのか、
それすらよくわからなくて、
ただ、25メートル先のゴールを目指しているだけなんだ。
今日も、ぼんやりと水に身を任せながら。

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