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愚かさと、赦すこと

話題になっている『Don't Look Up』という映画を見た。

登場人物の誰もがどこか愚かで、大小さまざまに罪を犯す。それらは許されたり許されなかったりするのだが、とある罪の告白を許した人の表情がやけに印象に残った。

一瞬の驚きのあとに、安堵と諦念の入り混じったような顔。一息おいて、精一杯の作り笑いとハグ。人が人を赦すときの、きっとほぼすべて。
自分はあの人物のように人を赦せているだろうか。そう思いを馳せずにいられなかった、あの繊細な面持ち。

告白と懺悔のあとコンマ数秒の、相手も自分も罪を犯し、そのくせそれに抵抗を覚える愚かな人間であることへの安堵と諦念。その過程をきちんと経ないで咄嗟の作り笑いばかり上手くなった俺は、自分を、相手を、赦しているとは言えないのかもしれない。

もちろん『Don't Look Up』という物語のクライマックスを見れば、その「赦し」が果たして大きな意味を持ったのかは「観た人個々人の解釈に委ねられている」としか言いようがないのだけれど。(430文字、1時間45分)

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坪井遥
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