Tableauで「中小企業景況調査」を表示してみる
はじめに
中小機構のサイトに中小企業景況調査なる調査資料が公開されています。今回は中小企業景況調査をTableauでグラフ化しました。
中小企業景況調査とは
サイトの説明そのままですが、中小企業の経営者に景況感をヒアリングして、前年同期比、もしくは前年比で「好転」したか「悪化」したかを集計した調査になります。
中小企業を対象に、業況判断・売上高・経常利益等のDI値※を、四半期毎に産業別・地域別等に算出する景気動向調査です。経営者へのヒアリングをベースに算出しています。約80%を小規模企業が占める日本の中小企業構造の実態を踏まえた唯一の調査です。
中小機構 - 中小企業景況調査より
サンプル数は、業種、地域、時期によっても異なりますが、近年の関東地域で5000弱の企業が回答しています。惜しむらくは、Tableauで分析しやすい時系列データには都道府県の情報が含まれていないため、地域(北海道、東北、関東、中部、、、など)の括りでしか分類できません。PDFのレポートには都道府県の情報も入っているので、できれば都道府県別でデータが欲しいところです。
今回作成したViz
Vizの概要
あまり凝ったことはせず、業種ごとのDI(ディフュージョン・インデックス。前年同期比または前期比で、「好転」と回答した企業比率から「悪化」と回答した企業比率を引いた数値。)を折れ線グラフで表示しただけとなります。中小機構のサイトのPDFにも同じグラフが掲載されているのでわざわざVizにする必要があるのかと言われそうですが、、、
Vizには表れていませんが、サイト上の時系列ファイル(Excelファイル)をユニオンという機能で一括で結合でし、かつ業種毎に色分けできるようピボットという機能で横持ちデータを縦持ちデータに変換する地味な作業をしています。
雑感
Vizにしてまず目を引くのは今年度の第1四半期(4月〜6月)、まさにコロナ禍で緊急事態宣言がなされた時期ですので、軒並み各業種の景況感が悪化しているのが分かります。特にサービス業の業況判断が「-73.3」ということで、約9割近い中小企業で景況感が悪化しています。また、2009年のリーマンショック時や2011年の東日本大震災の時との比較でも景況感が悪化したと答えた企業数が多いことから、コロナ禍で影響を受けた企業が広範囲であったのではと想像できます。
ただ、その後の第2四半期(7月〜9月)では「-32.6」まで戻ってきており、少しずつ元に戻りつつあるのかなと思います。
中小企業景況調査は、あくまで企業経営者の感じた景況感ですので、他の統計、例えば経済産業省の生産動態統計で出荷額や売上と比較してみると、経営者の景況感は、どういう数値に影響を受けていそうかが分かるかもしれません。そのあたりは、今後またTableauのVizにしてみたいと思います。
あとは、中小企業景況調査は四半期に一回更新される割と頻度の高い調査ですので、ExcelではなくAPIでデータが取得できるようになると、自動更新できて嬉しいなあと思います。