敬老の日

暑さ寒さも彼岸までと言うが、ずっと蒸し暑い猛暑日が続いている。
彼岸入り直前まで暑さにやられっぱなしだった。
来週からは段々涼しくなるというが、7、8月がずっと暑かったので、この9月は乗り切るのがキツかった。

先週は敬老の日だったので、実家に帰っていた。
パーキンソン病の父親と、目下介護中の母親に会うためである。
父親はほとんど一日中寝ていて、耳は遠いし、認知も進んでいる為、意思疎通が難しい。帰った時は鼻毛が伸びて、バカボンのパパみたいになっていた。

翌日は親戚も訪ねて来てくれたので、父はえらく元気だった。
自分で目薬を入れたかと思えば、鼻毛を自分で切り出した。
パーキンソンは手が震える症状があるので、最初は鼻の穴にハサミを(先が丸い安全なハサミです)うまく入れることが出来なかったが、なんと自分で切っていた。
私は父がよく使っていた鼻毛カッターを思い出し、父に見せてみると、なんと自分でジョリジョリと軽快な音を立てながら使い出した。
鼻毛もその辺に散らばっていて汚いが、介護は汚い事だらけなので鼻毛くらい気にならなくなって来た。

鼻毛を切った父は、呼吸が楽になったと大喜びしていた。
父親は熱狂的な阪神ファンだったが、ぼけてしまったので、昨年の優勝もピンときていないみたいだった。鼻毛を切った事の方が余程嬉しそうだ。
阪神も鼻毛以下の存在になってしまったと思うと哀しい・・・

阪神タイガースは、1985年の日本一から、2003年の優勝まで、長い間成績が低迷し、暗黒時代と言われていた。
(2005年の優勝からも2023年まで長い事優勝から遠ざかってましたね)
低迷期も父はずっと阪神を応援し続けていた。
確か15連敗した時もあった。父は毎日ずっと不機嫌だった。
パーキンソン病は真面目な人がなり易いという説を聞いた事があるが、こんな弱いチームを応援して相当ストレスが溜まって病気になったんちゃいますかと思ったりする。

「今日 阪神勝ったん?負けたん?」と父によく質問していたのだが、ある日、父は急に、
「勝ったとか負けたとか、いちいちそうやって聞くの辞めてくれるか」と真剣に言ってきた。
何でも、負けた時は何も聞かないで欲しいらしく、勝った時は何度でも聞いて欲しいと要望してきたのだ。
しかし家族からは、そんな面倒臭い事出来ないと受け入れられなかったのだった・・・
そんな事をふと思い出したのだった。

今月も無事に実家で過ごせて良かった。
先日、「長生きしてね」と言ってみたら、
「長生きするのは大変なんや」と神妙な顔で言ってきたので笑ってしまった。暫くは過ごし易い季節なので、気持ちよく過ごしてくれる事を願う。

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