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《やしゅがたり。》失意からのエキジット、未知へのダイブ。

 『新しい挑戦』
 それはいつでも心をワクワクさせるものだ。

 それと同時に、踏み出すには勇気のいるものでもある。

 きっと皆、来たるべき時が来れば、必ず踏み出すことになるのだろう。
 私にとってのそのタイミングは、一昨年。
 『本厄』と呼ばれる年。

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 2023年。私は失意のどん底にいた。

 ずっと家族を見守ってくれた祖父の急逝。
 数日後に会う約束をしていたのに、何の前触れもなく祖父は突然旅立ってしまった。
 大好きで大切な人を急に失った傷は癒えることもなく、いつ、どこにいても涙が止まらなかった。

 仕事も苦しかった。
 会社で新しい挑戦をしていた私や同僚は邪魔者扱いされ、排除の流れが根強く出ていた。
 そして、一部の人間の悪意が目立っていた。
 一緒に働く人たちを平気で貶したり、いない所でネチネチと悪口を吐き続ける輩が幅を利かせ始めていた。
 あまりにも人を見下すような暴言の数々に、動悸と震えが止まらなくなる始末。
 見えない仕事は評価されず、私の存在は無駄だったと思わざるを得ない状況。

 この仕事、別に私じゃなくてもいいじゃん。
 代わりはどこにでもいる。
 それに、一緒に頑張る人たちを平気で貶めるような奴らと同じ空間にこれ以上居られない。
 何で人を蔑む奴らのために、自分の大切な身も時間も削ってきたんだろう。

 何でもっと大切な人のために時間を使わなかったんだろう。
 この時間があったらもっと実家に帰って、家族みんなで楽しく食事もできたのに。
 昔みたいに、家族みんなで笑いながら出かけることもできたのに。
 もっといっぱい、祖父に孝行したかった。
 もっといっぱい話したいこともあった。

 取り返しのつかない後悔も、理不尽に対する怒りも、すべてが混濁して襲いかかる。
 自分の感情がわからなくなり、一日中泣いて、怒って、最後は無になる──精神的に生きた心地のしない日々。

 これからどうして生きていこう。


 
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 そんな中、
 人生を大きく変える出会いが訪れた。

 私には縁のなかった世界への招待。

 その世界に対して恐怖やためらいもあった。
 でも、失意の底にいた私に、躊躇している時間はなかった。

 ここで変わらなきゃ、一生変われない。

 失意から、さよならしよう。
 そして、運命に導かれるまま飛び込もう。


 秋田・男鹿半島の『海の中』へ──



 ─続

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