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ショート百合小説《とうこねくと! ぷち》召し上がれ、東子さま!山盛りスクランブルエッグ

 みなさん、おはようございます。北郷恵理子です。
 
「ぐぅ……むにゃむにゃ……」
 
 私の隣で気持ちよさそうに眠っている奥さま──神波東子さまの付き人をしています。
 
 私は東子さまを起こさないようにこっそりとベッドから抜け出し、いそいそと着替えをします。
 そして、タンスの1番上にしまっているお気に入りのエプロンを着て、自分に気合を入れるように紐をギュッと締めます。
 
 さて、今日の朝ごはんは何を作りましょうか。
 
「ん〜……むにゃむにゃ……」

 ベッドの中で、東子さまが寝返りを打ってそっぽを向きます。
 東子さまにはゆっくり休んでもらって、私は朝食の準備を始めるとしましょう。

 *
 
「ふわぁぁ……。おはよう、恵理子ちゃん」
 少し眠そうに、東子さまが起きてきました。
 
「おはようございます、東子さま」
 私は居間のテーブルに朝ごはんを並べながらあいさつをします。
 
「あらっ、これ……!」
 
 テーブルのまんなかに置かれた大きな黄色い山を見て、東子さまは目を輝かせました。

 私が作ったのは、スクランブルエッグ。
 実家で飼っているニワトリの卵をたくさんもらったので、せっかくだから、と思い切ってたくさん作ってみました。
 
 そういえば今日5月22日は『たまご料理の日』だそうです。
 簡単に出来るたまご料理であるスクランブルエッグは、私もよく作りますし、東子さまも大好き。
 
「すごい! こんなに山盛り! 食べてもいいの!?」
「もちろんです! たくさん召し上がってくださいねっ」
「やったわー! ありがとう恵理子ちゃん!」
 
 取り分け用のレンゲを使って、黄色い山の山頂から攻めていく東子さま。
 たっぷりとお皿に盛りつけると、たっぷりのケチャップをかけ……
 
「いただきまーす♪」
 
 満面の笑みで手をあわせると、スプーンでかきこみ……
 
「ふわっふわ! 美味しいっ!」
 
 キラキラした笑顔でそんなこと言われたら、作った私も嬉しくなるじゃありませんか。
 
「えへへっ、よかったです」
 
 照れを抑えきれずに笑いながら、私もスクランブルエッグの山にレンゲをサクッと入れます。
 ふわふわのスクランブルエッグみたいに、ふわふわしたあたたかさが胸をじんわりさせました。

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