伝説のポケモンを借りパクされた僕がポケモンに向き直る

 友達にディアルガを借りパクされた小学生の僕がようやく我に返ってポケモンを再開した。

 ポケットモンスター、縮めてポケモン。僕は小学生の頃にダイヤモンドを遊んだのが最初で最後のポケモン本編だ。ポケモンのゲームはそこそこやってきたが、本編はまったく遊ばなかった。ポケモンレンジャーはバトナージと光の軌跡を持っているが、本編には触れなかった。ポケモンダッシュを本気で楽しんでいたが、本編はさっぱり。

 そもそもコマンドRPGが苦手だった。二ノ国という名作を買っておきながらクリアしていない。魔導書付きの豪華なやつを買っておきながら。どうして。経験値上げが苦手。自分がアクションしている感じがなくて苦手。戦略を考えるのが苦手。理由は色々ある。ドラクエもFFも触れたことない。ヤバこいつ。

 しかしダイヤモンドを遊びやめたのはとある凄惨な事件がきっかけである。ディアルガ・ファイヤー借りパク事件だ。

 僕はめちゃくちゃあいまいな自我だったので、友達が殿堂入りを目指しているから強いポケモンを貸してくれと頼んできたのを二つ返事で承諾した。僕が最強だと信じてやまないディアルガと、先輩からいただいたLv100(なんと唯一のLv100)のファイヤーが友達のソフトへ出向し、二度と戻ってこなかった。

 ディアルガはラスターカノン(名前がかっこいい)を覚えていた。ファイヤーはゴッドバード(名前がかっこいい)を覚えていた。どちらもめちゃくちゃ強かった。そんな二匹をいっぺんに失って、僕はポケモンを辞めた。ひたすら悲しかったが、自我があいまいなのですぐに気にしなくなった。ゲームは絶え間なく発売されるし、僕はそれらを遊んだり、それらの攻略情報を眺めて遊んだ気になったりするのに忙しかった。

 そんな僕をポケモンに引き戻したのは、ポケモンスリープとポケモン実況者である。ポケモンスリープは手元で育っていくポケモンたちのたのもしさ、愛おしさを教えてくれる。動画内で激戦を繰り広げるトレーナーとポケモンが手招きをしている。そしてようやく自我がはっきりとしだした。努力値のこともわかったし、性格補正もわかったし、何よりディアルガを貸す友人もいない。

 ゆっくりと進もうと思う。いまはとっても人生が混乱しているし、お金もないから時間が割けないけど、あまいミツを塗ってミツハニーを捕まえたから、あまいかおりを連打してみる。がくしゅうそうちが行方不明なので毎日くじを引かないといけない。ふしぎなアメひとつもないんかい。マスターボールもないが。でもデータ消したくないよ~、なんて悩んでいるだけでも成仏するような感覚がある。いま中古でダイパリメイク安いらしいんです。ちょっと出かけてきますね。

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