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僕らが選べなかったこと(映画『PERFECT DAYS』考察)

映画『PERFECT DAYS』を観た。 鑑賞後、おそらく人によってフォーカスする点がさまざまな作品だろうと感じ、実際に感想や考察を検索してみてもその通りだったので、自分の感想も書き残しておこうと考えた次第である。 あらすじは以下の通り(公式サイトより引用)。 あらすじの通り、前半は平山(主人公)の規則的でささやかな、それでいて日々の一瞬一瞬を愛でるような生活が淡々と描かれる。その生活の中で少しずつ時間を共有している隣人たちが彩りとなり、仕事へ向かう車内で流れる音楽が物語

    • はじめての馬券購入(2021年日本ダービー)

      昨日の日本ダービー(東京優駿)で、はじめて馬券を買ってみた。 競馬については、テイエムオペラオーが年間無敗(重賞8連勝、G15連勝)を達成した2000年ごろから、ディープインパクトが引退した2006年ごろまでの時期に特に熱心に見ていた。よって好きな馬もこの時期の馬が多い。 父はフランスまで見に行くほど競馬が好きなので、競馬を見始めたのは父の影響である。 最近になってまた真面目に競馬を見るようになった。昔好きだった馬の子や孫が走っていて楽しいのと、自分の周りにも競馬を好き

      • ありのままでは・・

        先日、小学生くらいの子供の相手をする用があった。ちなみに、私は(子供も含めて)年下が昔から苦手だ。 しばらく相手をしていると、その子がちょっとしたミスをして不機嫌になるということがあった。わざとらしく大きな音を立てたり、物を振り回したりし始めて、もともと子供嫌いなのも相まって勘弁してくれよという気持ちになっていた。 挙句の果てには「ぼくね、今すごくピリピリしてるんだよ。機嫌が悪いんだよ。」などと言い出すので、いよいよこちらも苛々してしまって、「ピリピリしているとか機嫌が悪

        • 「努力が足りない」の意味

          先に言っておくけれど、努力の量を比較したりそれを結果と結びつけるようなことには昔から懐疑的である。 なぜなら、あらゆる意味で努力ははかれないと考えているからだ。 ひとつは、その人のことを生まれてから死ぬまで四六時中監視することはできないという観点からである。放課後も学校に残って勉強をしている人を「努力している」と言うことはできるけれど、授業が終わるとさっさと家に帰る人を「努力していない」とは言えない、ということだ。 さらに、「努力」を目で見ることができたとしても、その「努

          持つ者と持たざる者

          三島由紀夫の『不道徳教育講座』を読んでいたら、こんな文章があった。 「みのるほど頭の垂るる稲穂かな」などという偽善的格言がありますが、みのればみのるほど頭が重くなるから垂れて来るのが当り前で、これは本当は、「みのるゆえ頭の垂るる稲穂かな」と直したほうがいい。高い地位に満足した人は、安心して謙遜を装うことができます。 謙遜するにもそれなりの資格が要るということだが、確かにそうだ。相手に褒められてもいないのにする謙遜は特にそうだと思う。 たとえ褒められた時であっても、私は返

          持つ者と持たざる者

          「怖い」の正体

          昔、公園で弟の靴が隠された。私は小学生で、弟は小学校に入るか入らないかくらいだったと思う。 弟は自閉症である。今は、あまり喋らないこと以外は普通の人とほとんど変わらないが、子供の頃は本当に色々と手がかかっていた。両親は大変な苦労をしてきたと思う。 その日は家族で市民プールに泳ぎに行って、その帰りに同じ敷地内の公園で遊んでいた。弟と私はすべり台で遊んでいて、弟は靴を脱いですべり台のそばに置いていた。周りにはほかの子供達も何人か遊んでいた。 しばらく遊んでいると、近くにいた

          「怖い」の正体