【ち○ちんの手術をした。】#6 〜手術・後編〜
先生はまず、ちんちんの消毒をした。
僕は目を瞑った。
直視出来たのは、ここまでだった。
怖くて怖くて、目を開けるなんて事はとても出来なかった。
とにかく強く目を瞑った。
震えそうな両手を強く握って、手術に影響が出ないように、可能な限り小さくゆっくりと呼吸をした。
「それじゃあ、麻酔しますね。」
「はい。」
『.....麻酔。どんなタイプの麻酔だろう?全身麻酔...なんてことはないな、大掛かりな機材も無いし。歯医者さんには塗るタイプの麻酔とかもaruuuuuuuuぅぅぅぅうううううううわぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああ!!!!!!!いてぇぇえええええええ!!!!!!!!!!』
麻酔は注射だった。
”股間のあたり”とか”足の付け根”とかではない、
”ちんちんに直の注射”だった。
注射された場所をこけしで説明すると、喉元に一発。
ここが人間の急所だということを、身を持って知った。
ちょっと泣いた。
『頼む、早く終わってくれ。』
たまに聞こえてくる医療器具がぶつかって出る金属音が、たまらなく怖い。
腰回りの感覚は残っているから、傷口を縫合されているときにちんちんが糸でクイックイッと魚のように釣られたのを感じた。(見てないけど、ほぼワカサギ釣り。)
....................。
目を瞑ってから、約40分。
「はい、終わりましたよ。」
『おっ....おわったっ.....』
目を開けると緑の布には多少の血が付いていて、中央の穴から、さきっちょ以外を包帯でグルグル巻きにされた僕のちんちんが出ていた。
ほぼ、ソーセージのパンだった。
布が外され、ソーセージのパンだけになった。
ちんちんのさきっちょだけが見えていて、付け根までは包帯でぐるぐる巻き。
麻酔が効いていて、ちんちんの感覚はまだ無い。
『まあまあ血は出てたし、感覚も無いけど、包帯で見えてない部分のちんちんは無事か?
取れちゃったりしてないか?
包帯を外したときにちんちんが取れちゃってるのがわかったとしても、先生に「あらら、どっかでぶつけちゃったりしたでしょ」なんて言われたら、僕のせいで取れたことにされたりしないか?
そもそも、ちんちんは有るか?
実は包帯で隠れている部分のちんちんは無くて、包帯でできた筒をちんちんの付け根とちんちんのさきっちょで上下にフタしているだけの可能性もあるぞ?』
[ネタバレになってしまうが、包帯の中のちんちんは取れてなかったし、ちゃんと有った。]
「これが、今回摘出した物です。」と先生が謎の塊を見せてくれた。
興味本位で「これって持ち帰ったり出来ますか?」と聞いたら、
「だめだめ!血の付いたものは医療廃棄物で処分しないといけないから無理だよ!」と、ちょっと怒られた。
ついさっきまで僕の大事なちんちんの一部だったソレは、一瞬にして医療廃棄物という名のゴミにまで成り下がっていた。
「じゃあ、写真だけ撮れたりします?」
「写真はぜんぜん大丈夫ですよ!」
「ありがとうございます!」
鞄の中からスマホを取り出し”元ちんちん・現ゴミ”の写真を撮った。
ちんちんを出したまま撮影してしまっていたが、絶対にズボンを履くべきだった。
ズボンを履いて、先生から今後の説明を受ける。
・包帯をしている今日は濡らせないので、お風呂もシャワーも駄目なこと。
・明日には出血が止まるので、明日また病院に来て包帯を外すこと。
・一週間後に抜糸をすること。
「では、また明日来てください。」
「はい、ありがとうございました。」
受付で会計を済ませる。
手術代は保険がきいて、4280円。
428000円でも42800円でもなく”4280円”だ。
この場面をアニメにする際の演出は【『4280円!』→〔丸が縮んで画面が黒くなっていき僕の顔で止まる〕→『オイオイ、俺の21年間の悩みって、4280円で解決できたのかよ...トホホ...』→〔丸が閉じて画面全体が黒くなる〕→〔倉木麻衣のED曲〕】だ。
『もっと早く病院に行けば良かった。』
物理的に”昨日までの自分とは違う自分”になった僕は、包帯のお陰で強制的にちんちんの皮が剥けてる状態になっているのも相まって”ひとつウエノ男”になった気分で、
自信に満ち溢れた面持ちで病院を後にした。
しかし、その日の夜のうちに僕の自信は打ち砕かれ、大きな不安が姿を現す。