記録037
睡眠覚醒のリズムはどうですか、という主治医の質問に、ああ、はい、えっと、大丈夫です、とか、いつも適当に答えてしまっている。ほんとうは上手くいってない日が多い。特に入眠が難しい。最後の最後までスマホを手放せなくて、電源ボタンを押して床に伏せて置くという簡単な動作がいつまでもできない。このごろはセカンドオピニオンを擁するべきか、ずっと悩んでいる。
日中、あまりに眠いのを注意されるようになってきた。まずいな、とぼんやり思っているものの、もうあと数ヶ月だし、とたかを括っているところがある。いまのところはみんないい人で、仕事が楽で、なにより家から近い。給与以外は申し分ない就業先だと思う。けれどわたしが今のところ欲しているのは給与とある程度忙しい環境であり、事務というものがそもそも向いていないと思う。デスクに向かい、ひたすらにパソコン作業をすること自体は構わないが、誰ともコミュニケーションをとることができないことが非常に苦痛である。できれば就業中の多くの時間、わたしは誰かと話したいと思っている。
APAFのビジタープログラムに参加している。画面越しの見学者というていで、メインプログラムの参加者と一緒に講義を受けたり、参加者たちのプレゼンを聞いたり。それをレポートにして提出する。
ああ、真にわたしに必要なものはこれだ。しみじみとそう感じた。
すなわち、課題と締切である。これこそが、わたしが大学を離れて以来ずっと欲していたものだ。これまでにちょこちょこと書く仕事を頂いては、その度にえも言われぬ絶望とほんの僅かな満足を、その都度得ては次の機会をじっと待っている。貪欲に、じっと待ち続けている。書く仕事がしたい。なにかを見るにつけ、それにまつわるよしなしことを、自分の中にある語彙からもっとも適切なものを探し当てて書き連ねたい。ずっと。ずっとそうしていたい。