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Geordie Greep - The New Sound
2024年の本作は、Black Midi期の喧騒やアグレッシブな演奏表現力をそのまま拡張したようなスタイルに圧倒される。オルタナティブアヴァンポップ路線を追求しつつ、カバー曲の方向性や時折みせるユーモア、一層キャラクターを前面に押し出したような声の表現を含めて非常に濃厚なソロアルバムだと思う。解説によればサンパウロとロンドンにて制作されたようだが、実際に南半球的フレーバーは全編に押し込まれているように感じた。
Bluesは、アルバム冒頭のトラックだがまずイントロからプログレッシブなフレーズに惹き込まれる。ブレイクを多用した複雑なフレーズを畳み掛ける冒頭からゆっくりテンションを上げていく。中盤以降、カオス寸前で踏みとどまるような緊張感を伴いながら熱量を上げていく演奏が素晴らしい。
Holy, Holyは、冒頭のBlues同様にラジカルなフレーズを織り交ぜているが、過去のさまざまなポピュラーミュージックを連想させるメロディーやコード進行が生み出す不思議なポップ感が印象的だ。フックに差し掛かると濃厚なコーラスを伴ったラテンフレイバーな表現とプログレッシブなフレーズが交差する。あらゆる要素を織り込んだアレンジが行き着く間も無く展開していく様が印象的だ。
If You Are But a Dreamは、グッドタイムミュージックを思わせるオールドファッションな楽想に覆われたみごとなカバーだ。本作の最後に収録されたトラックとして、十分に余韻を感じさせる選曲だと思う。フランクシナトラと同じように、夢なら覚めないで欲しいととても美しく締めくくる。
いつも拝見している𐭌𐭓𐭌𐭓 𐭌𐭓𐭌さんが、同じタイミングでこのアルバムを取り上げていました。
物語の主人公たちは常に言いようのない不安にかき立てられている
確かにこのアルバムのアルバムの随所に差し込まれた不思議なフレーズの数々はまさに不安感を具現しているように感じました。