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Lucia Fumero & Horacio Fumero - Los Fumeros
現在はバルセロナを拠点に活動しているピアニストLucia Fumeroと、ジャズボーカリストとしてキャリアをスタートさせたHoracio Fumeroによる親子のセッションを軸に作られた2023年作。透明感ある質感のジャズテイストとネオフォルクローレと評されるような雰囲気が入り混じり、加えてボーカル曲ではどこか親子の軽妙さのような部分が感じられるバランスがとても面白い。
Caminoは、静かなギターのアルペジオとボーカルによるシンプルな表現からスタートするが、徐々に流麗なピアノが楽曲を支配しはじめ、ピアノとボーカルの親子セッションが引き立つアレンジにゆっくりと変化していく。とても表情豊かで充実した演奏に惹き込まれる。
Caranchoは、ピアノとベースによるメカニカルなフレーズが素晴らしい。音の質感は各々のサウンドよりもグルーヴ全体にフォーカスを当てているように思える。そのために複雑なフレーズもバンドの中のサウンドとしてスムーズに入ってくる。
Los aretes de la lunaは、月のピアスというような意味のタイトルが連想するポエティックなアンビエントジャズ風のアプローチがとても美しい。リラックスしたボーカルと柔らかなピアノはどちらもリリカルになり過ぎない軽妙さが心地よい。