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John Roseboro - Fools
マックデマルコやジョアンジルベルトの影響を受けて自らポストボッサと位置付けるアメリカのソングライターJohn Roseboroによる2024年作。音楽をやろうと思い立った時に近所に住んでいたドラマーやルームメイトを誘いバンドを結成したという逸話とサウンドの飾らないホームメイドな質感が心地よく融合する仕上がりが素晴らしい。
80 summersは、人生における80回の夏を振り返る思索に満ちた歌だが、フックにおかれた単語はなく、言葉少なに語りかけるスタイルが物語に奥行きを与えているように感じる。それらを支えるホーンセクションとコーラスによる柔らかなアレンジとサンバのリズムの組み合わせが心地よい。
Hitは、シンプルにボサノヴァマナーを活かした楽曲だが、柔らかなボーカルが辿るメロディーはむしろSSW然とした響きのようで、リズムとメロディーの対比がとても面白い。ここでもさまざまな楽器のアンサンブルがとても美しい。
Alt Egoは、インプロビゼーション混じりのオーケストレーションアレンジが素晴らしい。とても複雑に感じられるアレンジとホーンとベースによるユニゾンのラインの組み合わせ等、自然体で流していく表現に惹き込まれる。