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Vijay Iyer & Mike Ladd - In What Language?
ジャズピアニストVijay Iyerと、ヒップホップ系アーティストMike Laddによるコラボレーション、2003年作。9.11以降の社会問題をリアルタイムに引用しつつモノトーンで覚醒したアヴァンコンテンポラリージャズの中に落とし込む両者の表現の融合が素晴らしい。アルバムタイトルは2001年当時、ニューヨークのJFK空港で拘束され送還されたイラン人映画監督ジャファルパナヒの言葉 ”I am just an Iranian, a filmmaker. But how could I tell this, in what language?”(私はいちイラン人で映画監督です、そうとしか言いようがないものをどう言えばいいのか?)からの引用になる。
Terminal Cityは、冒頭のフリー気味なピアノの短いフレーズを合図にブレイクビーツと重いベースラインが始まる緊張感溢れるスタートが素晴らしい。続く一音一音を確かめるような長音を軸にしたホーンとピアノの組み合わせに乗せたリーディングがとても印象的だ。
Rentalsは、やはり拘束される様子が淡々と描かれる極めてシリアスなストーリーテリングに惹き込まれる。前後のトラックを通じて生音を軸とする中、この曲は電子音を軸にしたエレクトロなアプローチだが違和感なくストーリーの中に収まっているところも素晴らしい。
In What Languageは、不穏なピアノの淡々とした無調アプローチにブロークン気味なビートがかぶさるラジカルな雰囲気に惹き込まれる。中盤、ビートが浮遊感ある電子音に入れ替わり、緊張感を高めながら再びビートに戻るとサックスのフリーキーなソロに突入する。このシーンの切り替えは見事だと思う。